コラム Column

「65歳定年と新しいことへの取り組み!」

先週、新聞各紙で「定年年齢と65歳までの雇用」のテーマについて、取り上げられていました。厚生労働省で、「ポスト定年世代」の65歳まで、働ける仕組み作りを考える議題がスタートするからです。現在の定年年齢に関する「高齢者雇用安定法」は自民党政権時代に作成されたものです。

4年前、国は、定年の問題を先送りにした形での中途半端な法改正でした。実は、私、自身も当時の定年年齢に関しての継続雇用制度のコンサルは、未完成だと思っています。シニアスタッフ制度や労使協定書による再雇用についての基準など、当時はクライアントから喜ばれましたが、この制度も改定の必要性を予想しています。次回予想されうる法改正の対応と併せて、私の継続雇用のコンサルティングは完成となります。

今後、「定年」に関しては、年金問題と併せて、再度、議論され何らかの法案を講じられてくるはずです。その時には、また、各顧問先の実情に応じて、ベストの対応をご提案させて頂きます。私の中で既にイメージは出来上がっていますので、お楽しみにして下さい。

ご存じの通り、年金の支給開始が、世代別に、ドンドン引き上げられています。それに対応して、今後定年年齢も引き上げられてくるはずです。現在のように、経過措置対応で、企業側に雇用義務の免除される期間が延びたとしても、国民は年金が支給されないのだから、定年退職後には、働くしかありません。生活保護には、貯蓄要件もありますので、通常の方は、認められないはずです。

4年前の段階の世代の退職のときは、主に、製造業や建設業の重厚長大産業に、定年退職者が集中していました。当時、定年を迎えたベテラン社員には、技術の伝承や若い社員への指導が期待され、人生の大先輩として再雇用の条件に、技術伝承や指導の期待を取り入れた制度を設けました。

その後、定年に関しての深刻な相談は、ポツリポツリとある程度でしたが、重厚長大産業から、軽薄短小産業の業界でのコンサルティングが多くなりました。再雇用の条件についても、内容に大きな変化がありました。特に、IT業界での再雇用については、ベテラン社員には、とても厳しい内容です。何と、IT業界の多くは、ベテラン社員が技術の伝承や指導などはしなくても良いというのです。私は、とても厳しいと感じましたが、ベテラン社員には、次のことを求めていました。

  • 「会社の新しいことへの取り組みに対して、前向きに取り組めること。」

IT業界は、ベテランの技術や言語より、新しい技術や言語を身に付けた者の方が、断然に優秀だというのです。更に旧態依然の考えや行動ではなく、新しい考えや行動を出来ないのであれば、うちの会社には必要ないとバッサリと言っていました。

私は、この話を最初に聞いたとき、身の引き締まる思いがしました。私が子供の頃、何となく、高齢者は、その存在自体が、人生の大先輩として、無条件に、社会から尊敬されうる存在だったと思います。戦時中の話しなどを聞くたびに、自然と尊敬と感謝の気持ちが湧いてきました。

説明するまでもなく、これからは、超高齢化社会です。誰もが、年をとり、高齢者になります。恐らく、将来、年金の支給開始は、67歳に引き上げられ、定年も67歳になり、最後は、エイジレス社会になると思います。アメリカでは、すでに年金の支給開始は67歳なのです。今後、超高齢化社会を支えるのは、若者ではないと思います。恐らく、高齢者になる私たち自身のはずです。現在、40歳以下の方は、70歳ぐらいまで、働くことを覚悟する必要があると思います。しかし、一方で、新しい取り組みが出来ないならば、社会のお荷物にもなることもありえます。顧問先でも、元気で活力あるベテラン社員に共通するのは、これまでの経験を押しつけるのではく、経験をベースにして、新しい考えを取り入れ、新しい取り組みに対して、前向きに推進していく方々です。

私は、自分自身が、旧態以前の考えになっていないか、新しい取り組みが出来ているかなどを定期的に考え、IT企業の経営者の話を思い出すようにしています。いつの時代も、社会を創り、牽引するのは、『守りに入った人間』ではありません。リスクを恐れない、命知らずの『掴みにいく人間』です。そこには、年齢は関係ないのだと思います。

作成日:2010年7月26日 屋根裏の労務士

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