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「外資系企業のマネージャーの能力とは!」

弊社には、クライアントに外資系企業も比較的多く、各種労務の対応をさせて頂いています。
昨年度も、大規模な制度改定を対応させて頂きました。現在も別の外資系企業で、各種プロジェクトを対応させて頂いています。

当たり前かもしれませんが、外資系企業であっても日本の法律が適用されます。そのため、就業規則を中心とした各種規程の大枠の内容は日系企業と同様になります。

しかし、その中身の内容は、各種微妙に異なります。日々、運用をしていくと解釈や判断も、何かと異なるものです。日常の質問や相談の内容自体に、かなり特徴があるのです。外資系企業の相談をしていると海外邦国の文化の影響を強く受けているのを感じるのです。

この文化の違いは、外資系企業に限ったことではありません。日系の企業でも基本的には同じなのです。

一見、同じような業界、同規模の会社でも会社が異なれば、別の国と思える程、労務の常識や対応は違うものなのです。

企業の文化や風土は、様々なことが要因となり、様々な経緯を積み重ねて形成され、現在にあるからです。

私は、労務相談は、それぞれのクライアントのベースとなる企業の風土や文化の特徴を個別に理解が出来なければ、しっかりとした対応はできないと考えています。また、分かったつもりになってしまうのが、一番危険だとも思っています。

企業の強みや弱みは、企業の風土や文化から生み出されています。ゆえに、企業が抱える課題や問題も企業の風土や文化が、関係しているとも言えるでしょう。日常的に起こる、末端の労務の相談も、少なからず影響しているのです。

先日、ある外資系企業の方と打合せをして、気が付いたことがあります。それは、次のことです。

  • 「自分の話したことが、相手にすべて伝わっている」と思っていないこと。

外資系の人事担当者や役員を感心するのは、『自分の思い込み』で、モノゴトを進めていくことに概して日系の企業の方より、注意して意識をしていることです。

各人が異なる常識と価値観を持っていることを肌身に染みて、認識しているように感じるのです。

自分の上司や部下に、様々な国籍と文化の違いをもった人が日常的にいるので、意思疎通の難しさを心得ているのでしょう。外資系の方は、次の意識が概して高いと思います。

  • 『自分は・・・だと思っていました』ではなく
    「相手は・・・だと理解するだろう」という意識

外資系のマネージャーの方は当たり前に身につけている能力なので、自分では気が付かないかもしれません。

  • 文化の違いや相手の常識を踏まえて、
    自分の発言から相手の理解を意識したうえで
    自分の意見を述べていく能力。

上記の能力を鍛える訓練がとてもよく出来ているのです。

何か労務に関する制度を策定するときには、打合せの過程の中で、色々な独自の質問が出てきます。私自身、これまで想定しいなかったことに気付かされることも多いのです。

外資系企業のプロジェクトは何か資料を提出すれば、その解釈やニュアンスをめぐり日系企業の2倍以上の質問と確認を要するのが普通。恐らく文化の違いが影響しているかでしょう。上記は、概ね、どの外資系企業と打合せをしても言えることなのです。

私の方も、自分の常識にとらわれず、丁寧と思って頂ければありがたいのですが、かなり、クドイ確認と説明をしながら進めていきます。

以前、ある外資系のマネージャーと打合せをしたとき下記の質問をしました。

  • 「外資系企業のマネージャーの難しさは何か?」

それに対して下記の返答を頂きました。

  • 「日本法人と海外法人との文化の違いを繋ぎ、
    双方の文化を掛け合わせた、シナジー効果を発揮させること。」

英語力は必要だが、それは単なる手段に過ぎず、マネージャー職には、もっと根本的な文化の違いを認識して調整していく能力が多分に求められると話していました。

このマネージャーは、何か問題が起きた場合、日本の常識を前提では、進められなし、海外の常識を前提にも進められないと言っていました。

「双方が当然だと思う常識の違い」を持ちながら対話を図り具体的な解決を図ることが、多分に求められているのです。

終身雇用が崩壊し、雇用の流動性が高くなり、様々な価値観が入り混じる日本の企業社会。

  • 「相手は・・・だと理解するだろう」という意識

上記の意識を持ち、お互いの調整を図り対話をしていくこと。これからのビジネスで、益々大切になってきます。

このことは、マネージャー職の方だけでなくスタッフ職の方の方にも同様であり、世代間を超えた共通の能力だと思うのです。

異文化を認め合い、シナジー効果を発揮させる外資系企業のマネージャーの手腕には、見習うべきものがあると思います。

作成日:2012年7月16日 屋根裏の労務士

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