コラム Column

「エジプトの休日」・・・前編

年末年始にエジプトに行ってきました。本格的なイスラム圏の国に行くのは、今回が初めてになります。かねてからイスラム圏の文化や宗教についても、体系的に学んでおきたいと思っていました。

世界には15億人のイスラム教徒がおり、世界の人口の4分の1を占めています。世界ではイスラム教徒の人口が増え続けています。現在、宗教別の人口はキリスト教徒が最も多いですが、将来的にはイスラム教徒が追い抜くとの予測もあります。

これまでイスラムが身近な存在とはいえなかった日本。就労や観光目的で訪れるイスラム教徒が近年増加しています。イスラム教には独特の行動規範があります。日本での生活に不便を感じるイスラム教徒も多い様ですが、企業や公共機関の対応もだいぶ進んできました。

現在、日本にも10万人近いイスラム教徒がいるというデータもあります。クライアントでもイスラム教徒の人を雇用したり、イスラム市場に参入するケースが出てきました。

日本人にはあまり馴染みがないイスラム教の文化。今回、イスラムの雰囲気を確かめておくために、まずは、イスラムの中で観光立国であるエジプトを訪れることにしたのです。

今回、イスラム教圏の国を訪れて、大きく3つのことを感じていました。真っ先に感じたことは下記です。

  • 警察官の多さ

散弾銃を持った警察官が街中にいるのです。更に、ツアーには政府から派遣されるツーリストポリスが常時、同行をして観光地と旅行者の安全を守る体制になっています。あまりの警察官の多さに、守られている安心感よりも、治安の悪さを感じていたことは言うまでもありません。

物騒な雰囲気を感じながら、年越しをエジプトで迎えているときにネットニュースで、下記の記事が飛び込んできました。

  • カルロス・ゴーン被告のレバノン逃亡

保釈中だったカルロス・ゴーン被告。新幹線に乗車し移動してから、音楽コンサート設備用の大型の箱に潜み、関西国際空港からプライベートジェットで逃亡したとい情報。

関西国際空港は、「ゴーンを取り逃がした空港」という汚名を背負うことになりました。オリンピックを半年後に控えて、日本の出入国の安全管理体制についても問われるような状況になってきました。

実は、エジプトに来て、厳しいセキュリティーチェックにイライラして、何か監視されたような警備の厳しいエジプトで年越しを迎えながら、日本が安全な国であることをしみじみと感じていました。そんな「日本の良さ」を感じている中で、ゴーン被告の逃亡のニュースを目にして、『日本の甘さ』も強く感じていました。

今回、イスラム教圏の国を訪れて感じた3つ目のことは下記です。

  • 国境管理の厳格さ

ヨーロッパではシェンゲン協定があるため、一定の条件を満たした国家間では国境を自由に往来できます。EU圏であれば、人や物の動きに関して、基本的には自由にしてあるのです。

一方で、中東やアフリカ諸国では厳格に国境管理が行われています。国境管理が厳格にしてあるため、人や物の動きが、厳しく監視されて制限されているのです。

日本は島国で海に囲まれているため、物理的には海でガードがされています。一方で、法的には、不法入国や外国人就労の対応、医療保険の海外扶養者の取り扱い扱いなどに関して、現行でもザルと思われるような状況になっています。

日本の巨大な輸出企業で最高経営者という立場で、『日本の甘さ』を知り尽くしたゴーン被告。国境管理の厳格なレバノンで育った彼にとっては、莫大な個人資産とその金に群がる人脈を利用して、日本の出入国管理体制を突破することなどは容易に思えていたのかもしれません。

そんなことを異国の地でiPadを眺めながら感じていました。

作成日:2020年1月20日 屋根裏の労務士

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