「繋がりとストーリー!」
先週、午前中の打ち合わせがたまたま早めに終わり次の打ち合わせまで時間が出来たので、指圧整体でマッサージにかかりました。予約しないで飛び込みで入ったので、いつもの担当者に対応して頂けませんでした。ある程度は体がほぐれ、体が楽になりましたが、明らかにいつもの方より技術が劣るのです。私は施術を受けた後、次のことを考えていました。
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「マッサージというと体のツボを押したり揉んだりするだけだが、どこで上手い下手の違いが出てくるのだろうか?」
そこは、多店舗化しているうえ専門学校も経営しています。全員が施術の技術は一定レベルに達していると思います。体のどこを押せば良いのかなどは、全員が熟知していると思うのです。それでも施術をして頂く方によって全く満足度が違うのです。私は、素人ながら上手い人と下手の人の差を次のように捉えています。
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「一つ一つの行動の繋がりとサービス全体のストーリー性」
上手い人の施術には、明らかに繋がりとストーリー性があります。まるで体を押しながらピアノでも弾いているかのようです。体を押す一つ一つに繋がりを持ちメロディーになっているのです。一方、下手な人の施術は、ただ押して単発の音を出しているだけに感じます。鍵盤をたたいて音を出しているだけで、そこにはメロディーもストーリー性もありません。施術には限られた時間内の中で、最初の導入、展開、クライマックスがあると思います。上手い人は、施術にドラマがあり、クライマックスに持ってくるまでのすべてに繋がりがあります。1回の施術にストーリーがあり、次回の施術への繋がりも感じてくるのです。
ちなみに、ここの整体に恐らく一子相伝であろう技術を持つ整体の先生がいます。この先生に頼むには、事前に予約をしたうえで、プラス料金が発生します。徹夜が続いたとき何回か対応してもらいましたがとても上手いのです。要となるノウハウ中のノウハウは、一子相伝の匠の技であり簡単には教えられないのだと感じました。
最近、若手の社員の教育について相談を受けるときに決まって次のような話が出てくることが増えてきました。
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「真面目で言われたことはやっているが、そのこと自体が目的化してしまっている。」
営業マンであれば、契約を受注する。制作者であれば、商品をつくる。すべての仕事には、全体の目的があり、ストーリーがあると思うのです。しかし、結果が出ていない人は、一つ一つの行動が行き当たりばったりで繋がりがないのです。下手な施術に例えれば、顧客から痛いと言われた箇所をただマニュアル通り押しているだけの状態なのです。 社内にはマニュアルなどはあるようですが、一つ一つの行動自体が目的化しており、行き当たりばったりの傾向にあり、中々結果が出てこないというのです。さらに行き当たりばったりの当の本人は、『言われたことはやっているという意識』で、改善に向けた問題意識も希薄であり、自分が出来ていないことを認識していないようです。
社内では、マニュアルの不備を指摘する意見もあるようです。しかし、私は、どんなに精巧なマニュアルを作成しても、この手の問題の根本的な解決にはなりえないと思います。強制的な行動を従わせる「ひとつの作業や行動」はマニュアル化できても、精神的な意識付けが内在している「繋がり」をマニュアル化することは極めて難しいからです。
暗黙知でしか伝えられないものは、世の中に山ほどあると思います。行動に繋がりを持たせるためには、精神的なホスピタリティーが必要です。そこには、マニュアルでは対応できない領域があると思うのです。
作成日:2011年1月31日 屋根裏の労務士