「文化まで高めること」
ワールドカップが始まる前は、日本代表の選手から、しきりに、次の言葉が出ていました。
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「目標は、優勝!」
日本代表のメンバーの多くが、欧州の強豪リーグに所属。世界レベルの中に、身を置いています。優勝とまではいかなくても、グループリーグは突破できると信じていました。しかし、グループリーグ突破どころか、1勝も出来ず。敗退後に、内田篤人選手が言った、次のコメントが印象的でした。
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「(世界は)なんか近くなったような気もするけれど、
やっぱり広いですよ、世界は。」
Jリーグが発足して、かれこれ20年。サッカー人口も増えて、次々とスター選手を輩出しています。日本のサッカーのレベルは、間違いなく、高くなっているはずです。それでも、日本のFIFAランキングは、46位。出場国32ヵ国の中で、確か、後ろから数えて、4番目。改めて、下記のことを、身に沁みていました。
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日本は、まだまだ、サッカーでは、発展途上国。
ひいき目に見ても、新興国でしょう。
日本は、経済や科学技術だったら、世界に冠たる先進国。単に、先に進んでいるだけではありません。経済援助をしたり、技術支援をして、教える立場。ODAやIMFなどの拠出金は、米国についで、世界第2位。国連の常任理事国でもないのに、膨大な金額と技術の支援国家。
日本は、普段、他の国から教えて頂くことが、他の国より、格段に少ないと思います。そんな日本も、サッカーでは、まだまだ、世界から、謙虚に学ぶ立場。南米のサッカーを見ていて感じたことは次のことです。
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サッカーで醸成された伝統が血肉化され、
「文化」にまでなっていること。
南米のサッカーは、「文化」でしょう。恐らく、DNAのレベルで、刷り込まれていると思います。だから、圧倒的に、強い。圧倒的な「個の天才」を輩出しています。追いつくのは、容易なことではないでしょう。
日本も、血肉化され「文化」まで、高められている分野については、他の国々の追随を許さない。圧倒的な「個の天才」を、輩出している土壌が日本にはあります。
特に、日本は、八百万の神々の国。あらゆる分野で、神を感じるレベルまで、繊細な日本人の感受性で、「文化」までに、高められています。だから、「メイド・イン・ジャパン」は、強い。
ワールドカップで、1勝も出来なかった日本。それどころか、1勝も出来なかったアジア勢。アジア地区のワールドカップの出場枠自体が、減らされるということまで、危惧されています。敗退後の内田篤人選手のコメントを、再度、考えています。
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「(世界は)なんか近くなったような気もするけれど、
やっぱり広いですよ、世界は。」
『世界は広い。』というより、「世界は遠い。」という方が、正しいような気がしています。「文化」まで、高められた牙城を崩すことは容易なことではありません。敗退した日本のサッカーを受けとめながら、物事は、「文化」まで高めることが、大切なことだとも感じていました。
作成日:2014年7月7日 屋根裏の労務士