コラム Column

コロナの対応について その3 「心の傷」

桜の開花がスタートしました。観測史上最も早い開花です。寒かった冬が終わり、桜が開花して、春の訪れを感じています。例年であれば、桜の開花は辛く苦しい3月の繁忙期のゴールが見え始める嬉しさの象徴です。

年度末は納期に追われて苦しい状況ですがゴールが見えてきます。気持ちの方はラストスパートで、モチベーションが出てきます。桜は開花しましたが、気持ちの方は、コロナウイルスに伴う影響で不安な気持ちになり、ストレスが強くなっています。

感染拡大を防止するためのイベントの自粛。花粉の季節なのに、くしゃみや咳をすることも許されないような雰囲気。不用意に病院にも行けない状態。どこに行っても、店員はマスクをつけ、笑顔もなく、黙って処理をするような応対。

コロナウイルスの不安には、下記の2つがあると思います。

  • 周囲から、「うつされてしまう」
    のではないかという不安

  • 若しかしたら、自分も既に感染しており
    周囲に「うつしてしまう」のではないかという不安

迷惑を被りたくないし、何より、迷惑をかけたくありません。結局、コロナウイルス対策で、感染防止に向けた最適な行動。イベントを自粛したり、黙って処理したり、人込みの多い場所は避けて、距離を開けて行動を抑えるということになります。

  • 「当たり前の日常」

そんな「当たり前の日常」が、幸せな日々であったことに気が付いたりもしています。行動を抑制することが「感染防止に向けた最適な行動」になるわけですから、経済が停滞するのは必然です。

オリンピックの特需もあり、採用難となるまでに、景気は一応回復しました。オリンピック終了後の景気後退について誰もが「漠然とした不安」を抱いていたと思います。それが、オリンピックの開催前に、まさかの非常事態。

日本では「緊急事態宣言」は出ていませんが、30兆円規模の緊急対策案まで出てきています。もはや、事実上の国家の緊急事態です。日々、コロナウイルスの脅威と深刻な経済悪化を受け止めながら。経営者のトラウマにもなっているあの悪夢の出来事を思い出しています。

  • リーマンショック

2008年9月に起きたアメリカ発の経済危機。日本企業に大きく影響が出たのは、その翌年。リーマンショックから10年の歳月が経過しました。

あのときの一連の企業対応について。今でも、「心の傷」になっている経営者は少なくありません。そして、自分も癒されぬまま。「心の傷」になって遺っています。

あの時の対応について、クライアントの経営者の方々と話題に出すことも、実は、あまりありません。お互いに、暗黙で触れぬまま。お互いに、何か共通のことになっています。お互いに、何か共通の傷になっています。

  • 「心の傷」が癒えぬまま。
    振り返ることも出来ずに。
    日々、今と向き合って。
    前を向いて、未来に向かって。
    進んでいくしかありません。

生きるということ。
そんな瞬間の連続だと感じています。

時間が経過すると客観的に捉えることが出来ることが多いものです。リーマンショックから10年が経過したとき。あの時の経済危機を振り返る特番などがあると思っていました。

日経新聞の1面にはなりましたが、大きく特番などが組まれることは、ありませんでした。当時、メディアは、連日、自民党の総裁選について報道していました。

人が、直接、死んでいないからなのでしょうか。日本の経済的な不況についてリーマンショックの日時を特定できないからなのでしょうか。追悼のようなことは当然ありません。取り上げられて、思い出されるようなこともありません。

経営者やリストラにあった人にだけ遺っている「心の傷」なのかもしれません。

リーマンショック、民主党への政権交代、東日本大震災、自民党への政権交代。アベノミクスという言葉が出てきた頃。景気が少し戻ってきたときに、仕事が落ち着いてきたので、郷里の友達や旧友と連絡をとり久しぶりに再会をしました。

私の友達は経営者が多いのですが、やはり、リーマンショックは「心の傷」になっており、トラウマになるような対応だったようです。お互いに暗黙で、具体的なことについて、深く触れることはしていません。友達とは、何か暗黙で、お互いに仕事の話はしないのです。

再会が出来たことに感謝をして、いつも楽しい時間を過ごしています。

心を通わせたサラリーマンの旧友とも何人もの方と連絡をとって再会をすることが出来ました。意外だったのですが、リーマンショックのときのことに関してサラリーマンの友達は、下記のような反応だったのです。

  • 『そんなに大変だったの?』

「大変ではなかったの?」と聞き返したのですが、下記のような反応なのです。

  • 『ずっと大変で、今でも大変だよ』

そういえば、事務所の移転があったので大変だったような気もするという程度の反応。

サラリーマンの友達は、ほとんどの人が、話が噛み合わなくなっており、お互いを理解することが難しい状況になっていました。それでも過去の大切な時間を共有しており、気が合うので、それはそれで有意義で楽しい時間です。

リーマンショックのときの対応に関して。その後、機会がある度に周囲に確認したのですが下記のような傾向なのです。

  • 経営者の方は、「心の傷」となり、
    トラウマになった出来事になっている。

  • 労働者の方は、リストラされた方以外は
    自分の心の中で大きな出来事になっていない。

立場が変わると、受け止め方や見え方は、「こんなにも違うものか!」と思ったことの一つです。経営者は思い出したくもないこと。労働者は忘れてしまったこと。

今回の新型コロナウイルスの対応。リーマンショックのことを思い出しながら。週末の3連休を過ごしていました。

  • これから始まる「コロナの対応」に関して、
    覚悟を決めながら

幸せというのは、壊れやすいものです。
不幸というのは、いつまでも続くことはなく、必ず終わりがあります。

今年は、日々、開花する桜の花が、何か、緊張の高まりのようになっています。

作成日:2020年3月24日 屋根裏の労務士

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