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『頑張れ!』・・・前編

私は、意識して、口にしない言葉があります。その言葉は下記です。
  • 『頑張れ!』

私は、クライアントの皆様に、 『頑張って!』、『頑張ります』という言葉。多分、言ったことがないはずです。自分とは関係がない他人に対しては、『頑張って下さい』など無責任に言ってしまうこともあります。しかし、自分と関係がある大切な人や身内に対しては、『頑張れ』の類の言葉を滅多に言ったことがありません。

『頑張れ!』を思わず口にしてしまうこともありますが、言った後に、後悔と反省をしています。最近は、この『頑張れ』の類の言葉。無責任に誰かを応援する言葉。規制されつつある様です。昨今は、過労死が増えていることもあり、『仕事を頑張れ』という表現は、弁護士や市民団体などからクレームを受けることが増えてきているそうです。

電通も『頑張る』ことを綴った社員心得である『鬼十則』を、今後、社員手帳に掲載しないなどの取り組みを発表しました。誤解をされたくないですが、個人的には『鬼十則』の考え方に共感を持っています。しかし、それは、身体や気力が充実してモチベーションに溢れているときです。

身体や気力が落ち込んで、疲れているときに『頑張る』ことを綴った言葉かけられても、嫌な気持ちになり、ストレスになるだけです。

うつ病の方に、『頑張って!』はNGだというのは、今や労務の常識になっています。人事担当者で知らない人などいないと思います。そもそも、うつ病とは、下記の病気の状態なのです。

  • 頑張りたくても頑張れなくなってしまう脳内の病気

これだけ、心療内科の病院が増えて、うつ病の人が500万人もいる日本の社会。一定規模の企業になれば、当たり前の様に、うつ病休職者がいます。そんな社会的な背景がある中で、精神論の『頑張れ!』を行動指針にしているのは時代錯誤もいいところです。

うつ病でなくても、『頑張れ!』の類の言葉を掛けられると、今の時代、ストレスとなり、嫌な気持ちになる人は多いと思います。

もう、十分に頑張っているのです。頑張って、頑張って、それでもダメだったときに、『もっと頑張れ!』と言われても、どうにもならない気持ちになるのが当たり前だと思うのです。

他人に対して、「叱咤」をすることが難しい様に、実は、『激励』することも難しいことなのです。

『頑張れ!』の精神論は、何も無かった昭和の時代のマネジメント。モノが溢れ、市場が縮小するデフレの時代には、『頑張れ!』の精神論から離れて、「方法論」を真面目に考えていくことが大切です。

最近は、すっかり流行らなくなりましたね。

  • 『アントニオ猪木の闘魂ビンタ』
    『アニマル浜口の気合だー』

一時的に気合を入れて乗り切ることもありますが、そんなことは、一生することは出来ないのです。ちなみに、私は小学生の頃からアントニオ猪木の大ファンです。

ピンチになって、追い込まれとき、『頑張れ!』の精神論は危険です。

  • 『頑張れ!』は、掛け声の様なもの
    『頑張れ!』は、祈りの様なもの

『頑張れ!』とは思考を放棄した状態なのです。ピンチの時には、まずは、思考を戻して、考えることを続けて「方法論」で行かないと危険です。窮地に追い込まれて、焦ったり、不安な精神状態になったとき。人や組織というのは、『頑張れ!』の掛け声と考え方となり、下記の行動をとってしまうものなのです。

  • 具体的な策も考えずに、
    とりあえず、何か動きたくなる心理状態

厳しい現実と対峙して、冷静になり、策を考えていくことが出来なくなり、焦りの精神状態で無策のまま、行動してしまうものなのです。また、メンタルに弱いタイプの人や組織は、現実逃避の心理状態となり、固まってしまって白旗の状態になってしまうのです。

『頑張れ!』とは、無責任、極まりない言葉なのです。クライアントの皆様も、私から、『頑張れ!』の言葉を掛けて頂くために顧問料を払って、相談できる状態にしているわけではありません。

コンサルタントの私が、クライアントの皆様に、『頑張れ!』と言い出したら、コンサルタントも失格だと思っています。『頑張れ!』は、自分に向けて発する言葉。『頑張れ!』を大切な人に対して、安易に発してはいけませんよね。

作成日:2018年3月19日 屋根裏の労務士

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