「人の対応に、マニュアルなし!」
エンジニアに確認して頂いたら、サーバーの部品交換の必要がある状況になっていました。サーバー故障という事態でも、保守契約しているエンジニアの対応がすばらしく、全く、ストレスや心配はなく、安心していられました。後ろに、守護神のようなストッパーの存在がある安心感。
問い合わせをしたら、すぐに来て頂けました。ネットワーク全体を調査。サーバーの部品に、不具合があることを発見。すぐに、メーカーから部品を取り寄せる段取りの良さ。すぐに使う必要なデータは、作業用のパソコンに保存させ作業が止まらないように、アドバイス。今後の修理方針を説明。
当社のサーバー修理に尽力して頂き、次の日には、完全復旧。各種、すばらしい対応をして頂けました。サーバーが止まってしまうことは、ストレスが多くなり、不安も出てきます。しかし、担当のエンジニアが一つ一つ、手際良く、対応してくれたので、ストレスや不安もなく、安心していられました。
保守契約をしていなかったら、今回のように、スムーズな運びには、ならなかったでしょう。終始、不安とストレスに苛まれていた状態だったと思います。そんなエンジニアの対応の良さを感じていたとき、一方で、フツフツと、次のことを思い出してきました。
- □
この企業の営業マンの対応
2年前の夏、コピー機の入れ替えをしたときの営業マンの話です。提案から導入、保守契約にいたるまで。「言った。言わない。」の不十分な説明で、言い訳ばかり。質問したことも、きちんと調べてこないで、『熱心な訪問』と期間限定キャンペーンの話。自分たちの都合の売り込みばかり。
10年以上のベテランにも関わらず、稚拙な知識。頼りにならず、ろくに相談にもなっていない。分からないことも、分からないと言わないし、分からないことを、曖昧にして、きちんと調べてこないのです。
いざ、依頼をしたら、終始、段取りが悪く、あっちにバタバタ、こっちにバタバタ。メールで済むような事務の確認を、いちいち、電話して聞いてくるし、ピョコピョコと、アポなしの訪問をしてくる。そのくせ、報告は、してこないで、ひとつひとつ、私の方から、問い合わせして確認している始末。
自分が、クライアントを引っ張り、リードしていくような意識がないのです。ただ、流してやっているだけ。相手の特徴や文化を個別に理解して、入り込むような親身さが無いのです。
状況に反応しているだけで、対応が、すべて後手後手。私の方で、段取りを指示したり、各種調整をしている始末。それでも、挽回のチャンスのために、別件で、宿題まであげたのに、その返答もしてこない。
終始、失態を繰り返して、醜態をさらし、散々、イライラさせられた営業担当の話です。その後、しばらく、気分を害されました。2年前、その時のことを通じて、次のテーマで、2度にわたり、メルマガで取り上げました。
- □
技術立国、日本のエンジニアのレベルの高さ。
一方、全体を指揮したり、コーディネートできる人材育成の難しさ。
実は、今回の段取りが良い、サーバー修理のエンジニアと段取りが悪い、コピー機の営業マンは同じ企業なのです。2年前の当時に感じたこと。今では、次のように、理解が深まっています。
- □
「人を相手にすることの難しさ」
技術立国である日本企業は、どの分野でも、エンジニアの能力が高いのは間違いありません。今回のサーバーの件をみるだけでも、エンジニアの能力レベルは、非常に高いと思います。
しかし、応対の中身を考えるとエンジニアの応対のほとんどは、機械に対すること。人に対する割合は、あまり無いのです。一方、営業の応対は、ほとんどが人に対することであり、機械に対することではありません。
機械は、意思がありません。電源を切れば、動くこともありません。基本的には、機械であれば、高度な技術的な専門性があれば、自分のペースで、コントロールして対応ができます。
それに対して、人は、意思を持って、常に、動いています。人は、ロボットでも人形でもないのです。人は、何か、テクニックや技術で、動かすことは出来ないと思うのです。ましてや、自分のペースで、人をコントロールは、出来ません。
サラリーマンのときに、営業の役員が、よく、次のことを言っていました。
- □
「営業に、マニュアル無し。」
「これを言ったら、一発KOの契約になるようなトークなんて、この世には、存在しない。」
「営業とは、ジャブの連続。」
「便利な一元的なマニュアルでは、対応ができないことに、気が付くこと。」
「そこから、営業は、はじまる。」
最近、私は、役員の言葉を次のように考えています。
- □
「人の対応に、マニュアルなし。」
人は、それぞれ、皆、違います。それゆえ、人で構成される企業も、皆、違います。人も企業も、皆、特徴的であり、個性的なのです。そこに、人と企業の魅力がある。皆、違うからこそ、人や企業の対応は、難しいし、面白い。
- □
人と接するということ、企業と接するといことは、常に、学びの場であり、成長の場。
部品交換をして、修理が済んだサーバー。軽快にアクセスしながら、そんなことを感じていました。
作成日:2013年7月15日 屋根裏の労務士