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「楽しく生きる手ぶら人生」

団塊ジュニアの私は今年で47歳になりまた。オッサンの仲間入りになったと自覚をしています。オッサンの次は、おじいさんが待っています。私は、周囲から『老害と思われるような迷惑な老人』にはなりたくありません。

社労士になってから、かれこれ15年になります。社労士業は超高齢化した業界のため、今年で47歳になりましたが、業界の中では、相変わらず若手の社労士です。

私は、人生、あまり細かいことまで考えずに、マイペースにゆったりと生きている一面もあれば、人生、早回しで考えて、先々のことまで細かく入念にシミレーションをして生きている一面もあります。

  • 先のことは深く考えずに、人生、何とかなるさとノー天気な自分
    緻密にあれこれ考えて、計算高く計画を立てて生きている自分

そんな両極面の自分がいます。

自分が20代だったときは、「30代ですべきこと」の様な啓発本をよく読んでいました。自分が30代の頃は、「40代ですべきこと」に関して、書籍を読み漁って、自分の生き方の参考にしていました。今年のお盆休みに、「老害にはならない60歳以降の生き方」に関して、何かヒントを得たいと思って、下記の書籍を読みました。

  • 「弘兼流 60歳からの手ぶら人生」

「手ぶら人生」という本のネーミングが気に入り、読んでみたくなり、購入したのです。お盆で郷里に帰る電車の中で、読んでいました。「島耕作シリーズ」などで知られる漫画家の弘兼憲史の書籍です。元祖団塊世代の弘兼憲史は、9月についに70歳になるそうです。

弘兼憲史は、定年後の生き方として下記を勧めています。

  • 「人生の整理」

持ち物を捨てて身軽になるのは、近年のブームです。弘兼憲史はその整理を更に「人間関係」についてまで拡げて身軽になることを勧めています。その「人間関係」には、次の人間関係が含まれているのが、何とも弘兼憲史らしい生き方です。

  • 妻や親兄弟や子供などの「家族」からも身軽になること

「今もラブラブの夫婦には関係ない話」と前置きしながらも、夫婦円満の良好な関係を保つためには、下記の二つが大切だと説いています。

  • 「奥さんとなるべく一緒にいないこと」
    「お互いの程よい距離を保つこと」

更に、60歳を過ぎた男性の価値を次のように説明して、持論を展開しています。

  • 「定年退職した男の価値はゼロ」

男性は、上記のような謙虚な気持ちで、妻からも自立したほうがいいと説明しています。長年連れ添っても、『一心同体』になり得るはずがありません。人間は、それぞれが別の人格を有しているわけですから、お互いが『一心同体』にはなれないことを自覚したうえで、お互いをどこまで尊重できるかが大事になると説明しています。

定年後にありがちな『妻と旅行』幻想も捨てるべきと強調しています。奥さん孝行で自分の株が上がると期待しても、嫌われる可能性の方が高い。奥さんから誘われたなら別ですが、そうでないなら『友達と行っておいでよ』と旅費を渡したほうがよっぽど株が上がると説明しています。

ある旅行に関する調査では、次のようなデータがあるそうです。

  • 女性が一緒に旅行をしたい相手の1位は友人(80%)

  • 男性が一緒に旅行をしたい相手の1位は妻(50%)

一方、女性が夫と旅行をしたいと回答したのは、わずか10%程度だったそうです。世の男性には何とも厳しい現実です。

「手ぶら人生」を勧める弘兼憲史。この書籍の中で、恐らく弘兼憲史が最も伝えたかったのは、下記のことだと思います。

  • 「家族から自立すること」

親兄弟や子供などの「家族」との関係も見つめ直すべきだとしています。

  • 『家族は結束しなければならない』という強迫観念で
    お互いを縛り合うのは、苦しいこと。

現実には家族といっても、自分とは別な存在だし、合わないこともあります。家族仲が良ければそれでいいのですが、家族がいずれバラバラになるのは自然なこと。家族一丸でいる必要はないと説いています。

私たちは、子供の頃から、下記のことを繰り返し、学校や社会から教え込まれています。

  • 「お父さん、お母さんを大切にしよう」

  • 「家族は仲良く」

しかし、逆を言えば、そんなことを繰り返し教えるということは「教えないとそうならない」ということだからと弘兼氏は説明しています。放っておいても、自然になること。何もしなくても、勝手にやること。そういうことは、教える必要がありません。

家族というのは、「仲が良くて当然」でもなければ、「自然と愛し合うもの」でもないのです。ましてや、「当然に理解されるべき存在」でもありません。お互いに尊重して努力をしなければ、「仲が良い状態を保つということ」はあり得ないというのが、弘兼氏の持論の様です。

家族というのは、いずれバラバラになるのが当たり前。親の役目は、子供を教育し、自立させることにあります。いつかは、肉体的にも精神的にも、親元を離れていかなければならないものです。いつまでも、一緒にいる方がおかしいと弘兼氏は説明しています。

「弘兼流 60歳からの手ぶら人生」の書籍を読み終えて、私は、弘兼氏の考えに賛同する一面を持ちながら、自分の考え方とは少しニュアンスが違うとも感じていました。

私は、家族がバラバラになるのは、お互いが自立した存在であるから当然のことだと考えています。しかし、バラバラになるのは、仲が良いし、信頼関係が出来ているから。仲が良いのに、無理して、いつまでも、そして、いつも一緒にいる必要はなく、適度に離れている方が自然だと考えています。

上記のことは、家族に関することだけではなく、あらゆる人間関係にあてはまると思います。まずは下記のことを認識して、受け止め、そして受け容れることが必要だと考えています。

  • 人間は潜在的に孤独であるのが当然だということ

そのことを自然な形で受け容れることが出来ないから、いつまでも、そして、いつも相手を束縛して依存する精神状態になり、その結果、大切な人間関係が壊れていくのだと感じています。

寂しくない人間なんて、この世に誰もいないでしょう。自分のことをすべて理解してくれる人間なんて、この世にいるはずがありません。誰かと一緒にいるからと言っても、癒えない孤独というのは誰にもあるものです。そもそも人間とは、癒えない心の寂しさを瀬在的に内在されている存在だと思います。

ダウンタウンの松本氏と浜田氏も、小学生からの大親友であり、人生の苦楽をともにした相方ながら、プライベートでは一切交流がないそうです。逆に、ダウンタウンの2人が仕事だけでなくプライベートでもいつも仲睦まじく一緒だとしたら、かえって周囲はしらけるような気もします。

良好な人間関係を築くためのヒント。ダウンタウンにはあるような気がしています。どんな人間関係でも、『一心同体』ということはあり得ません。

  • 『お互いに依存した関係』ではなく、「お互いが自立した関係」の中に。
    お互いに適正な距離を持った人間関係の中に。

「楽しく生きる手ぶら人生」のヒントがあるような気がしています。

作成日:2017年8月21日 屋根裏の労務士

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