コラム Column

「なぜ、できるビジネスパーソンは数字に強いのか!」~その2~

新入社員の座学研修のとき、「できるビジネスマンは、数字に強い」という話を聞きました。研修期間中に、役員をはじめ諸先輩、研修講師の方々から、度々、「数字の大切さ」や「数字に強くなること」について、話が出ていました。

座って研修を受けていたとき、何度も「数字の大切さ」が取り上げられていたので、何も知らない新人の私でも、ビジネスでは『数字が大切なこと』は認識してきました。しかし、話をしてくる方々により、意図する「数字の大切さ」のニュアンスが違うように感じて、理解が出来なかったのです。

そこで、『数字に強くなる旨の自己啓発書』の類の本を数冊購入して、勉強をはじめたのです。研修期間中に『数字に強くなっておこう』と、何か漠然と思いはじめたのです。

本の内容の大半は、決算書の見方に関することでした。本を読み終えた後、当時、私はビジネスにおいて、「数字に強い」とは、簿記や決算書などの企業会計を理解できることだと思っていました。また、本業の仕事に付随して発生する計算をすばやくできる計算力程度にしか考えていなかったと思います。

経理や財務部でなければ、企業会計の知識をそのまま仕事で、使うことはありません。業務に付随して何か計算するだけならば、電卓があれば、多くの計算作業は事が足ります。

しかし、「数字に強くなる」という話をしてくれた方々は、専門的な知識や何か具体的に計算することでの数字の必要性を伝えたかったのではないでしょう。もっとベースとなる根本的なことだったと思います。

私は、社会人になり経験を積んでいく中で、「数字に強くなる」という意味を徐々に理解できるようになってきました。最初の頃は、数字に強くなるとは、次のことだと思っていました。

  • 「根拠をもって論理的に、説明できる力」

プレゼンテーションや報告の際に、数字の裏づけをもとに納得ある説明が出来ることです。雰囲気で説明するのではなく、数字での根拠を持つことです。日々訓練されて、現場で揉まれていく中で、上記に述べた数字の大切さから、別の理解に深まってきました。

何かが身についてきて、ある時に感覚的に理解が出来る瞬間があると思います。日々の本業でも、あるときに何かに気が付くことがあると思います。それは、何か知識を得たときではなく、何か理解が出来たときです。

私は、コンサルティングをしているといつも何か直観的に感じることがあります。例えば、給与制度策定のコンサルティングをしているとき数字思考の何かを直観的に感じるのです。上手く表現できませんが、次のことです。

  • 「ベースの考え方となる数字思考」

混沌とした現実を数の世界を捉え、数字という言語で表現し理解ができること。すなわち、それは、自分の頭で、ひとつの企業世界の実態を数字として抽象化をして捉えることができ、分析が出来るまでに理解ができることだと思うのです。数字思考とは、次のことだと考えています。

  • 「マクロの抽象化とミクロの分析を同時に行う思考」

給与制度の策定で求められるものとは、従業員のひとりひとり、さらに言えば企業としての全体の存在を現実世界の実態で捉えると同時に、賃金という数字の世界で抽象化して捉えることだと考えています。

すなわち、それは、血の通う現実世界の実態、企業文化を嗅覚のような感覚で捉え、賃金という抽象化された数字から傾向や法則性導き出し、一定の仮説となる条件を設けて、その検証分析を行い、新しい会社やその労務をイメージして、これからの会社の方針や思想を給与制度として示し制度化することです。

給与制度のコンサルティングをしているとき賃金や労働時間に伴う法律論以外に、ふと思い出す学問があります。それは、大学生のときに勉強をした経済原論。一定の仮説の下に、経済という巨大な市場を分析できる関数式まで抽象化してしまい、経済の現象や対策の仮説を考察する学問です。

コンサルティングの実務には、全く関係がありません。恐らく、直接的には、何の相関関係もないでしょう。しかし、何かベースとなる自分の思考に、影響しているような気がするのです。給与制度策定のコンサルティングをしているとき、頭を回してしている思考リズムが、抽象化された関数式の経済原論を考えていた思考リズムに似ているような気がするのです。

私は、文科系なので、数学という学問の奥の深さは知りえません。恐らく、数学とは、あらゆる世界を、数字という言語で分析できるまで抽象化してしまう究極の所業だと想像しています。

「数字に強くなる」ということは、今でもきちんと理解が出来ていません。恐らく、各人が意図して伝えたいことは、哲学や数学のように言語による形式知だけで理解することは難しく、また、様々な思想があるのでしょう。

今回、2回にわけて取り上げた「数字に強くなるとは何か!」というテーマ。メールマガジンで文章にしていくこと自体が、とても難しかったです。メールマガジンを書きながら、自分の理解の浅さが身に染みていました。

最近、数字の理解に関して、少しだけ理解が出来た大切な論点があと2つあるのですが、今の自分ではとても文章には出来そうにありません。理解が増し整理できたら、伝えていきたいと思います。

弊社のクライアントの役員の方々は、理科系の方が多い。私が、到底理解出来ない領域に到達しているはず。お会いしたときに、皆様の数字論を教えて頂けたら嬉しい限りです。

作成日:2012年4月16日 屋根裏の労務士

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