コラム Column

「なぜ、出来そうな人が、いつも使えないのか?」

私は、大学を卒業するまで、たくさんのアルバイトをしていました。その経験は、今の仕事でも何かヒントになることがたくさんあり、自分の肥やしになっていると思います。

その中で、パチンコ店でアルバイトをしていた経験があります。パチンコ店で働いていたのは、時給の高さもありますが、業界の裏側が知りたかったためです。

現在、クライアントにパチンコ店もあり、打ち合わせの前にはホールを見て歩きサービスなどを勉強させて頂いています。お世話になった業界に恩返しの気持ちで懐かしく思いながら、パチンコ店の労務対応を各種させて頂いています。

  • *(ちなみに、小生は、パチンコ店の労務対応に関して、現在のクライアントと重複する営業地域では、対応する意向はありません。パチンコ店特有の就業規則や給与制度などの人材戦略があります。狭いエリアで他のライバル店に協力することは、道義的に出来ないと考えております。)

当時、パチンコ台攻略の都市伝説のようなものが多くありました。そこで、実際、どうなっているのかを確かめるために、アルバイトをやりだしたのです。

私は勤務しながらパチンコ台を観察して、1機種だけ攻略法を見つけました。しかし、私が見つけられるような攻略法は、すぐにプロにも暴かれるし、メーカー側、店舗側の対応は早い。見つけた攻略法で勝つことはありませんでした。社会人になってから、ほとんどパチンコはしていませんが、人生通算で大きく負け越しているはずです。

パチンコ業界は、小さなホールの中が、まるで社会の縮図のようでした。特に一般台のパチンコ台を見ていて、感じたことは次のことです。

  • 「出そうで出ない台は、結局出ない。」

特に一般台を打っていると『この台は勝てそうだ!』と思うときがあります。しかし、そんなに現実は甘くありません。「開放台」と思わせて、実は『回収台』の釘・設定をしているのです。

店長はプロ中のプロ。全く勝てそうにないような設定はしないのです。当然、常連もそんなことぐらいは、わかっています。しかし、わかっていても、ハマってしまうのです。

『次は出る。次は出る。』と思い注ぎ込むと大敗。『回収台』を打っていて勝つことなんて、滅多にないでしょう。勝つためには、「開放台」を打つことです。また、パチンコは勝つためだけで行くところではないのです。様々なサービスがあり、ストレス解消ができ、一定のコミュニティも存在しているのです。

このことは、ビジネス、人生でも教訓になりました。例えば、人材の採用ではどうでしょうか。

  • 『出来そうで出来ない人は、結局、出来ない。』

企業活動の中で、人材の採用は大きな投資の一つです。どの企業でも、採用がスムーズなケースは少ないはずです。特に、高額報酬者の採用ほど難しいものはないでしょう。企業が採用で成功するときは、次の二つが多いのです。

  • 「最初から、一定の期待値に近い成果を出している人」

  • 「それほど期待していなかったのに、大化けして成果を出す人」

概ね、期待値を超える戦力となるのは、2割程度。上記のいずれかのケースでしょう。また、1%ぐらいの確率で、会社に大爆発のフィーバー状態の利益をもたらす、「開放台の中の開放台である逸材」がいるでしょう。その逸材を呼び込めた場合、会社自体が大化けすることになります。

『出来そうで出来ない人』が、将来、大化することは、無いと言ってもよいでしょう。理由は、『出来そうで』というところがポイント。『出来そうで』というのは、採用する側の何らかのバイアスによる思い込みだからです。思い込みを取り除いてしまえば、結局、現実は何も出来ていないのです。

つまり、『出来そうで出来ない人』は、「出来なそうで実際に出来ない人」と同じなのです。「出来なそうで実際に出来ない人」に対して、見極めは早い。実際、正式に採用されることも無いでしょう。被害は、最小限で済みます。しかし、『出来そうで出来ない人』には、膨大な損失を被るリスクが多分にあるのです。

『出来そうで出来ない人』には、周囲は甘やかしている傾向もあります。そのために、当の本人も自分は特別な存在であると思い込んでいたり、きちんと教育・指導がなされていないことも多いのです。更に、プライドは高く、意見やアドバイスにも簡単には耳をかしません。

そのため、状況がドンドン悪化していきます。会社もつぎ込んだ時間と人件費、紹介料など採用にかけた費用が惜しくなります。そのため、さらに不毛な状態を継続させ事態を深刻化させるのです。部長クラスの高額採用の場合、周囲もその悪影響を多大に受けるので、組織自体をメチャメチャにされてしまうことすらあるのです。

以前、この話をクライアントの社長にしたら、社員の採用だけでなく、取引先や付き合う業者、赤字商品も一緒だと言っていました。儲かりそうで儲からない取引先。役に立ちそうで役に立たない業者。売れそうで売れない赤字商品などなど。

それらが、利益を出したり、いざという時に、役に立つことは無いと言っていました。たいてい、いつも使えないで、いるものなのです。

『出来そうで出来ない人』は、各種経歴や実績の門構えだけは立派。

これまで周囲の実績に対し、立場を利用して、自分の実績や手柄にしてしまい、勘違いしてきたのでしょう。周囲も出来そうな雰囲気のハッタリで、騙されてしまうのです。

何か深刻な調整事項が起きても、役に立つことはありません。毎回毎回、どこかで教わったような机上の一般論を述べるだけ。ピンチは防げず、チャンスは潰される。いざという時、何の判断も出来ず、立ちん坊の状態。主体性がなく、全く使えない。

さらに酷い者だと自分の無能がバレテしまうのを恐れて、何かあると逃げてしまい、あれこれ言い訳をして関わろうともしないのです。自分に当事者意識が欠落しているのです。

人事や総務など労務の経験が無い方でも、クライアントの方々は安心して下さい。当事者意識の高い方であれば、小生がついていますので、心配することはありません。

人生にはパチンコの『回収台のようなもの』がたくさんある。
その見極めは難しく、いつも人を悩ませているのです。

作成日:2011年6月13日 屋根裏の労務士

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