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「雇用改善と雇用不安!」

ネットニュースで、『オワハラ』という記事を目にしました。『オワハラ』とは「就活終われハラスメント」のこと。企業の人事などの関係者が、学生に対して就活を終わらせて自社に入社するよう圧力をかける行為を指します。

『オワハラ』なんて言葉が出来ているのですから、学卒の雇用に関しては、かなり、良くなっていることを感じてきます。2年前ぐらいに、就活に関する特集記事で次のようなものがありました。

  • 就職活動をした学生のうち2割が活動中に自殺を考えた。

上記は、自殺問題に取り組むNPO法人の調査です。就活に関して、2割にも当たる人が、就職活動中に「本気で死にたいと考えたことがある」と回答したのです。警察庁の報告では、次のようなデータも特集されていました。

  • 大学生の「就活自殺」が、2013年までの7年間で218人。

就活がうまくいかないことに悩んで、自らの命を絶ち、死を選ぶ大学生までいたのです。自殺した学生のブログに綴られていた次のコメント。何か、印象的に覚えています。

  • 「あー、いつまで就活するんや、俺。」

2年ぐらい前までの就活では、一つ内定が取れれば、そこで就活を終わりにしている学生が大半を占めている状況。先が見えない厳しい就活。一日も早く終わりにしたい学生がほとんどだったのです。

そんな記事を目にしながら、失われた20年での雇用環境の厳しさ。改めて、しみじみと感じていました。そんな就活の厳しさ。昨年ぐらいから一転しています。学卒の雇用の状況は、買い手市場から、売り手市場になっています。

最近では、学生の間で、『オワハラ』という言葉が出来るくらいに、雇用の状況は、改善されてきています。内定をとることが楽になっているだけでなく、就活の内容自体が、以前のような辛く厳しい状況ではなくなっているのでしょう。

売り手市場の状況で、就活する学生は是非入社して頂きたいという立場。比較的に楽しく就活が出来ている様です。だから、一つ内定が出ただけでも就職活動を終わりにせずに、納得するまで就活を続けることが出来るのでしょう。

統計上は、雇用環境はかなり改善されています。業種によっては、かなり人手不足になっています。企業側は、採用をすることが大変になっている状況。

一方で、「雇用のミスマッチ」というのは、無くなることはありません。そのため、私の方に退職勧奨の相談も、無くなることもありません。新聞記事などでも、退職勧奨やそのトラブルに関する記事。度々、目にしています。

先週も、オリンパスで起きた次のような裁判判決の記事を目にしました。

  • 退職勧奨を拒否したら、未経験の部署へ異動させたことに関して
    退職勧奨を拒否したことへの制裁であるとして、
    東京地裁に裁判を起こした事件。

裁判所は、まず、上司による退職勧奨について、下記のような判断で適法だと認めました。

  • 「必ずしも執拗なものとはいえない。」
    「退職の有無による諸々の有利不利を説明しつつ説得を行った。」

裁判所は、さらに、次の様な判断で配置転換そのものも問題はないとしました。

  • 「給与その他の待遇に特段の変化がある旨の事情についても主張立証はなく、
    本件配転命令が、原告に対して通常甘受すべき程度を
    著しく超える不利益を負わせるものとも認められない。」

原告は代理人の弁護を通じて、今回の判決は納得できず、控訴する旨の意向を示しました。どうやら、事態は、泥沼化になっています。

私の個人的な印象ですが、退職勧奨について、リーマンショックの後、難易度がかなり増しているような気がします。社員側も、退職勧奨に伴う企業側の各種対応についてかなり情報がいきわたっているようで、相当勉強していることを日々の相談で感じています。

現実に雇用の環境は、バブル期並みに改善しているのに、働く人の雇用不安は、どうやら取り除かれていない様です。特に、リーマンショックの直後に、就活をするはめになった方々。就活に関して、「トラウマ」になっている程、大変だった様です。

散々、履歴書を書いて書いて、送っても送っても、書類選考で落とされる。書類選考を通って、やっと、面接まで漕ぎつけても、緊張する中で、圧迫面接のような面談。頭を踏んづけられるような上から目線での応対の数々。散々面接をやらされ、期待をさせられ、理由も分からないで、一方的に送られてくる不採用通知。そんな思いを散々しながら、やっと掴む内定。

そんな辛く、厳しい、散々の目にあった就活が「トラウマ」になっている様です。そんな散々な思いをしているので、「雇用のミスマッチ」があっても、簡単に、退職勧奨に応じないのです。

ある意味、「トラウマ」の様な就活を通じて、かなりしぶとくなっているのです。成果が出ていないのに、それを認めずに、以前にも増して、しぶとく、あれこれ理由を付けて会社に居座り続けようとするのです。

現在の様に、転職するに際して、千載一遇の大チャンスが到来。それでも、「トラウマ」の様になっている就活が何か恐怖にすらなっている様です。成果が出ておらず、会社に居づらくなっているのに、それ以上に、先行が見えない就活をした日々に、懲り懲りしている様にも感じます。

退職勧奨に関して、その難易度は、年々増してきているような気がします。統計上、雇用は明らかに改善しています。それでも、働く方々にとって、どうやら、雇用不安は取り除かれていない様です。人事や総務部の苦労は、まだまだ、あれこれあるようです。

作成日:2015年7月13日 屋根裏の労務士

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