「厚生年金基金脱退の救済案!」
この案は積み立て不足が深刻な基金が解散を選ぶ場合に、公的資金による損失の穴埋めを認めるものです。
厚生基金は、公的年金の2階部分の一部である代行部分を運用しています。基金は全体の約4割が代行部分で損失割れを発生させているのです。
自民案では、財政破綻の恐れがある基金には、残った積立金だけを国に返済する「あるだけ解散」を容認する案です。企業年金連合会による支払い保証を使ってもさらに足りない分は、さらに税金で穴埋め。まだ、骨子だけですが、下記の具体的な内容も盛り込まれました。
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基金解散には赤字企業が半数以上必要とする厚生労働省の許可基準の撤廃。
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解散時の積み立て不足の返済を加入企業が連帯保証する制度の廃止。
基金の解散には、これまで厚生労働省も慎重な姿勢でした。数々のハードルを乗り越えて、基金加入企業で解散をまとめられても、最後の関門である厚生労働省ではねのけられることも多くありました。
最近、解散に向けた基金の取組みが報道されています。解散を決意して、熱心に取り組んでいる基金の対応は、相当ハードであり、高いハードルが数々あります。少子高齢化の状況で、基金で働く方の苦労が伝わってくるものです。
恐らく、100人ぐらいの企業規模で特別掛金は1億円前後になっていると思います。財政状況の悪い基金では、その2倍ぐらいになっています。
とても、右から左に支払える金額ではありません。真面目にコツコツとやっていたのに、自分達のバランスシートには出てこない、こんなに多額の負債があり、その連帯保証と同義の状態になっているのです。
今回の自民党案をうけて、民主党もなんらかの案を出してくる可能性はあります。
次の選挙のときにマニュフェストや政策項目で年金改革と併せて基金に関する解散案が示されてくれば、基金解散が現実的になってくると思います。桁違いに高額な基金脱退の問題。
皆様も加入している基金の動向には、要ウォッチが必要です。任意脱退を決めたとしても、特別掛金以外にも、数々のハードル。弊社のクライアントでも、実際に任意脱退をしたクライアントがあります。基金側や従業員に対する対応だけでも、承認や同意を得るために、相当な対応があるのです。
基金脱退の件は、簡単な手続きの話ではありません。重篤な経営課題のテーマなのです。各種リスクを把握して、対応を熟慮していく必要があると言えるでしょう。
作成日:2012年6月18日 屋根裏の労務士