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「シナジー効果を発揮するためには?」

ここ数年、企業の事業再編に伴う、労務のコンサルティングを各種対応しています。近年、事業再編にも様々なケースがあります。合併、株式交換、事業分割など、企業により様々です。

事業再編を計画するプロジェクトチームに、ただ参加しているだけでは、恐らく、一連の法理に対する理解は出来ないでしょう。事業再編は、かなり複雑かつ高度に、権利関係が絡み合います。ひとつ理解するだけでも、頭をフル回転させ、相当な確認作業と労力、そして何より、理解に近づくために自らの努力が求められます。

事業分割をして別会社としたうえで、再度、事業統合をして合併した後に、特定の事業部門を子会社化して独立させ、分割させるような事業再編もあります。同一のグループ内で事業再編をする場合、全く異なる別資本の場合など、事業再編も様々です。

私は、合併や事業統合に伴う、労務のコンサルティングをしていると、これまで長期にわたり、お付き合いしてきた企業でも、新しく気が付くことが、度々あります。企業が持っている文化や強みに改めて気が付いたり、深く理解できることがあるのです。事業再編に伴い、異なる企業同士が関わる中で両者の文化や強みの差異が、より明確に伝わってくるからです。

私は、事業再編で企業が統合していくときは下記の2つの受け止め方が、より大切だと捉えています。

  • お互いが、「同じ」であること。
    そして、お互いが、「異なる」こと。

お互いが、「同じ」であること。つまり、お互いの企業に、通じ合える共通点があることです。共通点は、お互いが歩んできた違いや距離感を近づかせるために非常に有効的。共通点が、時間と空間を超えて、お互いを理解するための意識感をつくりだし、共通の価値観となるのです。

共通点と同じくらい大切なことがあります。それは、双方が、「異なる」存在であることを理解することです。資本が同じグループ間での合併であっても、事業内容が異なれば、文化的な違いは、出てきます。

その違いをお互いが認め合い、お互いが、それぞれの強みや役割を尊敬しあわなければ、事業再編が上手くいくはずがありません。私は、事業再編に関わる度に、ふと頭に浮かぶことがあります。それは、下記です。

  • 日本とイギリスが行った帝国主義政策。

ユーラシア大陸から、少し離れた島国である日本とイギリス。両国は比較して、論じられることが少なくありません。その中で、日本とイギリスが行った、植民地政策について、次のように論じされることがあります。

日本は、植民地にして支配下していく過程で、「同じ」であるという価値観により、政策を進めた。一方、イギリスは、「異なる」ということを価値観により、政策を進めた。

日本は、「同じ」であるということを価値観に出して、同心円状に植民地政策をとりました。一方、イギリスは、「異なる」ということを価値観に出して各階層を設けて、差別的な植民地政策をとったのです。日英異なる政策で、帝国を形成させ、宗主国の論理の下、経済的な国際分業体制を形成させたのです。

現在の時代の価値観で考えれば、植民地政策自体が間違っていることは説明するまでもありません。しかし、当時の常識観での前提で捉えても日英の政策は、間違っていたものだと思うのです。

「同じ」であるということを価値観にする世界では、他の者のかけがいのない特徴を、蔑ろにしてしまうことがあるのです。相手が「同じ」であるという、行き過ぎた考えが、日本の同質化政策を生み出したような気がするのです。世界史の中で、相手を蔑ろにした同質化政策をとり、完全統一が出来た王朝や国家などは、無いと思います。

人間は、皆、違います。民族も、皆、違うのです。人は、ひとりひとりが、皆違うのです。もちろん、相手が「異なる」という意識は、差別意識を生み出すということも、多分にあります。英国が行った、階層別の植民地政策も、民族が「異なる」という差別意識により行われたものでしょう。

誰もが、「同じ」であるという意識。そして、その誰もが、「異なる」という意識。いずれも、相手との距離感をはかり、相手を認め、尊重するうえで、大切なことだと思うのです。植民地政策では、この二つの意識がマイナス作用の下に、取り違えて行われたと思うのです。

大きな視点での人類の共通化意識。民族の違い、国家の違い、文化の違いなどを超えて、世界は一つであるという前向きな概念。民族や人種の違いなどは、ひとりの人間として捉えたときに、付き合う上で、本来、たいした違いではありません。誰もが、元は海の子。人類、皆、兄弟です。

それを前提としたうえで、ひとりひとりが、「異なる」存在であるということ。組織のひとつひとつ、それぞれの企業が、かけがえのない、「異なる」存在であるということ。

どの人種も、どの国も、どの企業も、そして、誰もが、「異なる」という意識を持つことは、自分以外の他者を理解して、相手を尊重する上で、大切な概念だと思うのです。ひとりひとりが、歩んできた、積み重ねてきたものには、違いがあります。誰もが、他者とは異なった、特徴的な文化を身に着けているのです。

流動化が進み、柔軟性が求められる社会。誰もが、「同じ」であるという意識。そして、その誰もが、「異なる」という意識。この相反する二つの意識を、高度な意味で持つことは、労務の対応をしていく上で、大切なことだと思うのです。

その大切さに気が付いている企業が、お互いの特徴や強みを生かした、有効的なシナジー効果を発揮できているような気がするのです。

作成日:2013年10月14日 屋根裏の労務士

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