「ブ男が持つべき意識と評価項目は何か?」
これから、具体的な運用をしていく中で、着眼点の趣旨や考え方などを打ち合わせに参加した、リーダー達が自身の体験を踏まえて、スタッフに語り手として、評価制度の着眼点に秘められた想いや意識を伝えて、ともに大きく成長、進化していくことを期待しています。
説明会の日、評価制度の説明会で、是非、スタッフにも話して頂きたい話があると頼まれ、取り上げた話があります。その話は、私が若手サラリーマンのときに、ある部長がよく話してくれた次の話です。
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「ブ男の対応!」
この部長は、営業畑一筋で、根っからの営業マン。スタッフに各種指導をするときに、いつも次のことを例にして話していました。
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「俺たちは、二枚目のイケ面ではないんだ!」
「三枚目のブ男だと言うことを忘れるな!」
『二枚目の対応』というのは、お客様の方がその企業やサービスを十分認知しており、興味をもって頂いているうえでの対応。一方、「ブ男の対応」というのは、お客様が企業やサービスを認知しておらず、その存在自体が視野にも入っていない状況での対応ということです。
『二枚目の方』は、会社から配られたカタログでも渡しておけば、お客様の方が、きちんと読んでいてくれる。一方、「ブ男の方」は、まず、読んでもらえていないし、読んで頂いてもざっと目を通す程度。
普通にやっていたら、ブ男が相手にされることはありません。さて、ここからが本題。上記の前提を踏まえて、この部長は若手社員にいつも次のことを問いかけていたのです。
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「それではブ男は、どのように対応したら良いのか?」
若手スタッフに多いのが、次の意見です。
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『広告を打つ、キャンペーンを企画する、期間限定の特典をつけるなど』
この部長は、そんなことを現場レベルの戦術で期待していたのではありません。一定規模の企業であれば、程度の差こそあれ、すでにやっているでしょう。部長は、「現場レベルで知恵を出して活動するベースの考え方」をもって頂きたかったのです。
このことは、人事制度の考課項目の作成にも通じるものがあると思います。どんな意識をもって行動して欲しいかの意識・行動のメッセージです。
ある日、クライアントと評価制度の打ち合わせをしているとき、次の話題が出てきました。
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当社の『ファン』にするには何をしたら良いのか?
当社の『ファン』を、いかにしてつくっていくか?
当社の『ファン』をつくるために、スタッフに何をさせたら良いのか? - □
そのためには、評価制度の着眼点をどのように表現したら良いのか?
経営者にとって上記のような永遠の議題は、活発な意見も多く、打ち合わせの場も盛り上がります。この議題の時、私は、この『ファン』という表現に何か違和感を覚えたのです。
そこで、サラリーマンの時に上司が話してくれた、「ブ男の話」をしたのです。私の上司であった部長は、よく、スタッフの指導をするときに、「ブ男」を例に出していました。「ブ男」を取り上げて、次の意識や視点をスタッフに持って頂きたかったのです。
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「若手が土俵に上がるために持つべき意識や視点」
『二枚目の視点』は、売る側の論理である自分達の視点になりすいものです。自分達のことについて、相手の方が興味を持っていて、知ってもらえている上での対応。一方、「ブ男の視点」とは、視点が購入する立場の相手側なのです。相手は自分達のことを知らないし、興味も持っていません。相手に自分の存在を伝えていく以上に、相手の状況のことを自分達の方から掴んでいくことが大前提なのです。
『二枚目』は、最初のきっかけが楽。痒いところも顧客の方から教えてもらえます。画一された、会社案内のようなマニュアル的なサービスで、『いつもの決め台詞』を繰り返していても問題はありません。相手は、何をしていても、「ワァー、ステキー」と良い様に受け取ってもらえます。
しかし、「ブ男」は、最初のきっかけが大変。痒いところに気付き、感じ取ること。相手が気付かないことに気が付くことが必要。『いつもの決め台詞』なんかありません。「具体的な行動」で体を張って、伝えていくしかないのです。そのためには、いつも自分の刀を磨いているだけでなく、顧客を個別に理解して、個別化した高度なサービス対応が必要になるのです。
部長はよく次のことを言っていました。
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「ブ男は、いつも、提案手作り、サプライズ!」
「サービス、スピード、すべて上!」
「深く付き合い、相手を理解!」
「体を張って、相手に示せ!」
顧客をマスで捉えて、『ファン』にするというのは、戦略レベルでは現実にあるのだと思います。若しかしたら、自分達を敢えて卑下して、「ブ男」と表現すること自体が、殿様商売の大企業の論理なのかもしれません。それでも、「ブ男の対応」の指導を受け、顧客に応じて個別化した対応を徹底的に訓練されていた私には、スタッフに向けた戦術レベルで、『ファン』という表現を使うことに、何か違和感があったのです。
上記の話をしてから、打ち合わせの内容、評価制度の着眼点を検討していく視点も変わりました。私自身が、「ブ男の対応」をいつも出来ているとは言えません。しかし、「ブ男の対応」は、いつも忘れずに意識をしています。それは次のことです。
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まずは、自分から積極的にクライアントのことを知り、
「私が皆様のファン」であると思っています。
私は会社を辞める際、若かりしときにお世話になった、この根っからの営業マンの部長に挨拶に行きました。ランチをご馳走になり、帰り際に交差点で部長からの最後の言葉です。部長は手を振って大きな声で、送り出してくれました。
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「おーい、佐々木!」
「うちら、アイドルではないぞ!」
「どこに行っても、ブ男、忘れんなよ!」
作成日:2012年3月19日 屋根裏の労務士