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「春一番、人と別れて、人に会う。」

春になると、私の親友が、作った俳句を思い出して、ふと、つぶやいたりします。
  • 「春一番、人と別れて、人に会う。」

桜が舞い散る中、温かく、強い春の突風。その風とともに、別れと出逢いが交錯する季節。それが春でしょう。

私は、地方の工業都市で育ちました。工業都市ですので、とにかく、人の出入りが多いのです。子供のときから、心通わせた、親友との別れ。たくさん、経験してきました。

2月の厳冬の季節に、転校の話が出て、友との別れが近いことを、打ち明かされます。大抵の場合、子供が簡単に行けるような場所の転校ではありません。もう、会えなくなること。別れを、察します。自分の心の中に、襲ってくる圧倒的な寂しさ。そして、その後に、気が付くのです。

  • その場に残る、自分の寂しさよりも、ずっと深い、
    離れていく、友の寂しさを。

  • 新しい環境に飛び込む、
    友の不安な心持ちを。

  • 「心配するな」と気遣う、
    友の優しい気持ちを。

そんなお互いの気持ちが、別れるまでの、「今」という一緒に過ごせる時間を「かけがいのない時間」にします。「今」という瞬間、瞬間。この「かけがいのない時間」を過ごすとき。この言葉の意味を、直観的に、理解することが出来るのです。

  • 「一期一会」

別れとは、慣れるようなことではありません。どの別れも、何か、特別な情緒感を纏うものです。そして、そんな別れを経験して、「一期一会」を感じるとき。周囲にいる親友との結びつき。それを、より強いものとします。何か新鮮な気持ちで、温かい感謝の気持ちで、毎回、接することが出来るのです。

4月は、人事異動があります。転職する方もいます。別の部署で、新しい仕事にチャレンジしたり、別の会社で、チャレンジしたり。

これまで慣れ親しんできた環境から離れて、未知の世界に飛び込むことになります。新しい環境に、すぐに慣れるケースもあれば、なかなか馴染めないケースもあるでしょう。馴染めず、結果が伴わず、自信を無くすこともあるかもしれません。

しかし、自信を無くす必要はありません。環境が変われば、常識も変わります。何かと、前提が、変わるものなのです。慣れるまでには、一定期間の時間が必要になるものです。いわば、新しい環境に飛び込む際の「儀式のようなもの」と割り切るべきでしょう。

  • 新しい世界で、試行錯誤して、苦労して掴んだこと。

  • それは、その後、飛躍的な成長となる礎。

4月は、別れがある一方、新しい出会いもあります。新しく人事部に赴任された方も、慣れない環境で、戸惑うことが、あるかもしれません。慣れるまでの失敗、何か焦る気持ち。そんなことは、極力、無い方が良いに決まっています。しかし、現実は、何かしら、あるものでしょう。

そんなとき、反省はしても、自己否定や自信喪失をする必要はありません。「儀式のようなもの」と割り切り、気持ちを切り替えて一つ一つ、目の前のことに取り組んで、目の前の道を進んでいくことです。

  • 別れの風は、新しい出会いの風。
    別れと出会いが交錯する春の季節。

春は、社会保険の入退者の繁忙期。総務の方は、離職票を作成したり、保険証発行の手続きをしたり。私も、社会保険の事務手続きをしながら、別れと出会いが交錯する春の情緒を感じています。そして、「一期一会」の言葉を理解するのです。

私は、春の情緒の中、親友がつくった歌を、ひとり、口ずさみます。

  • 「春一番、人と別れて、人に会う。」

皆様に、良き出会いを。
そして、今日も良い日を。

作成日:2013年4月1日 屋根裏の労務士

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