コラム Column

「王朝文化の美意識の到達点」

先週の金曜日に関西方面に出張をしてきました。11月の第4週の週末。京都が艶やかな紅葉に染まる時期です。今回の関西方面への旅。実は、仕事ありきではなく、事前にプライベートで、京都を宿にした旅の予約をしていました。そこに、たまたま、関西方面での出張が重なったのです。

仕事での出張となると、自分の気持ちの中に、旅のワクワク感は、なくなります。1週間ぐらい前から、緊張感に全身が包まれます。緊張した分、仕事が終われば、何とも言えない解放感に全身が包まれます。

今回の京都旅行は、半年前から宿の予約をしていました。紅葉時期の京都。近年は、この時期に海外からの旅行者が殺到。半年ぐらい前から、宿の予約をしておかなければ、京都市内に宿をとることは出来ません。

今回の旅は、5月のゴールデンウィーク明けに、宿の予約をしていたのです。今回のプライベートでの旅の目的は、下記の2か所の庭園を訪れることです。

  • 「修学院離宮」と「仙洞御所」

京都には、事前に予約をしておかなければ、参観できない寺院や庭園が、いくつかあります。特に、宮内庁が管轄している庭園は大人気。事前に予約が必要になります。

予約の早い順に受付け、定員になり次第、受付終了となります。同一日で定員を超える申込みがあった場合には抽選です。11月の紅葉の時期は、特に人気があり、ほとんどの日が抽選になります。

参観希望日の3ヶ月前の月の1日から受け付けており、秋の時期は、初日で受け付けが終了となってしまいます。実は、以前、一度、「修学院離宮」の参観に往復はがきで申し込みをしたことがありました。しかし、抽選になる前に、受付が終了という返信。先着枠に漏れていたので、抽選すらしてもらえませでした。予約は、下記の3つの方法ですることができます。

  • 郵送、インターネット、窓口持参

昨年、インターネットでの予約を試みました。しかし、受付開始日にアクセスが集中しているようで、なかなかホームページに繋がらない状態。日中は仕事があります。結局、アクセスができないまま、次の日には予約受付が終了になっていました。

今回、往復はがきで申し込みをしたら、2か所とも抽選にあたりました。私は昔からくじ運だけは良く、よく抽選に当たるのです。申し込みのハガキを出した1か月後に、日時が印刷された返信用のはがきが届いていました。ちなみに、往復はがきでは、時間指定の希望時間までは出来ません。

これまで、必ず事前予約が必要になっていましたが、今年の8月から、当日受付の枠を設けています。しかし、先着順でかなり並ぶため、地元の人でもなければ、当日枠での参観は現実的ではありません。

私は、日本庭園の鑑賞が人生の楽しみの一つ。毎年都内9庭園のフリーパスを購入して、何度も、同じ庭園に足を運んでいます。庭園美というのは、一期一会です。毎回、同じように庭園が見えることはありません。

自分の専門分野や趣味について。素人や興味がない人には、同じようなことを繰り返していたり、同じように見えるだけかもしれません。しかし、専門者や好きな人の目から見れば、すべてのケースが、毎回毎回、違うように見えているのです。

「修学院離宮」と「仙洞御所」については、かねてより、自分の庭園美に関する審美眼を磨いてから、一度、訪れてみたかったのです。修学院離宮は、17世紀中頃、後水尾上皇によって造営された悠大な庭園です。

上・中・下の3つの離宮からなり、借景の手法を巧みに採り入れた庭園として、我が国を代表する日本庭園です。他の庭園にはないような壮大なスケール。巧みな自然地形の利用。厳密な建屋の配置。

これまで、見てきた日本庭園の中でも、「修学院離宮」は、格別にすばらしい庭園でした。特に、最後に見る下離宮の美しさとその仕掛け。見る者の心を揺さぶられるような感動があります。

海抜149メートルの高さにある下離宮の「隣雲亭」。表門から絶景ポイントの「隣雲亭」へと続く石段は、大刈込の中を通って繋がっています。大刈込の石段の道中は、視界が遮られます。そんな視界が遮られた空間から、「隣雲亭」に臨むといきなり視界が広がり、目の前に絶景が飛び込んでくるのです。何とも意表をつく、実に見事な仕掛けがなされているのです。

更に、この絶景は、左手には京都市街を一望して京都の山々を見渡すことができる場所です。壮大なスケールの景観を一望の下におさめることが出来る絶好のビューポイントなのです。私は、この絶景の庭園を見たときに、下記を呟きました。

  • 「お見事!」

後水尾上皇が、十余年の月日をかけて理想の庭園美の造園をする地を探し求めた結果、この地に辿り着いたこと。「隣雲亭」からの絶景を見れば、直観的に理解することが出来ます。後水尾上皇の美意識のDNAを取り込めたような感覚になります。

「修学院離宮」は、「桂離宮」や「仙洞御所」とならび、王朝文化の美意識の到達点を示すものとも言えるでしょう。今回、「修学院離宮」と「仙洞御所」を参観して、自分の中の審美眼を鍛えるために、大変勉強になりました。

いつか、もう一つの庭園美の最高峰と言われる下記の庭園も参観してみたいです。

  • 「桂離宮」

「桂離宮」には、細やかにして巧みな庭園美が見事なまでに埋め込まれてある庭園と聞いています。庭園マニアを唸らせるような仕掛けをほどこされた庭園と噂で聞いています。「修学院離宮」の悠大な庭園とは、全く違うタイプの美しさの様です。自分の庭園美に対する審美眼を鍛えに鍛えてて、いつか、「桂離宮」も訪れてみたいです。

作成日:2016年12月5日 屋根裏の労務士

お問い合わせ

電話番号 03-3988-1771 受付時間9:00~19:00(土日祝祭日を除く)

お問い合わせ

コラム

  • 採用情報