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「夢」とは何か?

英会話講師、リンゼイ・アン・ホーカーさん死体遺棄事件の容疑者・市橋達也について連日報道がされています。ご存じの通り、市橋容疑者は、医師の家に生まれ、本人も医師になるのが夢だったが、実現できずに別の道を進むことになり、挫折とコンプレックスを抱いていたとの報道がされていました。

「夢をもちましょう。」、「将来、何になりたいのか、目標を持ちましょう。」、「将来の夢について、作文をかきましょう。」
どの学校でも「夢」を持つことが、大切だと強く教えているような気がしています。「夢が持てない社会」、「夢が描けにくい社会」だとも言われています。

ここで、皆様に考えて頂きたいのですが、皆様は子供の頃、夢を持つように、今みたいに、強く教えられていたのでしょうか。私は、子供の頃、「将来の夢」について、作文を書いた記憶はありません。「夢」や「やりたいこと」は強制されるものではないと思います。体の中から、自然と湧き出てくるようなものだと思います。

皆様の子供の頃の夢は、何だったのでしょうか。私の小学生の頃の夢は、「ドリフタ―ズの一員になること」でした。ドリフタ―ズは、1週間に1度の生放送での集団コントは、一時代を創ったと思います。
1週間に1度のライブのコントに向けて、毎日、長時間に及ぶネタ合わせや練習を繰り返し、本番に臨む舞台裏の特集を見たとき、子供ながらに、プロは凄いと感動しました。

当時、生卵などの食べ物を粗末にするネタは下品なコントであり、たらいや一斗缶を落とすなど、子供が真似ると危ないなどいうことで、問題視されることもありました。しかし、ドリフはメンバー以外の他人の誹謗中傷をネタにすることはなく、素人いじりもしていなかったと思います。ドリフのコントは自虐的な自らの体を張ったギャグだったと思います。私は土曜日の夜を生放送で、日本中を笑いの渦に包むドリフに、憧れをもっていました。

その後、中学生、高校生の頃は、現実的な夢として漠然と社会科の教師になるような気持ちになりました。しかし、学校制度の仕組みを詳しく知ることができる環境で育ったため、大学では教職課程を一切とっていません。私は、サラリーマンになり、その後、今の社会保険労務士になっています。

私は、「子供の頃の夢」であるドリフのメンバーにも、社会科の教師にもなれませんでした。しかし、私は今でも、その夢のベースである次のことを忘れていません。

  • 「何を社会に提供したいのか」

  • 「どのように社会に貢献したいのか」

  • 「どのように自分が行動したいのか」

ドリフになりたいのは、「芸能人という職業としてだけ」ではなく、一連のコントを通じて、「人を楽しませたい」、「喜んでもらいたい」からです。教師になりたかったのは、社会の講義を通じて、「考え方を教えて、人を育てたい」からです。

私は、「夢」イコール「職業」ではないと思います。実際、ドリフの付き人になるのは、東大を合格するより狭き門のはずです。「夢」イコール「職業」でとらえれば、実現できる人は、ほんのわずかだし、実現は難しそうだから、夢は持たない方が良いということになりかねません。また、実現できないときは、ひどい挫折感やコンプレックスを持つようになるかもしれません。

私は、毎日、幸せです。私との長時間に及ぶ打ち合わせにも、顧問先の皆様は、向上心が高く、熱心に話を聞いて頂け、毎日、感謝しています。今の仕事は、打ち合わせや研修、セミナーなど通じて、「楽しんで頂ける機会」や「喜んで頂ける機会」がたくさんあります。法律や労務管理の考え方を教えることを通じて、「人材育成にも協力」できます。「夢の捉え方」を変えれば、私は「夢」を実現できていることになります。

「夢」の捉え方を、「職業」ではなく、「どのように社会に貢献したいのか」に変えれば、誰もが夢を実現できるのではないでしょうか。企業活動自体が、何らかの社会貢献になっているのですから。

学生に「職業観」を教えるためには、教員の学校世界の世界観だけではなく、他の分野の世界観も必要だと思います。産官学の共同事業というと研究、開発がメインですが、学校教育の制度にも中小企業の経営者やそこで働く社員の参加、学校教育に参加するような仕組みを段階的に取り入れていくのもひとつではないでしょうか。

「民主党の政策集INDEX2009」のひとつに、「教員の質(養成課程を6年制に)と数の充実」という政策があります。教育は、国力の長期投資です。すぐに目に見えるような成果にはなりません。しかし、国の最も基礎となる根幹です。政府には、教育改革の大きな期待をしています。

作成日:2009年11月16日 屋根裏の労務士

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