「穴に落ちたから見えるもの」
何事も問題がなく、安定した状況で、順風満帆に、成功体験を積み重ねながら、日々、過ごせることが理想的です。しかし、そんな理想郷のような状態が、現実世界に、あるはずがありません。
人や組織に関する問題とは、想定外の事態が、起きてしまうものです。思わぬ「穴」に、陥ってしまうことも時として、あるものです。このことは、何も企業労務に限ったことではありません。日々の企業活動でも、言えることです。そもそも、ひとりの人間が、生きていくということ。そんな「穴」に、陥ってしまう試練の連続だと思います。
「穴」に陥ってしまったとき、そこから抜け出すために、人は、必死に努力もするし、その乗り越えていく過程を通じて、大きな成長もできます。その意味では、「穴」というのは、人生において、必要な要素とも言えます。
「穴」に陥ってしまっとき、そこから、早く抜け出すために、全力で努力することが、何より大切なことです。しかし、人生の受け止め方として、次のことを理解しておくことも、大切な様な気がします。
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落ちた「穴」からしか、見えてこないものがあるということ。
同じ様に見ていた世界でも、落ちた「穴」だからこそ、気が付き、見えてくることもあることです。今まで、見えていなかったものが、見えてくることが出来るようになるのです。以前の自分が、分かっていたと思っていたこと。本当は、分かっていなかったことだと、新しい自分が、気が付くことが出来るのです。
人が生きていると、誠に、色々なことが起こるものです。家族が大病をしたり、大切な人を失ったり、失業をしたり、事業で失敗したり、人間関係で嫌な思いをしたり・・・。
以前、私の母が、交通事故に遭って入院したとき、毎日、懸命に、看病にあたる父に対して、次の様に、ポツリと言っていました。
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「長く連れ添って、分かっていたと
思っていた夫婦でも、
新たに、気が付く、優しさがある。」
「改めて、こんなに良いところがあったのかと
気が付くことがある。」
交通事故に遭ってしまったことは家族の深い悲しみであり、不幸な出来事でした。しかし、その不幸な出来事があったから、新たに、気が付いた、優しさを知ったのです。母は、前向きな人です。家族に不幸が襲ったときでも、その不幸の状況があったから、改めて、家族の優しさに、気が付くことが出来たと言っています。
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落ちた「穴」の中だから、気が付くこと。
そんな捉え方が、人生の中で、必要な時もある様な気がしています。長い人生には、順風満帆には、いきません。どちらかと言えば、修羅の連続だと思います。色々な経験を通じて、一皮むけながら、人は、成長をしていくものだと思います。
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成功体験を通じて、自信をつけて、成長していくこと。
失敗体験を通じて、何かを学び、成長していくこと。
幸福体験を通じて、人の温かさや感謝の気持ちを知ること。
不幸体験を通じて、何か大切なことに、気が付くこと。
いずれの経験も、人が成長していくためには大切な経験だと思うのです。
人は、成功と失敗を繰り返しながら、成長します。そして、思わぬ不幸の状況から、大切な何かに、気が付くこともある。成功が続き勢いがあるときには気が付かない、大切なことに、気が付くこともあります。
人生とは、どんな状況でも、捉え方次第で何か人として成長ができる様な気がしています。そんなことを考えながら、一年を振り返っています。今年も激動の年で、皆様も、色々あったと思います。本年もありがとうございました。いつも、皆様からは、感謝の気持ちを教えて頂いています。
作成日:2014年12月22日 屋根裏の労務士