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会計開示義務!

政府の来年度の予算で、概算総額90兆円を超え、過去最大の規模に膨らむ見通しになりました。赤字国債を増発する見込みとなり、財政破たんの危機だと報じられています。国債の発行額が、地方債など含めると約860兆円と言われています。不況が深刻になった平成11年と比べて、2倍近い金額に膨らんでいます。国民一人あたりの借金として、約670万円前後であり、企業ならとっくに破産状態であると各種のメディアで報じられていると思います。

ここで、皆様に考えて頂きたいのですが、こんなに借金があるのに、政府から国債の発行に、「深刻な危機感」が伝わってきますか?私には、あまり危機感があるように伝わってきません。実際、今年度もバンバン国債を発行するのでしょう。前政権のときに、2011年までに、プライマリーバランスを均衡させると言っていました。つまり、2011年までに国債の発行に頼らず、通常の税収だけで運営するということです。

私は、会計について専門ではありません。感覚的なところではありますが、国の財政が破たんしない理由として、次の3つを考えています。

  • 国債の再発行

  • 国債の保有者

  • 国有資産と外貨準備高

国債の再発行とは、国債の期日がきたら、借換え債を発行して、返済期間を先延ばしにするのです。国が信頼されている限り、国債を発行して、返済期間の調整ができるということです。

次に、国債の保有者の半分近くは、郵貯、日銀、公的年金などが保有していることです。つまり、保有者が国であれば、基本的には破たんすることはないはずです。

3つ目は、国有資産と100兆円とも言われる日本の異常な外貨準備高です。私は、不動産業界にいましたが、結構、一等地が国有地になっているのです。総額はわかりませんが、政府には相当の資産があるはずです。石原慎太郎知事が、知事になる前に、政府の会計制度を国民にわかるように開示すべきだと話していました。その中で、石原都知事は、外貨準備高について、アメリカの言いなりではなく、有効的に活用すべきだと話していました。

そのとき、日本の外貨準備高を調べたのですが、他国に比べて桁違いに多いので、ビックリしました。例えば、EUのトップのドイツが約6兆円ですので、約100兆円とも言われる日本の外貨準備高は、際立っていると思います。

ご存じの通り、2000年3月期にはじまった会計ビックバンにより、企業には、厳しい会計開示基準がかされるようになりました。しかし、政府の会計制度は、旧態以前のままです。特別会計や特殊法人などの実態は、国民に十分に開示されていません。「埋蔵金」など言って、誤魔化していますが、開示していない政府会計の実態だと思います。

適正な会計処理および開示は、公開企業においては、信頼関係のベースです。適正な会計開示がされなければ、個人の夫婦間でも信頼関係の持続は難しいと思います。ましてや、横領や使い込みなどしていたら、大変なことになるはずです。

高い税金を国民が納めている国民と政府の関係はどうでしょうか。特別会計や特殊法人など、不透明なままで、断片的な開示しかされていません。それどころか、政治家すら正確に把握できない状態だというのですから、我が国の会計制度は、異常事態だと思います。国が特別会計を含めて、可視化してわかりやすく、開示し、運用するのは、国民との信頼関係を構築するための、重要な義務だと思います。
石原都知事は、各種の会見で、政府の財政状況の会計開示について、「難しいことを要求しているのではない。当たり前のことを当たり前にしてくれと言っているだけだ。」と仰っていました。私も、もっともなことだと思います。
国民は増税を受け入れていないのではなく、国の財政状況がどのようになっているのかを知る権利を有し、その説明を求めているのだと思います。

作成日:2009年10月19日 屋根裏の労務士

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