「本当の主治医!」
最初の2日間、声が全く出せなくなり、近所の内科で診て頂きました。先生から、治るまでは、極力、声を出さないように言われました。私は、最初、熱もなく喉も痛くないので先生の指示を従わず、終日、長時間の打ち合わせをしていました。指示に従わなかったら、腫れが酷くなり、咳もおさまらないので、また、すぐに病院に行きました。
私の体調管理も悪さもありますが、最初に出して頂いた薬は、全く効いていませんでした。2回目に診て頂いたときに、私はこの先生は、私の「本当の主治医」だと思い、感謝しました。初回の診断から先生は、私の状況を色々考えてくれていて、他の内科の医師からも、私の症状に対して、どんな処方をすれば良いのかを色々と調べてくれていたのです。
先生とは、かれこれ10年間のお付き合いになります。私の職業も知っており、私のことを個別に理解して頂いています。先生は、「声を出さないように」と指示してもどうせ、私は終日、話しているだろうと思っていたそうです。私は、この先生と出会う前は、体調不良の風邪ぐらいで内科の先生であれば、どの先生でも大差ないと思っていました。風邪をひいたときに処方される薬は、『有名な総合感冒薬』が多いし、どの先生でも、風邪程度では処方される薬は概ね同じと思っていたのです。今の主治医の先生は、診断に加えて、処方する薬の説明や飲み方、日常生活の過ごし方など、様々なアドバイスをしてくれます。今回、私が改めてこの先生が素晴らしいと思ったのは次のことです。
- □
「自分もプロなのに、自分はこの分野は専門ではないと言えること。」
先生は、2回目の診療で次のように言っていました。
- □
「この分野に詳しい先生にどの薬が効くのか聞いて、自分でも調べておきました。」
上記は、プロであれば、言えそうで言えない発言だと思います。患者からしてみれば、風邪で声が出ない咳が出るぐらいなら、先生であれば、すぐに分らないのかと思ってしまうかもしれません。近年、理不尽な要求を医師や看護師に求める『モンスターペイシャント』も増えて社会問題となっています。この先生は、「喉が痛い、咳が出る。」という範囲でも、細かくカテゴリーわけされた専門分野を持っているのでしょう。得意な分野と不得意な分野を認識しているということです。当然、処方する薬も得意分野、不得意分野を持っていると思います。
診療が終わり、院外薬局で待っているときに、私は、他の患者の処方されている薬をみていました。マスクをして咳をしている人は、皆、同じように見えても、処方されている薬の組み合わせが微妙に違うのです。以前、風邪をひいたときに、会社の近くの大きな総合病院にかかり、処方されたのは、『有名な総合感冒薬』でした。私は、個人的に、この『有名な総合感冒薬』はあまり処方されたくありません。理由は、個別のピンポイントの症状に対する薬とは思えないからです。
私はサラリーマンのときに都心に寮があり、そこに長い間住んでいました。寮の周辺は大学病院、総合病院が多いのですが、いわゆる、クリニックがなく「町医者」がいませんでした。風邪をひくと各種の大きな総合病院にかかっていました。そのため、自分の主治医がいませんでした。風邪をひいたときに、症状は違うのに処方されることが多かったのが、この『有名な総合感冒薬』です。「喉が腫れている、咳が出ている。」という風邪の症状だけでも処方される薬は異なり、患者に応じた様々な対応があると思います。医師という領域で、「自分の専門ではありません。」ときっぱり言えて、私の知らないところでも注意して調べてくれて、診療方針を変更できる先生に改めてプロであり、「治す医師を持った先生」であり、「本当の主治医」だと思いました。体調が悪く、心身ともに弱っているときに、何よりも「安心」を得ることが出来る主治医の大切を痛感した1週間でした。
作成日:2011年5月23日 屋根裏の労務士