「プロに必要な人間力とは何か!」
1年前は、カットの指名していた美容院のスタイリスト。退職してしまい、スタイリストが変わってしまいました。どうやら、どこかで、独立開業した様です。
先月は、通院していて歯医者の先生。久しぶりに通院をしたら、既に退職されていました。どうやら、どこかで、独立開業された様です。担当の先生が変わってしまいました。
先週は、よく通っていた接骨院の先生。この方も退職してしまいました。郷里に戻り、晴れて独立開業されるそうです。
いずれの場合も、どうやら、円満退職で、晴れて独立開業という形では終わりには、ならなかった様です。美容院、医師、接骨院など。いずれは、独立開業をしていくこと。入社時からある程度分かっており、独立開業が前提で入社してくるような業界です。
そんな業界にあっても、独立や退職を巡り、様々な問題や調整が起きてきて、円満退職というのは、なかなか難しい様です。新しい担当者の方も、退職した経緯や現況に関して、あまり話したくなさそうな雰囲気。詳しいことは、話してくれません。詳細については、私も大人のマナーとして聞いていません。
良い担当者や良い先生。
人生の中で、なかなか、巡り逢えないものです。
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「技術力のあるスタイリストを見つけた。」
「優秀な人が担当者になってくれた。」
「親身になってくれる良い先生に巡り合えた。」
美容院、歯医者、接骨院など。世の中に、山の数ほど同業者があります。しかし、自分にあった良い人。なかなか、巡り逢えないものです。
世の中、たくさんの人がいます。それなのに、自分のパートナーや相方を見つけることが難しい様に、自分にあった良い担当者や良い先生。めったに、巡り逢えないものです。
歯医者の先生とは、治療中に話すことは出来ません。一方、美容院や接骨院の方とは、サービスを受けながら、毎回一定時間、話しをすることが出来ます。
私は、雑談をしていても、自分の職業は明かしません。社労士ということを名乗ることまではあっても、仕事の内容に関しては、親しい方であっても、一切、話すことはありません。しかし、いつも何となく雰囲気というか、私の風体から、自営業者だとは、気付かれてしまいます。
私は、口から生まれてきたような人間で、よく話す人間だと思われていますが、色々と話しかけられても、自分のこと。基本的には、ほとんど話題にはしません。どちらかと言えば、話題を振りながら、相手の話を聴いていることが多いです。
クライアントに話すことは私の重要な仕事です。
しかし、クライアントの話を聴くことは、それ以上に大切な私の仕事です。
弊社は美容院や接骨院のクライアントもあります。以前、クライアントの経営者の方が、優秀なスタッフについて、共通した全く同じ様なこと。次のように話していました。
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「この仕事は、日々、本業の専門性を高めて、技術を研くことはプロとして当然のこと。
しかし、本業の専門性を高め、技術を研くだけでは、十分ではありません。
それと同時に、その担当者の人間力も、かなり問われます。」
「人間力」とは何か!
「人間力」を定義すること。なかなか、難しいものです。「人間力」とは、その人がどのような人間であるのかについて、その人の「総合力」とも言えるものでしょう。いずれにしても、一人前になり、バリバリのプロになるためには、次のことが言えるのでしょう。
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「技術力や専門性は、必要条件であって、十分条件ではないということ。」
恐らく、このことは、他のほとんどの業界でも、あてはまるものだと思います。
私は、業種を問わず、独立開業をしていく人。実は、何となく、最初から分かっています。それは、高い技術力を有しているだけではありません。また、技術力に併せて「人間力」も、兼ね備えている方なのでもありません。
実際、たいした技術力や人間力も身につけていないのに、独立開業してしまう方。現実的に多いものです。だから世の中は、外れの業者が多いのです。実際に、資格の力に寄り掛かれる難関資格の士業ほど、外れの先生が多いものです。
独立開業をしない担当者の中にも、技術力が高く、すばらしい「人間力」を有している方。たくさんいます。雇われて組織の中で、生きていくからこそ、見出せる自己実現があります。雇われていることでしか分からない、生きがいや喜び。たくさんあるものです。
具体的に独立開業を視野に入れて、日々精進して、毎日を生きている方。「見た目」とその「雰囲気」が独特なのです。何か、独特の面構えをしているのです。何か非常に良い顔をしているのです。
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「良い顔をしている」
「良い顔をしている」というのは、顔のパーツが良くて、イケ面であったり、二枚目であるのとは違うのです。どこか腹が据わった、覚悟を決めた顔つきなのです。
今回、独立開業をした担当者。美容院のスタイリストが、29歳。接骨院の先生が、28歳。最初、私は二人とも、20代だとは思っていませんでした。30代半ばぐらいに、当然に思っていたのです。それが、色々と話をしていく中で、まだ20代ということが分かったのです。出会ったときは、スタイリストの方が28歳、接骨院の先生は、まだ若干26歳。
現在、私は、中学生と高校生の区別。実は、ろくに出来ません。毎年、大卒の新入社員の方を見かける度に、年々最近の若い方というのは、年齢以上にその姿が、何か幼く映り、また幼くも感じています。
私が若い方を幼く見えたり、幼く感じること。最近の若い方の精神性が、幼くなったというより、自分が、歳をとり、中年のおっさんになったということなのでしょう。
そんな歳をとった中年のおっさんが、独立開業をする前の20代の二人に対して、何か、非常に大人に見えて、大人に感じていたのです。二人とも、独立開業をするにあたり、日本政策金融公庫などから1000万円程度、借り入れをするとも話していました。
夢を持ちながらも、現実も直視しているのです。大きな不安が、うねりをあげて襲ってくる一方で、ワクワク感で全身が包まれているときもあるそうです。私と話をしていると不安感より、ワクワク感の方が大きくなり、自分の力を試してみたいモチベーションが出てくると話していました。
退職する前に、業界が違う二人から、同じようなことを言われました。
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「やるに当たり、何か、アドバイスを頂けませんか!」
私は、即答しました。
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「大丈夫、簡単に、死なないよ。」
二人とも、引き締まった良い顔をして、一言、呟きました。
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「ありがとうございます。」
人は、簡単に、生きていくことが出来ません。
一方で、人は、簡単に、死んだりもしないのです。
『夢がない。』、『不安がある。』などと、理想と現実の分別も出来ずに、愚痴や不満ばかり言っている者が多い中で、夢を持ちながらも、現実も直視出来ている若者。骨のある若者。実は、結構、いるものです。
そんな若者の表情は、年齢に関係なく成熟した大人の見た目をしているのだと思います。これで食っていくと腹が据わった、覚悟を決めた人。経営者であっても、従業員でもあっても、どこか「人間力」が大きく違ってくる様な気がしています。
作成日:2015年11月23日 屋根裏の労務士