「直観力とは何か!」
また、次点の東国原氏が169万の28.1%にもなる票を集めました。3位の渡辺氏を大きく引き離しての2位でした。今回は震災に伴う自粛もあり選挙運動も大きくメディアで報じられることもありませんでした。通常の状態であれば元タレントの知名度により、連日メディアで大きく取り上げられていたと思います。私は、当選した石原知事や次点になった東国原氏には次の二つが理由で、今回の結果になったと見ています。
- □
「理屈や理論を超えた、何かやってくれそうな期待感」
- □
「リーダーとしての英知を超えた存在感」
良かれ、悪かれ、二人には既存のやり方を真面目にやる優等生的な臭いがしないのです。世の中のレールから、大きく外れた存在感があるのです。社会が安定しているときは、その安定を更に盤石な状態にするようなリーダーが求められると思います。これまで行われたやり方を踏襲して、繰り返すことにより今の安定を守るリーダーです。皮肉的な言い方をすれば、帳簿の管理をして状況に反応している真面目で指示待ちの管理型リーダーでも問題はないのです。しかし、社会が不安定なときは、未知の領域に挑みリスクを恐れないリーダーが必要です。新しいことをイメージして創りだす勝負が出来るリーダーです。日本は、経済成長を遂げてバブルが弾ける前までは、諸外国から次のように言われ揶揄されていました。
- □
『経済一流、政治三流』
上記は、安定した経済基盤の上では誰が政治のトップでも大して関係がなかったことを端的に示している表現だと思います。乱暴な言い方をすれば、トップは、学校の委員長のようなものでしょう。勉強が出来て、一定の常識とスキルがあれば、誰でも良いのです。上記は、これまで企業でも同様だったと思います。経済が安定している状況で組織体がしっかりしていれば、誰がトップでも大差なかったのです。トップは管理をして、前年踏襲を繰り返していれば、それで良かったのです。バランスシートがわかり、組織図を作って前年踏襲の運営が出来れば、それで済んでいたのです。リスクのあることは、出来ないというより、する必要もなかったのでしょう。
政治はトップが誰であっても、スペシャリストの官僚がいれば、良かれ悪かれ世の中は安定していたのです。企業でも、トップが関連企業や取引先からきて、何も分らないで何もしていなくても、企業内にサポートする幹部がいれば企業は一定の安定を得ることが出来たのです。
上記は皮肉ではなく、安定した状況下では、取るべき政策は誰がやっても大差ないリスクのない政策が概ね正解だったと思うのです。しかし、今のような不安定な社会情勢の下で、新しいことをしていくときは、そこに、正解はありません。何を選択しても、リスクがあるのです。そのときに必要なのは、リーダーの英知を超えた直観であり、迅速な決断力です。直観は決してヤマ感のようなものではありません。私は直観を次のようなものだと捉えています。
- □
「事実と経験に基づきながら、過去の経験にすがることなく、未来をイメージして創造し、勝負が出来る力」
直観は、安定した状況で身につくものではありません。リスクに挑み修羅の場を生き抜く中で培われていく力です。今後、不安定な情勢下で、リーダーにはこの直観力が一層求められてくるはずです。そして、リスクに寛容で勝負ができるリーダーのいる企業が、 この大不況時代を生き抜いていくのです。
作成日:2011年4月18日 屋根裏の労務士