「すべらさない聴き方!」
お笑い番組ではありますが、3回目の番組放送で、日本の放送文化に貢献した優秀な番組に贈られる「ギャラクシー賞」をとっています。ひとりひとりの芸人が、創り出す話は、単なるお笑い番組の枠を超え、「話芸」の文化として高められていると思います。
「すべらない話」は、話し手の話す内容もさることながら、私は、司会者の松本人志の「話の聴き方」を参考にしています。松本人志は、話を聴いているとき、話し手がリラックスして、リズムよく話が出来るように、様々な気配りをしているのが伝わってくるのです。話し手のリズムを感じ取り、頷くタイミングや沈黙の間の取り方、話の展開にあわせた表情が、プロ中のプロの聴き手なのです。全身全霊で、話を聴いてその場を盛り上げて、楽しい空間を創っている姿勢が、伝わってくるのです。
他のお笑い番組の司会の場合、自分でボケたり突っ込んだりして、話し手を助けて、番組を盛り上げることが出来ますが、「すべらない話」では、それがほとんど出来ません。司会者は、話し手のひとりひとりの力を存分に引き出す、「傾聴の力」が問われると思うのです。「すべらない話」には、スピンオフ企画の番組があります。ケーブルテレビで放送され他の芸人が司会をしていますが、話を聴く立場の司会者ぶりが歴然としているのです。
プレゼンテーションやスピーチなどの話し手側の技術は、関心も高くニーズもあり、研修制度や書籍なども多いと思います。一方、「話を聴く」というものは、関心も低く、ニーズも少ないと思います。
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「話し上手は、聴き上手」
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「売れる営業マンは、聴き上手」
上記のことは、昔からよく耳にし、話を聴くことの大切さは、誰もが認識はしていると思います。しかし、実践的な話の聴き方、アクティブに傾聴の力を身につけることは、あまり指導を受けたことがないのではないでしょうか。話すことは困ることが多いが、聴くことは困ることが少ないと考えられているからかもしれません。
クライアントの皆様は、よくご存じのことと思いますが、私は、話すことが大好きです。打ち合わせに行く前に、資料を作成して説明内容を確認したりプレゼンの用意を入念に行います。久しぶりにお会いする方との打ち合わせは、前日からワクワクしています。
「話を聴くこと」を意識していないとついつい私のペースで進めてしまうので、意識的に「話を聴くモード」を持つようにしています。特に、クライアントから相談を受けた場合、「今日は、聴き手になろう。」と意識をして心がけるようにしています。
『聞く』は、情報を入れている行動であり、「聴く」は、心で相手を想い理解することなどとよく言われます。しかし、理屈ではわかっていても、実際に傾聴の力を高めていくことは、実に難しいと思います。松本人志は、さすがプロ中のプロです。話し手としてだけでなく、聴き手としても高いスキルがあります。
「すべらない話」は、話し手の練りに練った「すべらない話」を繰り出す話術があり、聴き手の場を盛り上げる「すべらさない聴き方」があり、両者の繰り拡げるシンフォニーが笑いの創造空間が形成して、圧倒的な支持を得ていると思うのです。年末恒例となった「すべらない話」。今回も松本人志の「いやー滑らんなー」が楽しみです。
作成日:2010年12月20日 屋根裏の労務士