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「世界遺産候補、国立西洋美術館」

政府は、再来年、平成28年の「世界文化遺産への登録」を目指して、次の二つの候補地について、ユネスコに推薦書を提出することを決めました。
  • 「東京の国立西洋美術館」と
    「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」

「国立西洋美術館」が世界遺産への登録となれば、メガロポリスの中心となる東京で、初めての世界遺産登録となります。このニュースを聞いたとき、私は、「いよいよか!」という嬉しい気持ちの中に、実は、少し、残念な気持ちも入り交じりました。世界遺産の登録となれば、美術館は、一年中、混雑した人で、溢れることになるからです。

私は、絵画鑑賞が趣味の一つ。月に一度は、どこかの美術館に、足を運んでいます。その中でも、「国立西洋美術館」は、特に、お気に入りの美術館。季節に、一度は、訪れています。

「国立西洋美術館」は、一年を通じて、ほとんどの期間、何らかの特別展を開催しています。特別展の方は、いつも、混雑感があることが多いのですが、常設展の方は、大抵、閑散としています。そのため、常設展は、自分のペースで、ゆったりとして、鑑賞ができます。

ちなみに、常設展は、特別展のチケット半券があれば、無料で鑑賞することが出来ます。いつも、私は、特別展の後に、常設展の方も鑑賞してきます。

「国立西洋美術館」は、世界中の建築に影響を与えた、フランスの建築家、ル・コルビュジエが手がけた美術館。美術館自体が、作品にもなるような、何とも雰囲気のある美術館です。「国立西洋美術館」には、印象派などの絵画を中心に、19世紀から20世紀前半のフランスの美術品を数多く所蔵。

大正9年頃、川崎造船所社長の松方幸次郎氏が日本に西洋美術を紹介しようと考えます。ヨーロッパで絵画等の美術作品を収集。しかし、第二次世界大戦で日本が敗戦。それに伴い、フランスで収集した数多くの美術品は、敵国財産としてフランス政府の管理下に置かれます。

昭和28年、日仏文化協定に基づき押収された美術品は、日本へ返還されることが決まります。フランス政府は、その返還条件として、下記を要望。

  • フランス美術を展覧するための新美術館の設置。

この条件を満たすために、建設されたのが、今にある、「国立西洋美術館」です。美術品を返還するのに、それを飾る場所の条件を出してくるところが、何ともフランス人らしいところです。

芸術の都と言えば、ご存じの通り、パリ。しかし、東京もパリに負けないくらい、美術館の数はあると思います。東京には、ルーヴル美術館の様な、圧倒的な所蔵数と規模を有する、巨大美術館はありません。しかし、美術館の数でいえば、パリにも負けていないと思います。

特に、上野には、美術館、博物館、コンサートホールなど、芸術施設が集中しています。東京から日本文化の魅力を世界に広め、また、世界の文化財を呼び込むためにも、「国立西洋美術館」の世界遺産登録は、絶好の足がかりになります。

「国立西洋美術館」が、世界遺産登録となれば、これまで以上に、益々、世界の名高い芸術品が、日本に来るようになると思うのです。フランスも世界遺産登録のお祝いに、ルーヴルの至宝を、何か一つ、貸し出してくれるかもしれません。

そんなことを期待しながら、平成28年の「世界文化遺産への登録」をワクワクして、胸を弾ませて、楽しみにしています。

作成日:2014年9月22日 屋根裏の労務士

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