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「高い自己評価と5月病!」

ゴールデンウィーク明け頃から、原因不明の体調不良を起こして、欠勤する新入社員がいると思います。いわゆる5月病です。5月病は、新しい環境に対して期待があり、やる気もあるが、その新しい環境に適応が出来ないため、原因不明の心身の不調と言われてきました。5月が過ぎて、しばらくすれば、自然に治る一時的な不調とされてきたと思います。

最近はメンタルヘルスの理解もだいぶ浸透しており、心療内科では、これまでの5月病に対して、『適応障害』という診断をしていると思います。症状にもよりますが、一定期間の自宅療養となることが多いと思います。
現在、日本人のうつ病患者は約400万人。実際には1000万人程度はいるとも言われています。国民の10人から13人に一人は、うつ病患者という計算になります。ストレスの強い社会の下、誰もが症状の差こそあれ、うつ病患者になるリスクがあると思います。私は、これまでうつ病に関する各種の相談を受けてきました。その中で次のことに気が付きました。

  • 『5月病やうつ病になる方は、内にひめる自己評価が高い傾向にある。』

うつ病にはならなくても、すぐに落ち込んだり、メソメソしたり、イジケたりする方は、そもそもの自分に対する内なる評価がかなり高い傾向にあります。昨今、パワハラも深刻な問題なので、会社は職場環境には十分な注意は必要ですが、個人の考え方に起因することも多いと思います。内なる自己評価が高いために、現実とのギャップの中で自己矛盾を起こして内なる世界でひとり落ち込んでいることが多いのです。うまくいかないと内なる自己評価が下がり、プライドが傷つき、自己嫌悪に陥り、クヨクヨと落ち込み、更なる失敗を起こし、負のスパイラルへ陥りやすいのです。

上司として、アドバイスをするとすれば、目標と自己評価の違いを教え、この高い自己評価を部下に気付かないように下げてあげ、出来るだけ早く立ち直らせることです。うつ病になる方は、周囲の鼻につくような嫌なプライドの高さを出す人は余りいないと思います。周囲には我慢強く真面目で、素朴に映るのですが、内なる心の奥底で、高い自己評価に執着しやすくその高い自己評価が良い回転ではなく、悪い回転を起こして自己矛盾の中でパニック状態になっている傾向があるのです。私は、仕事の出来る人と出ない人との差を次のように捉えることがあります。

  • 「出来る人と出来ない人の決定的な違いは、立ち直りのスピードの差である。」

私は、優秀な経歴を持つ人が新しい環境で、力を発揮できないまま終わった場面を多数みてきました。出来ない人は、落ち込んでいる時間が長い傾向にあります。そのため、強みを発揮する前に、タイムオーバーになっていることが多いのです。出来る人は、落ち込んでいる時間の短い人です。決して、落ち込まないのではありません。落ち込んでいる時間が短いのです。

優秀な管理職は、反省と落ち込んでいることの違いを認識しています。反省をさせうえで落ち込ませている時間を短くさせ、立ち直らせるのが上手い人です。一方、スタッフを使うことが苦手な管理職は、必要以上に反省を促し、失敗の原因を個人の責任として、建設的な分析も対応もせずに、落ち込ませている時間を長くさせている人です。人生でもビジネスでも、失敗もせず落ち込まないのは不可能です。落ち込んでいる時間が少ない者が勝者です。ゴールデンウィークが明けました。新入社員の活躍と管理職の手腕に期待しています。

作成日:2011年5月9日 屋根裏の労務士

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