コラム Column

「企業の役所化」

先日、ある業者から、商品を購入しました。各種、手際よく設定して頂き、無事に納品をすることが出来ました。購入にあたり、契約書から確認書まで、膨大な書類に、署名・捺印をしました。

今回、購入した商品は、それほど高額なものではありません。それでも、膨大な書類に、署名・捺印する必要があったのです。

私は、担当者に次のことを質問しました。

  • 「ひとつ契約する度に、数多くの書類を提出させられるが
    貴社の社内で問題になっていないのですか?」

担当者は、下記のように即答しました。

  • 「社内でも書類が多く大変で、問題になっています。」

  • 「お客様からも、書類の多さを度々指摘されています。」

ここの業者から、これまで、いくつか、商品を購入しているのですが、発注から納品まで毎回、毎回、数多くの書類があり、書類のやりとりだけで一苦労です。

提出する書類を、ひとつひとつ内容を確認していくと、すべて、業者側である自分たちのリスクヘッジ。顧客である私の利益で、書類を出すことなんてありません。

  • 「なぜ、こんなに顧客から出させる書類が多いのか?」

私は、この業者の書類の多さについて、おおよそ、察しがついています。これまでに、販売するにあたり、社外では、顧客からのクレームやトラブルが起きたからです。また、社内では、営業マンがノルマを達成するためにカラ契約をしたり、社内での不正もあったとのだと思います。

上記は、組織が大きくなると、出てくる問題なのです。都度、起きてくるクレームや社外・社内での問題。これらを解決していくために、いきついた方法が、結局、下記なのです。

  • 顧客から、署名・押印をして頂く書類を会社に提出させる。

私は、一定限は書類を出させるような制度は当然にあるし、あってしかるべきだと思っています。書類を出すことについて、手間が多く、面倒な会社というより、しっかりとした会社という印象を受けると思います。

しかし、尋常ではない書類の多さは、顧客に良い印象は与えないと思います。書類が多過ぎて、書類の内容も満足に説明が出来ない担当者なんて珍しくないのです。

組織が大きくなると、上司の目が届かなくなります。質の悪い社員も増えるので、本来、無くてもいいような書類を顧客に出させるようになるのです。私は、一連の対応を見ていて、ここの会社は、次のように映っていました。

  • 民間会社が、まるで役所の様。

書類が多く、複雑になっており、顧客に持ってくる書類自体を間違えたり、信頼を落とすようなレベルの低い間違いを頻繁にしているのです。更に、キャンペーンなどがあると一つ一つキャンペーンに応じて似たような書類があるのです。

顧客へのサービスに集中すべき注意力が社内の役所化への対応に向いているのです。会社には、契約書や申込書をチェックする部署があるそうです。

話を聞いていると、その部署の人達も役所化しており、社内で威張っている様子。書類に不備があると、役所仕事のように、営業マンに、書類を突っ返してくるそうです。

さらに、社内には、膨大な書類のマニュアルがあり、日々、契約書に関する社内通達が出ているそうです。社内で提出する書類を提出させることが、重要な社内スキルにまで、なっているのです。

正直、そんなサービスの中身でないこと。顧客の方では、ほとんど関心が無いことです。というより、事務経費として、料金に含まれているはずなので、面倒なうえに、迷惑な話です。

そもそも、問題を起こすような人は、何をやらせても、問題を起こすものなのです。そして、いつも、下記のことを言っているのです。

  • 『言った、言わない。』

  • 『説明した、説明してない。』

  • 『聞いている、聞いていない。』

  • 『思っていた、思っていなかった。』

さすがに、ここの企業、書類の多さが問題になっており、書類の軽減化について、経営会議で取り上げられているそうです。組織が、大きくなると、役所化すると言われますが、組織を運営していくうえで、何かと課題が多いものです。

作成日:2013年10月21日 屋根裏の労務士

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