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「人生を投影させる花」

先週、京都に桜を愛でに一泊二日のプチ旅行をしてきました。今年の桜は例年より10日近く早い開花でした。3月の繁忙期の激闘が終わったら、仕事のこと、日常のこと、すべてのことを忘れて。桜を愛でながら久しぶりに休日をゆったりと過ごしたいと思っていました。

しかし、3月の月末の金曜日に愕然となりました。満開だったソメイヨシノが葉桜になっていたからです。そこで、急遽、週末のお花見を関西地区に変更したのです。桜が開花して満開になるのは、例年、関西地区の方が3日ぐらい遅いのです。

関西地区の方が関東より南に位置しているので、ソメイヨシノの開花が早いイメージがあります。しかし、冷年、関西の方が関東より3日ぐらい遅いのです。4月の上旬に関西地区に出張が入ると、満開の桜を関東と東京で、2回、愛でることが出来るので、何かラッキー感があります。

今年はプライベートで、桜を巡る京都のプチ旅行。古都の桜の名所を堪能してきました。東京でも、打ち合わせが、終わった後に、下記の桜の名所を訪れました。

  • 靖国神社から千鳥ヶ淵周辺の桜

千鳥ヶ淵は美しい桜の名所の一つです。緑道では花見の飲み会も禁止されており、純粋に桜を愛でることが出来ます。確かに美しい桜だったのですが、3月の下旬は大繁忙期のため格闘状態。連日、打ち合わせとそのための準備です。

  • 3月の拘束感ある精神状態で桜を見ること
    4月の解放感となった精神状態で桜を見ること

同じ桜を見ていても、その時の置かれた境遇や心持によって、桜を愛でる心持は、全く違う気持ちになります。また、3月と4月は、別れと出会いが交差する時期です。何より、成長と挫折、成功と失敗の結果を突きつけられる時期でもあります。

その時の自分の置かれた状況や精神状態によって、桜の見え方というのは変わってくるものだと思います。桜というのは、人生を投影するような霊術的な花です。そして、何より、寄り添うような優しさがある花です。

今年の桜は例年にないような見事な満開になりました。冬の寒さと3月の暖かさで、花芽は順調に生長。更に、今年の桜は開花が早く、特に満開は各地で記録的な早さ。一方で、意外にも開花から満開までの期間は平年並みか、やや短い程度でした。

短い期間で一斉に開花して春一番も吹かずに雨も降らなかったので、見事な満開となったのです。花びらが一斉に開花して幾重にも重なった花びらは、まるで菊の花のような見事な桜となりました。

私は、「庭園鑑賞」が趣味の一つです。花や草木を愛でたり、水田や畑などの情緒に触れ、折々の自然に触れるのが人生の楽しみです。

その中でも、国花である桜には、やはり、日本人独特の特別な想いがあります。桜の開花宣言は各地の標本木の桜が5輪から6輪咲くと出されます。ご存知の通り、東京の標本木は、靖国神社。

戦時中は、「散る桜の花」というのは、軍人の死の象徴。靖国神社で毎年咲く桜の姿に。戦死後、靖国にまつられる姿を重ねたのです。毎年、自分の郷里に咲く桜の姿に。自分の魂が郷里に舞い戻ることを重ねたのです。桜の花に、己の人生を投影させたのです。

新渡戸稲造は武士道の中で日本人の美意識を次のように言っています。

  • 「桜はその美の高雅優麗が
    我が国民の美的感覚を訴えること、
    他のいかなる花も及ぶところではない。」

  • 「薔薇に対するヨーロッパの賛美を、
    我々は分かつことを得ない。」

  • 「薔薇は花の色も香りも濃厚で、
    美しいけれど棘を隠している。
    なかなか散らず、死を嫌い恐れるかのように、
    茎にしがみついたまま色褪せて枯れていく。」

  • 「それに比べて我が桜の花は、
    香りは淡く人を飽きさせることはなく、
    自然の召すまま風が吹けば潔く散る。」

桜の花を見ていると日本人の心の奥底に、DNAの如く刷り込まれた武士道の精神を感じるのです。何より、桜の花を見ていると、確かに感じるのです。日本人の精神、武士道の象徴は桜の花だと。

作成日:2018年4月9日 屋根裏の労務士

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