コラム Column

「管理職研修に伴うテストの作成」

最近、管理職研修の依頼が増えています。管理職研修の依頼が増えている背景は、クライアントごとに様々です。管理職研修を行う目的や理由は様々ですが、ひとつ共通していえることは次のことです。
  • 会社は、管理職に対して、
    活躍を期待しているということ。

通常、労務の各種問題に対する対応。本社の役員や人事総務の中枢幹部が対応しています。しかし、最近は労務の対応が複雑化しています。本社の方だけでは、目が届かなくなっていること。どうやら、増えてきた様です。

そこで、会社を牽引していく、現場の管理職の方々の力。会社は、どうしても必要になってきているのです。専門的な本業のことだけでなく、労務のことに関しても教育を行い、幹部社員として、彼らの能力を高めていきたい意向がある様です。

只今、弊社にはマイナンバー制度の導入に伴い、マイナンバーの研修依頼が増えています。先週末に、マイナンバー制度に関する管理職研修をしてきました。来月以降も、管理職向けのマイナンバー制度に関する研修予定が続いています。

マイナンバーの取扱いに対して、会社は本社の一部の者だけにしか、取り扱わせたくない意向があります。いわゆる、マイナンバーを取扱う、事務取扱担当者の選任です。事務取扱担当者は、できる限り少なくしておきたいのが、会社の意向にあります。

しかし、一定数の規模となり、支店や支社がある企業。本社だけで、事務取扱担当者を選任するだけでは、中々、済まない様です。現実的に、実務を突き詰めて検証していくと、どうしても、支店や支社にも、事務取扱担当者を選任する必要が出てきてしまう様です。

事務取扱担当者を選任すれば、会社は一定の教育をする必要が出てきます。そこで、小生の方に、研修依頼が増えているのです。弊社のクライアントは、情報管理や労務管理に関して意識が高い企業が多い。皆様、既に、何らかのマイナンバーのセミナーに参加したり、各種情報収集をしていました。

マイナンバーは範囲が広いので、様々な分野で、マイナンバーに関するコンサルタントも出てきました。連日、皆様の方にも、各種売り込みがあると思います。色々なマイナンバーのコンサルタントが出てきた中で、小生の方に、研修依頼をして頂いた企業。誠に、ありがとうございます。

先週末にマイナンバーの研修を実施した企業。マイナンバーの研修にあたり、下記の様なご要望がありました。

  • 研修終了後に、『簡単なテスト』を実施して欲しい。

これまで、小生は、労務に関する様々な管理職研修やセミナーを実施してきました。研修の最後に、テストを行うこと。実は、今回、初めての試みでした。

労務に関することは、正解がないような難しい内容が多いものです。形式的なペーパーテストにすることが難しい内容が多いのです。

今回、小生の方も、『簡単なテスト』の作成依頼を、簡単に受けてきてしまいました。しかし、実際に、テストの作成に取り組んでみると、テストの作成というのは、中々、難しいものです。テストは、「研修の総まとめ」にもなるものだからです。

私の父は、高校の社会科の教師だったのですが、いつもテストの時期になると、父が悩ましそうに次のことを呟いていたのが、今回、少しわかったような気がしました。

  • 「テストの作成は、教師の大変な仕事の一つ。」

学生の頃、テストを受ける立場の時は、テストを作成する教師の苦労など。考えたこともありませんでした。しかし、今回、テストを作成する苦労。身に沁みて分かりました。

テストというのは、テストを受ける受験者の理解度やレベルを図るものです。しかし、その一方、問題を作成する出題者のレベルも問われるものだと感じています。

日常の労務の相談でも、出来る方というのは、法理や制度の理解を深める様な、実にすばらしい質問してくるのです。正解のない労務の問題に対して、空理空論の仮定の世界の質問ではなく、現実を直視した、実に見事な質問をしてくるのです。池上彰さん流に言えば、下記です。

  • 「良い質問ですね!」

今回、テストの問題を作成するにあたり、最初、単純な知識を問う問題を作成しました。しかし、これでは、研修を受けた後ならば簡単に満点が続出してしまうと感じました。満点がとれてしまう様なテストであれば、折角、時間と労力をかけて、テストを受けるにあたり、実りあるものにならない様な気がしてきました。

そこで、論述問題を出題することも検討。しかし、正確な知識の暗記まで出来ていたり、自分の考え方を論述する様なことまで。出来ていれば理想的ですが、現実的に、そんなレベルまで出来ている必要もありません。

管理職の方々は、人事・総務が本業ではありません。そもそも、研修の時間を考えれば、論述問題を解答している様な試験時間もありません。そこで、研修で得た知識と理解をベースにして、基本的かつ重要な論点について、頭をフル回転させて、解答を求める3択の問題を作成。

  • 研修を受けた後に、
    理解度が増すような問題。

  • 細かい知識の確認ではなく、
    制度の理解を深めるような問題。

あれこれ、考えながら、練りに練って、問題を10問、選択肢30をつくり込んだのです。試験が終わって、テストの内容のご感想。皆様、下記の言葉を連発していました。

  • 「確認テストにしては、難しすぎる!」

研修を受けて、お疲れの中。限られた短い時間で、必死に問題を解いて、皆様、大変お疲れのことだったと思います。テストの結果が悪いと、研修自体に、達成感や充実感が、出てこないものです。どちらかと言えば、ガッカリ感と疲労感が出てきてしまうものです。

しかし、今回、小生が用意したテスト。そんなに易しいレベルには、問題を設定していません。間違えたことで、自信を無くすことは全くありません。何より大切なことは、知らなかったことや分かっていたつもりになっていたことに気が付き、理解を深めることなのです。

試験終了後の解答・解説にも設問を敢えて載せておき、復習をやりやすいように配慮しました。今回、小生が伝えたかった大切な内容。すべて問題に落とし込んでいます。テストの結果より、復習に重点をおいて分からなかった論点を分かる様に理解を深めて欲しいのです。

今回の研修が、マイナンバーの理解に留まらず、皆様のビジネスの本業で、何かヒントになって頂けたとしたら、講師として何より嬉しい限りです。

作成日:2015年10月19日 屋根裏の労務士

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