コラム Column

「イタリアの休日」・・・前編

年末・年始の休みに、イタリアに行ってきました。イタリアの街は、どこの街も個性的で美しく、とても感動しています。美しい街並みや芸術に触れて、西洋のカトリック文化の美意識を、自分の中に、取り込むことが出来ました。

私たちが生きる近代というのは、西洋的な社会が、グローバルスタンダートになっている時代。その西洋文化を掴んでおかなければ、現在の社会について、深い理解は、出来ないと考えています。

特に、西洋の文化の中核となるキリスト教。その概論について、ある程度理解しておくことは、大切なことだと思います。(ちなみに、私はキリスト教徒ではありません。)

日本人は、宗教について、語ることはタブーな風潮があります。しかし、世界宗教について、概論の概論ぐらいを理解して、頭に入れておくことは、必要な気がしています。信仰という意味ではなく、常識観や態度、物事の発想のベースを理解しておくのです。そこには宗教的な価値観が密接に影響しているはずだからです。

今回の旅を通じて、イタリアという国は、一神教の国であり、日本は、多神教の国であること。それが実感を持ってわかりました。自由度の高い多神教の日本に生まれたこと。大衆文化を持った日本に生まれたこと。繊細な感受性と美意識を持った日本人に生まれたこと。なんてラッキーだったことか。それを、実感しています。

私は、旅行をするとき、いつも、突然、ぶらっと、出掛けてしまうことが多いです。しかし、今回は、半年前から入念に調べて、徹底的に勉強をしてから行きました。半年間、ワクワクしながら、勉強が出来て、歴史、宗教、ルネサンス美術の体系を頭につくることが出来、とても実りあるものになりました。週末に勉強するのが、大きな楽しみでした。旅に行く前のワクワク感や楽しさが、わかりました。

実際に、カトリックの国に行くと決まると、目的意識を持って、勉強することが出来ます。その勉強が楽しくて仕方ありません。今回は、下記の2つに、特に力を入れて勉強していきました。

  • 世界史

  • キリスト教の概論

特に時間をかけて勉強したのが、世界史です。私は、初めての街に行くとき。地理上の確認だけではなく、その街の歴史の概略を、簡単に掴んでから、訪れています。歴史を知ることにより、時間軸という観点で4次元的に、街を理解することが出来るからです。

今回もイタリアの歴史の概略を掴んでおきたいと考えました。最初、イタリアの歴史だけを勉強していました。しかし、イタリアという一つの国だけの歴史を勉強していても、さっぱり理解ができません。

ヨーロッパは、国土が地続きで繋がっています。そのため、ヨーロッパという地域全体の歴史。それを掴んでおこないと、イタリアという一つの国の歴史は、理解ができないのです。世界史をきちんと勉強した人からみたら、笑われてしまうかもしれませんね。

実は、これまで、何度か世界史を理解するために、勉強しようとしていました。世界史の体系を頭につくり、「思考の骨」にしておきたかったからです。しかし、その度に、最初の入り口ぐらいで、挫折していました。

世界史は、似たような人物の名前が、バンバン出てきます。他の国や地域との横の繋がりも理解する必要があります。何より、事実が次々と複雑に絡み合います。一つ歴史的な事実を理解するだけでも、他との繋がりがあるので、ややこしくなります。

しかし、根気よく、一つ一つ、論点を潰しながら、読み込んで、我慢して進んでいくと、徐々に、「歴史の流れ」が掴めてきます。「歴史の流れ」を掴んでくると、世界史は、面白くて、はまってしまいます。壮大なスケールのノンフィクションです。

混在する様々な民族の侵入。民族が複雑に絡み合いながら、次々とおこる領土の奪い合い。日本にはない、教皇という存在の権威社会。次々と勃発する宗教戦争。人々に国民意識を浸透させ、国家という枠組みをつくるための取組み。現在、引かれた国境線が意味すること。何より、国の形となる成り立ちを理解することができました。もちろん、まだまだ、分からないことだらけですが・・・。

労務の中で、組織論という学問があります。社会科学上の組織を研究する学問です。世界史を勉強することは、組織論を勉強することにもなります。抽象的な組織論を勉強するより、世界史を社会という組織の視点で捉えて、理解する方が勉強になることも多々あります。生々しい歴史的な事実を、社会という組織の視点で捉えるのです。

自分と民族とを取り巻く社会。その社会と結びつく地域社会。地域社会と結びつく国家。その国家群からなる国際社会。それらが、ダイナミックに関わりあうのです。全体を捉え、ひとつの国家を捉え、その文化や精神性を捉える。そのための「構え」を持つこと。

そのためには、全体の状況を掴み、多方面に物事をとらえる「バランス感覚」が必要になります。世界史を勉強することは、この「バランス感覚」が、鍛えられるような気がするのです。経営者や管理職には、不可欠の感覚だと思います。

そんなことを考えて楽しく勉強できたのも、楽しいイタリアの休日があったからです。ヨーロッパは、実際に見て勉強しておきたい街が多いので、また、何か勉強して、理解を深めてから行きたいですね。

作成日:2014年1月13日 屋根裏の労務士

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