「今がある!」
亡くなった親友は、最後に、郷里で眠りたい旨を告げて、亡くなりました。葬儀も身内だけで、静かに、行って欲しい旨の意向でした。そのため、東京では、葬儀の類は、一切、ありませんでした。
親友を失ったことに、自分自身に、何か、けじめをつけたかったので、亡くなった親友の妻に会ってきました。私にも、形見を、持っていて欲しいということで、「ネクタイ」と「遺影」を頂いてきました。
親友の妻から、闘病生活の壮絶な話を伺いました。親友は、10万に1人の確率で発生するという癌でした。進行が異常に早い難病の癌。体中に、ドンドン癌が転移。次々と合併症がおこり、臓器が蝕まれ、容体が日に日に、悪化していったそうです。
抗がん剤の影響で、髪の毛は抜け落ち、足はむくみ、お腹は風船のように膨れ上がる。自分自身の容姿が変わり、身体は衰弱していく。そんな容体が悪化する中で、医師から、次々と無情な病状の告知を受けていく。現代の医学では、対処できない事実を告げられていく。
厳しい現実を次々と、突きつけられていく。
絶望的な現実を次々と、突きつけられていく。
それでも、親友は最後まで癌と闘いながら、運命を受け容れて、静かに、亡くなったそうです。闘病生活を全うして、亡くなったそうです。絶望的な状況を告知されながら、最後まで、生き切り、亡くなったそうです。その話を聞いたとき、次のことを思いました。
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「あいつも、強いな。」
現代の医学では対処できないような癌になり、日々、自分の身体が蝕まれていく。不安を超えた、恐怖の日々だったと想像します。そんな状況になっても、強く、生きていた親友。
毎年、政府が発表する自殺対策白書。自殺の原因・動機別で、最も高いのが、「健康問題」です。
次いで、「経済・生活問題」、「家庭問題」、「勤務問題」などになっています。
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「健康を失う恐怖」
他の問題とは、次元が異なる恐怖だと想像しています。健康を失うこと以外の問題は、解決できないような事態になっても、実は、何とかなることが多いのです。その時は、絶望感を感じて、窮地に追い込まれてしまっても、「今」が、確かにあるからです。
心を整えて、落ち着くことが出来れば、自ら命を絶つような最悪の事態は、回避できるものです。そして、「今」を確実に、生きてさえいれば、後は、結構、何とかなるのです。
現代人は、日々、追い込まれて生きています。ノルマに追い込まれ、納期に追い込まれ、長時間労働に追い込まれ、人間関係に追い込まれ・・・。
追い込まれることを上げれば、キリがありません。精神的に、追い込まれてしまうと、人間とは、思考が出来なくなってしまうものです。亡くなった親友が、追い込まれた状況で、どんな気持ちで、最後を生きていたかは、本人にしか分かりません。
簡単に、人の気持ちが、分かるものではありません。本人にしか分からないもの。あると思います。それでも、最後まで、親友は、「今」を感じて、生きていた様な気がしています。そして、私も、「今」を感じて、確実に生きています。
失ったものばかり、目を向けていても始まりません。「今」あるものに目を向けています。「今」、確実に、自分がいます。そして、皆様もいます。皆様は、私の元気の源です。
作成日:2014年12月8日 屋根裏の労務士