コラム Column

「昔のメールを見て思うこと」

弊社のクライアントは、当社に労務相談をするときに、ほとんどの方が、最初に、電話ではなく、メールで、相談事案について、問い合わせしてくることが多いです。

重篤な労務の相談については、メールだけではなく、直接、話を聴いて、「気持ちも共有すること」が大切。メールでのやりとりと電話で直接話を聴くやりとり。両方の使い分けが、大切だと受けとめています。

重篤な労務の問題や複雑に入り組んだ相談。メールを頂き、返信したうえで、電話でも確認、相談しています。場合によっては、訪問のうえ、直接面談です。

私は、重要なメールのやりとりは、かなり厳格に保管しています。長文メールで返信したメールは、すべて保管してあります。クライアントの方々も、私からの長文メールは、大切に保管してあると、度々、聞いています。

クライアントの方々が、まずは、メールで相談するのは、下記のためでしょう。

  • 起きている事実を確実に伝えるため。

  • その上で、相談したい内容を確実に伝えるため。

文章化するということは、相談者自身が、相談事案をより客観的に受け止めることにもなります。起きている事案について、自分の頭の中を整理して、未来に向けて、対応を考えていく構えが出来ると思います。

私からの「メールでのアドバイス」に、評価と期待をしているということも、度々、聞いています。一定の方向性について、私から、文章化して、アドバイスをして頂くことに、評価と期待をしているそうです。私としては嬉しい限りです。

長文の重要メールを保管しておくと、次のことを、より的確に掴むことが出来ます。

  • クライアントごとの労務の傾向

労務の相談には、クライアントごとに、傾向があります。長期にわたり、お付き合いさせて頂くと、その傾向を、かなり、はっきりと掴めてきます。クライアントの傾向を掴めてくるとクライアントの実情に応じた、具体的なアドバイスが出来てきます。

病院の診療カルテのように、メールでの相談内容を細かく記録して、今後の相談対応のベースにしてあるのです。

実は、最初にメールを保管しだしたのは、診療カルテのように、記録をつけて、クライアントごとの個別の対応をしていくことを考えていたのではありません。当初、詳細にアドバイスした長文メールを次のようなことを考えて、保管していたのです。

  • 他のクライアントで、同じようなご相談や質問があった場合、
    アドバイスした内容のメールが、再度、便宜的に、そのまま活用できる。

法律的な論点。アドバイスした内容。折角、苦労して、あれこれ考えながら、文章化したアドバイスや提案対応。別のクライアントでも、同様の相談があった場合、便宜的に、そのまま、使えると考えていたのです。そこで、メールの文章を再活用するために、フォルダに相談内容のインデックスまでつけて、保管していたのです。

個別の相談事案について、都度、記録していくことで、誰でも、使えるような、何か、『便宜的なQ&Aの対応マニュアル』が作成できると考えていたこともありました。しかし、同じメールの文章を、他でも使えたこと。実は、ほとんど、ありません。

かれこれ、今の労務の相談の仕事を10年以上していますが、同じ内容で、対応したことは、ほとんど無いのです。法律論点の引用について、一部、再利用できたことはあります。しかし、それも、数える程しかありません。

解雇や労働条件の変更、日常的な労務の相談など。一見すると、同じような労務の相談です。しかし、クライアントごとに、また、その時の問題社員や会社の状況に応じて、すべて対応が異なるものです。

同じクライアントで、同じような労務の相談であっても、ケースに応じて、相談内容が異なるのです。対応していくアドバイスや提案など。結論は同じであっても、その相談過程は、毎回、毎回、異なるものです。前回のものは、参考にはなりますが、そのまま、便宜的に使えたこと。実は、一度もないのです。

週末に、サーバー内のフォルダを整理整頓していました。その時に、5年前、10年前に、アドバイスをしたメールを、読み返していました。昔のメールを読んだとき、下記を感じていました。

  • 当時の自分の作成文章の稚拙さ。
    当時の自分の法律理解の浅さ。
    当時の自分の労務の理解の浅さ。

何より、5年前、10年前と比べて、現在は、クライアントの方々も、メールでの相談対応が、格段に進歩していることが分かります。相談したい内容について、要点を整理して、わかりやすい文章で、伝えることが出来ているのです。文章力も、相談内容も格段に成長しています。

労務の相談内容でも、法律の理解をベースにして、質問内容が高度化して、より個別化した、相談内容になっています。クライアントの方も、労務の疑問や問題を対応していく中で、日々、理解を深め、成長しているのを感じています。

クライアントの方も理解を深めて、成長をして、理解を深めた、発展的なご相談が増えてきているのですから、私の方も、過去に対応した同じようなメールの内容で、対応できるはずもありません。昔のメールを読み返してみて、クライアントの成長が、自分の成長にも、なっていることを感じています。

良い質問がくると、深い理解と新しい気付きがあるのです。
クライアントの成長に、感謝の気持ちが湧いてきます。

  • 長期にお付き合いをして頂けること。

  • クライアントが労務の理解を深めて、成長していること。

何より代えがたい財産であり、自分自身の成長のベースに、なっていることに気が付き、感謝の気持ちが湧いてくるのです。

作成日:2014年3月17日 屋根裏の労務士

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