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「緊迫のクリミア情勢」

ウクライナ南部クリミア自治共和国が、連日、非常に緊迫しています。冷戦終結後以来、国際社会が直面する、最大の危機とも言われています。

クリミア自治共和国で行われた、ロシア編入を問う住民投票。選挙管理委員会は、開票を終え、96.77%が編入に賛成したと発表。これを受けて米国とEUは、渡航禁止や資産凍結など。対露追加制裁の発動を決めました。

クリミア編入の対応を踏まえて、オバマ大統領とプーチン大統領の言動などが、連日のように、取り上げられ、報道されています。日本政府は、「G7各国と連携するとした上で、現時点の制裁は極めて限定的なので、日本経済への影響は限られている」との見方を示しました。ただ、今後の見通しについては、「リスクの高まりには、留意する必要がある」と強調。

そもそもの発端は、2月下旬、ウクライナの首都キエフや西部で、大規模な反政権デモが起きたこと。親ロシア派の政権が崩壊。ヤヌコビッチ大統領は国外脱出。一方、政治犯として収監されていた、ティモシェンコ元首相が復帰。

親EUの新政権が動き出すかと思われていました。しかし、この動きに、ロシアが黙っていませんでした。ロシアは暫定政権を認めていません。そして、現在まで緊張が続く、一連のロシアのクリミア編入問題。

国際法への抵触に関して、ロシアと欧米で全く異なる考えです。

ロシアが大義としているのは、ロシア系住民の保護。住民投票を行い、圧倒多数の指示を得ているというもの。一方、欧米の立場では、住民投票は、ウクライナ全土で行われたものではない。国連憲章や各種協定などに違反するももの。中央政府の関与しない国境変更は、国際法や協定に照らして違法という認識。

複雑に入り組み、絡み合った、ウクライナ・クリミア情勢。とても、一言で、説明して理解することは、出来ないでしょう。ウクライナ・クリミア情勢を理解するためには、まるで絡み合った糸を、一つ一つ紐解くかのようです。

歴史を遡り、背景や経緯について、一つ一つ紐解きながらです。そして、事実確認をして、理解すればするほど。この問題のすっきりした解決が困難であり、落としどころが見えない、国際社会の危機であることを察します。

ロシアと欧米で、意見や主張。全く噛み合っていません。歴史的に捉えて、相手との意見や主張が噛み合わない時。何やら、事態がおかしな方向に、向かい出す最初の入り口です。悲惨な戦争へのそもそもの始まりとなる時です。

このことは、労務の対応にも通じるものがあります。労務問題の事態が深刻化して、訴訟やユニオンなどの争いになる場合。会社と従業員の主張が、食い違い、両者の論理が、全く、噛み合わない場合です。

交渉の方法として、敢えて噛み合わないようにして意見を発展させないことも、大切な場合もあります。しかし、日常的に協力関係にある社員との話し合い。噛み合わない状態では、大きな問題となってしまうこと。多分にあり得ることです。

意見が噛み合わない状態。不満を抱えた状態が続き、お互いに、日々、不信感とストレスが募ります。多くの場合、従業員が依願退職をして、問題が表面化しない場合が多いと思います。しかし、退職という選択ではなく、在籍中の状態で、何かのきっかけで、怒りと

  • 怒りに、感情が、支配されてしまった時。

重篤な労務の問題になることが、あり得るのです。会社の頭脳である幹部全員が、冷静さを失い、怒りという感情で、解雇をしたり、制裁や報復措置を科すべきとの空気感の中に、会社が染まってしまった時。周囲が手をつけられない状態に陥る時です。

そのまま、訴訟やユニオンとの対応になれば、怒りという感情に、さらに、憎しみや恨みの感情が加わり、行くところまで行かないと、収まりがつかなくなるのです。最初は、想定していなかったような展開に陥ってしまい、長期間にわたり、不毛な状態の中で、どんよりとした気持ちの中に、身を置くことになるのです。

今回のロシアのクリミア編入に伴う一連の問題。今のところ、制裁措置は、大きなものではありません。戦争や世界経済を混乱させない、歴史的な学びが、若しかしたら、世界に芽生えているのかもしれません。

そんなことを考え、少しの期待を持ちながら、クリミア情勢を連日、気にかけています。そして、人がつくり出す世界は、労務の世界も同様ですが、いつも、何か、確実に動いていて、そこに、問題が内在していることを感じています。

作成日:2014年3月24日 屋根裏の労務士

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