コラム Column

「問題が起きた場合の行動」

先月、弊社が継続的に取引をしている、ある二つの業者に、仕事の依頼をしました。しかし、二社とも、私が依頼していた、十分なサービスを提供できずにやり直し作業となりました。

何事も人がやることです。ミスや行き違いは、有り得ると思います。特に、無形サービスや制作作業を伴う場合、出来上がっている完成品を納品する場合より、クレームになるリスクは、高いと思います。

依頼する私の方でも、上記は十分に理解しています。そのリスクを踏まえて、ミスや行き違いが発生した場合。顧客との信頼関係は、下記にかかっていると思います。

  • 「その時に、どのような応対が、出来ているか!」

今回、二つの業者に仕事の依頼をしたら、ミスや行き違いが生じて、十分なサービスを提供が出来ない状況。ここで、二社の担当者は、全く異なる、対照的な応対をしていました。私が、担当者に、期待していた完成状態ではないことを話したときの対応です。

一人の担当者は、何かスイッチが入った様に次のことを言いだしました。

  • 『事前に、言われていなかった。』
    『事前に、聞いていなかった。』

『言った、言わない。』、『聞いている、聞いていない。』を機関銃のようなトークで、言い出したのです。つまり、期待値の完成状態とは違う結果に対して、自分には、責任が無く、依頼した私の方に、責任があると主張したのでしょう。

私は、『言った、言わない。』論などを、担当者が言いだした場合。かなり意識的に、自分を制して、心にブレーキをかけ。次のことに注意しています。

  • 『言った、言わない。』論に、反応して、
    自分も、同じ論理を言い出さないこと。

通常、『言った、言わない。』の発言をしている人。未熟な人が多いのです。
技術的にも、人間的にも・・・。

出来る人に、応対して頂いた場合、概して、『言った、言わない。』論には、ならないのです。未熟な人は、『言った、言わない。』を自分を守るために、何か、反射的に、発言してしまうことが多いのです。

実は、あまり、悪気も無く、その発言の意味するところも深く考えていません。当然、相手のことなど考えていないでしょう。自分の責任回避だけで精一杯。組織の中で、仕事ができない、役職が下の方々に、概して多いものです。人の上に立つ人は、『言った、言わない。』など口にしないのです。

今回、ミスを起こして、『言った、言わない。』を言っていた担当者。仕事の進め方や応対を見ていましたが、一つ一つに、未熟さを感じていました。エンジニアの技術の低さ、接客応対の未熟さです。

この方、恐らく、あちこちで、頻繁に、ミスや問題を起こして、その度に、『言った、言わない。』を言っているはずです。顧客に対してだけでなく、社内での報告でも、どこでもそうでしょう。

『言った、言わない。』のトークが、板についていて、何か、自然に発していたからです。普段から、いかに、『言った、言わない。』を口にしているかが、よくわかります。接していると、それが、しみじみと、伝わってくるのです。

『言った、言わない。』論を言われた場合、その発言に対して、反論するような言葉。言い出せば、いくらでもあるものです。いずれにしても、『言った、言わない。』論。不毛な状況に陥るだけ。そして、人間関係を悪くして、信頼関係を悪化させるだけ。期待していた成果ではないので、やり直し作業になるのですから。

組織の中にいて、ミスが起きれば、責任の所在が問われるものです。自分の責任を回避したいのは、誰もが同じでしょう。しかし、出来る人は、不毛な議論はしていません。状況を打開すべく、具体的な行動に、協力的に、すぐに移してくれるのです。

問題や課題を共有して、ともに解決に向けて動いてくれるのです。傷口を最小限にとどめて、未来に向けて最善の方法をとってくれるのです。もちろん、後から、いいがかり的なクレームをつけてくる人もいるでしょう。しかし、そのような人は、極々、稀で、特殊な人だと思います。

継続的な企業活動の場合、クレーマーのような方と、継続的に取引すること。まず無いと思います。多くの場合、『言った、言わない。』論になる原因。担当者の能力不足にあると思います。

出来る担当者は、仕事の進め方の一つ一つ。ヒアリング、段取り、報告などが、すばらしいものです。終始、安心して、任せていられるのです。技術的にも、人間的にも、すばらしい方が多いのです。

長期にわたる継続的な取引を前提にしてくれています。そのため、依頼者のビジネスや企業文化なども、当たり前に理解してくれているのです。いつもあれこれ、痒いところまで、行き届いたサービスをしてくれるのです。

正直、担当者が未熟な場合、依頼者である顧客の方も相当勉強して、指示や注文を、毎回毎回、細かく出さなくてはいけない、必要性が出てくるのです。安心して、任せておくことが出来ないからです。

顧客の方も、依頼をするだけで、膨大な依頼作業。つまり、取引コストが発生するのです。何か問題が起これば、『言った、言わない。』論。終始、自分の都合で責任回避。

今回、ミスを起こした、もう一人の別企業の担当者。すぐに、修正すべき個所を確認。不毛なやりとりを微塵も見せず、二日後には、修正納品をして頂けました。

この方は、毎回、依頼をすれば、迅速ですばらしい対応。痒いところまで、何も指示や注文をしなくても当然のように対応してくれるのです。今回、問題が起きた場合でも、状況を改善すべく、課題を共有して全力で、対応して頂けました。ミスが起きていても、安心して、任せておくことが出来ました。

何事も人がやることです。お互いに企業文化が異なるのですから、常識観などが異なるものでしょう。ミスや行き違いは、有り得ると思います。そのために、人がいるのですから。

ミスや行き違いあっても、その時、担当者が、どんな応対をするかで、継続的な信頼関係の形成。仕事の依頼の方法など、日々の接し方の一つ一つ。違ってくると思うのです。

作成日:2014年3月10日 屋根裏の労務士

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