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「歴史的に捉える構え」

前回のメールマガジンで、「世界史を勉強し直したこと」を取り上げたら、いくつもご感想を頂けました。私と同様に、世界史について、勉強し直した人。世界史を、再度、紐解き、勉強し直そうと考えている人。まだ知らない、世界史を勉強したいと考えている人。意外と多いのですね。

その中でも、世界史を勉強し直した人に、共通する下記のご感想。

  • 「歴史的に捉える構え」が、学べたということ。

この「歴史的に」という言葉が意味すること。誠に、一言では表現できない、含蓄のある言葉だと思います。実際に、歴史を学ばなくては、その意味を理解することは、出来ません。また、学んだとしても、使う人や状況により、意図することも異なるものでしょう。

いずれにしても、歴史を学ぶことは何か、各人の考えや精神性を深める作用があるのだと思います。歴史学とは、結末や結果がすでに分かっておりその事実関係を、事後的に取り上げて、解釈したり、評論する学問。

歴史を掘り下げて勉強していくとわかること。それは、ひとつの事実に対して、様々な立場の解釈があり、まるで、違う世界で、起きた程の違いがあるということです。世界大戦ですら、戦争が起きた原因を巡り誠に、様々な学説があるものです。

ここで、皆様に確認して頂きたいこと。下記のことです。

  • 一つの起きた事実に対して、
    様々な解釈があり得るということ。

歴史的な事実だけでなく、通常の労務の問題でも、一つの起きた事実に対して、様々な解釈があり得るものです。深刻な労務の相談をしている場合、私は、次のことを必ずアドバイスします。

  • 経緯書を作成すること。

一定規模の企業では、何か、トラブルが起きれば、当たり前のように、経緯書を作成するものです。組織が大きいので、会社としての事実認識をきちんと持ち、その事実に基づき、役員が会社判断をしていくためです。相談者の中には、経緯書を作成すること。不慣れなケースも見受けます。

何かトラブルが起きれば、私との最初の相談のやりとりからメールなどで、ドキュメント化しておくべきでしょう。ドキュメント化することは、証拠を残すという意味だけではありません。起きている事実に対して、問題解決をしていくために、相談者自身が、客観的に事実を捉えることが出来るのです。

問題社員と対峙している場合、事実認識だけでも、食い違うことが多分にあり得ます。ある程度、事実認識が確定できた場合でもその解釈を巡って、会社と社員とで、相違が出てくることなど。通常、多分に起こり得ることです。

経緯書を作成することは、単に記録を残すことだけではありません。下記のことをするためです。

  • 起きている事実に対して、
    会社として、どのような事実認識をしていて
    どのような解釈をしているのかを、
    会社として明確にするため。

何か問題が起きた場合、信頼関係がある場合、問題を起こした社員から、経緯書を出させることも通常、よくあることでしょう。しかし、会社が想定していない経緯書。出てくることも珍しくありません。むしろ、会社が望んでいたような経緯書が出てくることの方が少ないでしょう。

事実認識が、概ね、会社と社員とで一致できた場合でも、その解釈について、会社の認識とは、食い違うことが多いものです。解釈の食い違いが、重なった場合、重篤な労務問題に発展することがあり得るのです。対応を間違えば、事実が事実ではなくなることも起こり得るのです。

起きている事実が事実となるのではなく、主張されていることが、事実となってしまうことがあり得るのです。事実や相手とのやりとりが食い違い、泥沼の展開になりかねないのです。

「歴史的に捉える構え」とは、事実を事実と捉え、その解釈を的確に出来る構えとも考えています。しっかりとした構えが出来ているから、交渉する相手にも、一定の納得できる対応を図れるのだと思います。構えが出来ていない状態で、相手との具体的な対応などは、おぼつかないと思うのです。

歴史を学ぶことは、労務やビジネスの基礎力を強化できるような気がしています。

作成日:2014年2月17日 屋根裏の労務士

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