「舵取りをする者への理解!」
私は、労務コンサルタントという職業柄でしょうか、企業の「弱み」ではなく、「強み」を見つけるような癖がついています。私に依頼や相談がある場合、通常、その企業の「良い相談」は少なく、トラブルを前提にした「悪い相談」が多いのが実情です。しかし、リスクやトラブルを解決していくための源泉になるのは、会社の「弱み」ではなく、「強み」にあることが非常に多いのです。そのために、私は、顧問先の業界や企業の風土や特徴などを出来る限り、知り、理解することに努めています。
また、問題社員の具体的な対応についても、その者の「欠点」や「失敗」の事実だけで、判断することも、「欠点」や「失敗」を盾にして交渉することもあまりしません。逆に、「長所」や「功績」から、問題の解決を図るための交渉をしていき、解決のための足掛かりをつくっていくこともたくさんあります。顧問先の皆様は、私の交渉術でもある悪意の交渉と善意の交渉のバランスをよくわかっていることと思います。
前政権の麻生元首相は、漢字の読み間違いをことある度に報じられて、政策の中身でない点で野次や指摘を受けていました。間違いは無い方が良いですが、本来、政策は、体裁ではなく肝心の中身をしっかり議論すべきはずです。周囲は、そんな体裁の間違いに、一つ一つ上げ足をとるべきではないと思います。そんなことを逆の立場でされたら、議論が進展していかないと思います。
鳩山政権は、迷走を続けました。「失われた9カ月」ではなく、「メチャメチャにした9カ月」と報じていたメディアもあります。素人ながら、鳩山首相の功績を考えてみました。私は、次の3つを見つけました。
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各種意見に対して、「聞く耳」を持っていたこと。
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「政治の透明化」に取り組んだこと。
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「教育改革」への足掛かりをつくったこと。
前政権のとき、麻生元首相は、何か新しいことをやる度に、各種の批評や反感を買っていました。しかし、当時は、メディアから批判的だった「エコポイント」、「定額給付金」、「雇用調整助成金」、「失業給付金の特例措置」などの政策は、賛否両論はありますが、今になってみると一定の成果が出ている一面もあると思います。しかし、その成果については、余り報道はされていません。
当たり前ですが、トップは、どこの世界でも大変だと思います。成果を出しても、空気のように当たり前として捉えられ、成果が出ないと徹底的に批判を受けることになります。現在、国の舵取りをするのも大変ですが、企業の舵取りも大変です。今のような厳しい経済状況下で、新しいことをはじめるためには、全員が、ポジティブにならなければならないと思います。傍観者でいるのではなく、舵取りする者への理解と協力が、一層、大切になってくると思います。野党のような立場でいてはいけないのです。
最近、「失われた20年」と言われるようになりました。私は、この言い回しが好きではありません。時間は取り戻すことは出来ません。しかし、失われた事実は、未来を築くことにより、その結果自体を取り戻せることが出来ます。失われたかどうかを判断するのは、「今」を生きて、「未来」をつくる過程によるものだと思うからです。
作成日:2010年6月7日 屋根裏の労務士