コラム Column

「できること」

ロシア軍のウクライナ侵攻で大勢の市民の殺害が明らかになりました。ロシア軍の残虐な行為に世界に衝撃が広がっています。

ウクライナの検察当局の発表では、ブチャなどキーウ近郊で、遺体で見つかった市民の数は410人。被害はさらに広がるおそれがあります。

後ろ手に縛られたまま殺害されたと見られる遺体。撃たれて自転車ごと倒れたままになっている遺体。戦時であっても武器を持たない市民を殺害すること。国際法で許されない犯罪行為です。

しかし、戦争犯罪があったとしても敗戦国や弱者は泣き寝入り。そんな残酷な現実もあります。戦勝国や独裁者は法の裁きを受けないことも事実。それどころか、敗戦国や弱者を裁く側の立場。そんな悔しい現実もあります。

  • 勝者が歴史をつくる

そんな現実があります。

ロシア軍のウクライナ侵攻について、国際司法裁判所(ICJ)への提訴をしていきました。ICJは、ウクライナの要請に基づき、暫定措置命令を発出しました。

しかし、国連の常任理事国への提訴は法的な拘束力は一応あるはずですが、現実的はどこまで実効性があるのかは定かではありません。

また、3月に、国際刑事裁判所(ICC)が捜査を始めると発表されています。しかし、そもそもロシアはICC規程の締結国ではありません。そのため、ロシアは事実を否定して、簡単には事実を認めませんので、立証は難しいのが現実。

プーチン大統領は下記を主張しています。

  • 『ウクライナ側による挑発行為だ』
    『ロシア軍を誹謗中傷するためのねつ造だ』
    『うまく演出された悲劇的なショーだ』

ロシアを貶めるための演出として対決姿勢を崩していません。ちにみに、ICCに加盟していないのはロシアだけではありません。

  • アメリカと中国もICCに加盟していません。

色々と理由をつけて、アメリカ、中国、ロシアはICCに加盟していないのです。現実的な問題として国際司法の場で、あの3大国のリーダーを戦争犯罪で、個人的に刑事事件で立証し、責任を追及して裁くのが極めて難しい状況というより現実的には出来ない仕組みに近い状態になっているのです。

それでも、現行では国際的な事件を裁くのはICJ とICCしかないわけですから、国際社会は、この裁判所の捜査に協力して支持していくしかありません。

ゼレンスキー大統領は自らがブチャに足を運んだうえで、国連安全保障理事会で、下記を訴えました。

  • 「第2次世界大戦後、最も恐ろしい戦争犯罪だ」

ロシアの戦争責任を追及する構えを示し、「国際社会の支持」を改めて訴えました。国際社会は「ウクライナ支持」の気持ちを持つことぐらいしかできないし、それが大きな力だと信じたいです。

ウクライナの難民が日本に避難してきました。正直、人数は少ないです。

私の郷里、群馬県の山本一太知事は政府のウクライナ難民の受け入れを踏まえて、早々に群馬県での受け入れを表明。先日、桐生市で過ごすウクライナ人が報道されていました。

課題山積ですが、縁あって群馬県に来たことを良かったと。何より、日本に来たことを良かったと。後になって振り返ってとき。思って頂ければ、嬉しい限りです。

また、大泉町も、早々にウクライナ難民の受け入れを表明。大泉町は、既に5人に一人が外国人の暮らす街です。外国人が多いのは、SUBARUや三洋電機(現・Panasonic)、味の素などの大手企業の製造現場があるからです。

1990年に入管法が改定され、定住者への在留資格が創設された影響で、1992年には一気に外国人が移住をしてきたのです。しかし、労働力不足や入管法の改正だけで、外国人の移住者が増えたわけではありません。下記も大きな要因であったはずです。

  • 「外国人の差別が少ない県民性」

私の郷里は地方都市では珍しく人の出入が多い街です。よそから来た人に、街が寛容で開かれていて、「差別の少ない県民性」なのです。

特に大泉町は、外国籍住民の約70%が永住定住で、10年以上住んでいる方が多いのです。大泉町は、あらゆる差別の撤廃をめざす人権擁護条例を全国の町村では一番、最初に制定した町です。

しかし、そんな制定をしなくても、うちの地元の連中は、もともと、よそから来た人には寛容で「差別が少ない県民性」です。

そのため、外国人が外国人を口コミで呼び込んでくれているのです。大泉町がウクライナ難民の受け入れを表明したときに、大泉で暮らす外国人が報道されていました。高校生の外国人の女性が笑顔で下記のように話していました。

  • 「暮らしやすい雰囲気です」

「暮らしやすい雰囲気」のベースにあるのは、「差別が少ないこと」のはずです。

『移民が増えると治安が悪くなる』と心配に思う人も多いのが実情。しかし、私の郷里では、治安は悪くなっていません。外国人と共生して、楽しく生活しています。私の郷里の友達も外国人と結婚しています。

地元の人も、自分たちのことを知らないことが多いものですが、太田市のGDPは、約1兆5千億円にもなります。製造品出荷額等では、約3兆円弱、全国で12位。これは、政令指定都市の広島に次ぐ順位。上記の数字の背景には外国人を受け容れて、人口減少を防いできたことが大きいのです。

避難してきたウクライナの人達もうちの地元の連中が、仲良くやってくれるはずです。今回のウクライナ危機で、個人的には、「支持の気持ち」だけで、具体的な行動は何もしておりません。

それでも、避難してきたウクライナ人だけではなく、いつも身近に接する外国人の人達と「差別なく共生すること」が、まずは支持・協力への具体的な行動の第一歩だと思っております。

外国人の人とだけではなく、様々な価値観の人と「差別なく共生すること」がダイバーシティーの社会では大切なことだと、いつも当たり前に思っております。

「差別なく共生」という捉え方ではなく、数ある国の中から、日本に来てくれて、東京に来てくれて、群馬に来てくれて。「ありがとう」の感謝の気持ちの方が強いです。

作成日:2022年4月11日 屋根裏の労務士

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