コラム Column

「なぜ、最後まで走ることが大切なのか?」

5000万件の宙に浮いた年金問題が発覚して5年が過ぎます。年金問題は、政権交代の大きな要因にもなった問題です。最近では、投資顧問AIJの不祥事で厚生年金基金の問題が発覚。総合型厚生年金基金の3分の2が上乗せ運用どころか代行割れを起こしていることが報じられています。

年金は老後の生活設計の柱でもあり、国民の関心は高い。これまでメディアでも、年金制度の仕組みが繰り返し取り上げられてきたと思います。しかし、毎回、かなり初歩的な年金制度の確認から解説がはじまる印象を受けます。

毎回、年金セミナーの講師の仕事をするたびに感じるのですが、受講者のほとんどが、年金制度を考えるために最低限、必要なベースの知識と理解がないのです。

これだけ毎日のように年金制度のことが取り上げられているのに、年金については、ほとんど分かっていません。これは、年金制度が複雑で難しい制度に制度設計がされていて、基本的なこと自体の理解が難しいからなのです。

私も年金をはじめて勉強したとき、全く理解が出来ませんでした。私がはじめて年金のことを勉強したのは、前職のとき。仕事でファイナンシャルプランナーを取りにいったときです。不動産購入のライフプランの企画をするために取りにいかされたのです。

試験のために、一応勉強はしましたが、当時、年金について全く理解が出来ませんでした。年金の箇所は、試験前に丸暗記しただけです。その後、スッカラカンに忘れて何も残っていません。

社労士の勉強をしたときも、年金制度は難しく、最初、ほとんど理解が出来ませんでした。
ところが、ある時に急に理解が出来たのです。それは、次の瞬間です。

  • すべてが繋がったとき

個別の論点を潰していき、ひとつひとつは理解が出来ても、どうしても分からないことがあります。それは、まだ全体の姿が見えておらず、全体の姿が掴めていないからなのです。

全体の姿を掴めてしまえば、個別に理解出来なかった論点でも後から理解ができることは多いと思います。視点を変えれば、次のことが言えるのです。

  • 全体が掴めるまでは、個別の論点自体も理解が出来ない。

私が、年金制度を理解が出来たのは、年金の勉強範囲を終えたときでした。最後まで勉強が終わった後に、途中、理解出来なかった論点箇所に戻ったら、なんと理解が出来ていたのです。更に、公的年金制度の深い理解が出来たのは、実務で企業年金の制度移行を手掛け、そのノウハウが身についたときです。

年金制度を理解するうえで大切なのは、途中で分からなくても、一つの論点に立ち止まらずとにかく前に進んでいくことなのです。

何事も理解が出来ない状態で、前に進んでいくのは辛いものです。ペースも鈍くなり、モチベーションも上がってきません。しかし、わからなくて、出来なくても、我慢して前に進むしかなのです。この世の多くのことが、実は、下記のようなことが言えるのです。

  • 「不十分な状態で最後まで走り終え、全体を掴むことが出来ない限り、
    個別論点自体の理解も出来ない。」

全体を掴むというのは、多くの難問攻略の王道だと思うのです。とにかく、「最後まで走り切るまでは、何かを掴むことは出来ない」と思います。上記は、ビジネスの多くの場面でも当てはまるのではないでしょうか。

作成日:2012年5月14日 屋根裏の労務士

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