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「専門性を支える力」

先週末、遠方に出張をしてきました。社長と二人だけで話していたこともあり、あれこれと話が、横道にそれ、夜の8時過ぎまで、6時間近く、打合せをしていました。

一つの労務の観点から、社会的な観点へと話題が展開していくのです。労務の専門的な話題から、社長の業界や社会全体を捉えた、何か普遍的な思想や考え方へと話が発展。

私は、労務に関するスペシャリスト。つまり、専門職です。日々、労務の知識を得て、労務のコンサルティングを提供しています。

社会が多様化して、複雑化すればするほど、専門化がすすみ、スペシャリストが求められると言われます。特定のことに特化して、プロとなり、自らの刀を磨くのは、社会から当然に求められること。専門性を突き詰めて、極めていけば、極める程、自分の理解の浅さに気が付きます。その一方で、次のことを、強く感じるのです。

  • 『専門性の限界』

仕事が専門化していくということ。すなわち、それは、『入出力が限定化していくこと』でもあります。何か、一定の思考リズムのプログラムを繰り返しているということ。私は、何か、そこに、不健康なものを感じ、限界的な何かを感じるのです。

専門的なことというのは、実利的なことが多い。得た知識やノウハウが、そのまま、すぐに実務に役立つ。しかし、それは、次のことも意味しているような気がするのです。

  • 『すぐに役立つことは、すぐに役立たなくなる』

日々、入力していく専門的な知識や情報。それらは、日々、陳腐化していく。現在、どの業種で営む者でも、日々、膨大な知識や情報を頭に入力していると思います。そして、その知識や情報は、ドンドン陳腐化していると思います。知識社会とは、知識が高い価値を持つ反面、知識が簡単に劣化し、陳腐化する社会とも言えるでしょう。

一方で、陳腐化せずに、普遍的な価値観を持つものがあるような気もします。表現するのは、難しいのですが、それは、「基礎学力」、「教養」、「思想」などを統合したものと言えば良いのでしょうか。

日々の業務には、全く、関係はありません。業務との相関関係の論理式も無いと思います。しかし、何か、専門性に大きく影響しているような気がするのです。「専門性を支える、見えないベースとなるような力」として。

  • 専門性という刀を持ち、振りかざし、斬るための基礎的な力。

それらは、一朝一夕に、身につけることは難しい。恐らく、実利的に、何か知識や情報を得たことで、そのまま、ダイレクトに役立つことは無いと思います。また、身につけるために、すべきことも難しい。何かセミナーなど、座学の研修を受けただけで、すぐに身に付くものでもないでしょう。

しかし、専門性を身につけることと同様に、何か、大切で必要不可欠なことのような気がするのです。専門性だけでは、限界があるような気がするのです。

優れた専門性を持ち、会社経営をする中小企業の社長や役員など。社長や役員と接すると、そんな気がしてきます。そして、労務のコンサルティングを提供する私の方が、日々の打合せを通じて、専門性を支える、大切な何かに、気付かせて頂いていると思うのです。

作成日:2013年2月18日 屋根裏の労務士

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