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「上司との人間関係」

個別労働紛争の相談件数が公表されました。2013年度の個別労働紛争の年間相談件数は24万5,783件。昨年に比べて3.5%減少していますが、相談件数は6年連続で100万件を超え。依然として高止まりで推移しています。相談の主な内容は、下記です。
  • 第1位・・・「いじめ・嫌がらせ(19.7%)」
    第2位・・・「解雇(14.6%)」
    第3位・・・「自己都合退職(11.0%)」

「いじめ・嫌がらせ」が2年連続のトップ。年々増加の傾向にあります。先日、あるテレビ番組を見ていました。その中で、下記のアンケート結果を取り上げて、各種コメントしていました。

  • 質問 : 『男性20代~60代が一番、悩んでいることは?』

一番多かった回答が、下記です。

  • 「職場の上司との人間関係」

男性の3人に1人が、「職場での上司との人間関係」を、一番の悩みに、あげているのです。そのほとんどが、上司からのパワー・ハラスメントです。

例えば、会議で、何か意見を言えば、意見を否定されて怒られ、黙っていても、意見が無いと怒られ、罵声を浴びせられる。小まめに、報告していれば、『いちいち報告してくるな!』と怒鳴られ。報告を減らせば、『報告が無い!』と怒鳴られる。どちらをしても、何をしても、結局、怒られる。上司からの『ダブル・バインド』による嫌がらせ。

「上司との人間関係」で、誰もが、程度の差こそあれ、理不尽なことを受けた体験が、あると思います。どこの社会でも、理不尽なこと。何かしら、あるものです。どんなに出来た上司でも、神様ではなりません。

私が、サラリーマンだったのは、もう13年前。当時は、まだ、パワー・ハラスメントという言葉や概念がありませんでした。入社当時、上司だった課長は、口癖の様に次のことを言っていました。

  • 『自分たちは、叩き上げで、育ってきた。』
    『自分たちが若いときは、こんなもんじゃ無かった。』

多分、私自身も『叩き上げ』で、育成されてきたのでしょう。しかし、『叩き上げ』という育成方法。今の時代に、馴染まないと思います。前近代的な徒弟関係の弟子入りを、望んで入社してくる人なんて、通常、いないでしょう。

理想を言えば、「尊敬できる上司」から、直接、指導して頂けることがベスト。器が大きくて、人間的にも、技術的にも、魅力のある上司から、指導を受けることです。

  • 「尊敬できる上司」に、巡り会った人。
    「尊敬できる上司」から、直接、指導を受けられた人。
    「尊敬できる上司」が、日常の中にいた人。

職業人生の中で、何より幸運な出会いが、あった人でしょう。間違いなく、良い縁があった方です。ある意味、職業人生の鉱脈を見つけたのと同じす。仕事に関する直接的なノウハウだけでなく、尊敬できる上司から様々な影響を受け、職業人としてのベースの思想や能力を身に着けることが出来たことと思います。

しかし、実際に、その人にピッタリあった、「尊敬できる上司」に、巡り会える方。ほんの一握りの方だと思います。個別労働紛争の年間相談件数で、パワ・ハラが、第1位になり、サラリーマンの3人に1人が、一番の悩みに、『職場での上司との人間関係』をあげている実態があるのです。

その人にピッタリあった、理想像のような上司が、直属の上司になるようなことは、滅多にあることでは無いでしょう。現実的な問題として、自分と合わない上司が、職場にはいるものです。そのため、自分と合わない上司と上手く、折り合いをつけていくしかありません。

私が、サラリーマンの時に、自分と合わない『上司との人間関係』で心掛けていたことは、次のことです。

  • 上司が持っている、「技術的なスキル」を見つけて
    そのことを尊敬すること。

人は、人格的にも、技術的にも、すばらしい人を好きになり、尊敬するものです。懐が深く、人望があり、仕事が出来る人です。いざという時、困った時や苦しい時に、「心の支え」になってくれるような人。

人とは、実に、素直で正直なのです。嫌いな人に対して、大人の振る舞いで、表に出さずに隠していても、どうしても態度に出てしまい、相手に伝わってしまうものなのです。

好きではない人、尊敬が出来ない人からは、技術的なことであっても、素直に、教わることが出来ないのです。人間的に尊敬が出来ない、嫌いな上司からは、効果的に、学び、成長することは、中々、出来ないものです。ましてや、困ったときや苦しいときに、「心の支え」に、なることなど無いでしょう。

自分と合わない上司が、直属の上司になってしまった場合、上手くやっていくためには、どこか尊敬できるところを見つけていくことが、大切だと思います。人望が無く、好きになれない上司でも、「自分より、優れた何か」をもっているものです。その優れたところを尊敬して、学んでいくのです。

入社1年目に、頑固な自分に、先輩がアドバイスしてくれた言葉です。

  • 「人生、我以外、皆、我が師。」

今でも、時として、上記の言葉を思い出してその意味を噛みしめています。

上司と部下の関係では、通常、上司が部下の良い個性を、見つけて、伸ばしていくことが大切だと当然に思われています。しかし、部下の方も、上司の長所を見つけて、引き出していくことが、大切なような気がしています。

上司と部下がお互いに、マイナス感情を持ち、お互いが認め合えずに、軽蔑した感情を抱いている時に、パワー・ハラスメントが起きているような気がしています。自分が相手に良い感情を持っていないのに、相手が自分に良い感情を持つはずがないと思います。

人間関係とは、複雑で難しいことだとしみじみと痛感しています。

作成日:2014年7月14日 屋根裏の労務士

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