「マイナンバー」
マイナンバーは、当初10月初旬には、全国すべての住民票を有する全ての住民に対し、簡易書留により郵送されるとされていました。これが、10月中旬以降に延期され、そのうち11月中ということになりました。現在では、総務省は12月20日までに配達することを目標に掲げて対応しています。
マイナンバーを郵送するだけでも、誤配達の問題など、日々問題が出てきています。
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住民票がある住所に、12ケタの番号を郵送すること。
机上で考えれば、簡単なことの様にも思えます。しかし、現実論として、現実に向き合って取り組めば膨大な労力が必要になってきます。
頭の中だけで考えているときは、簡単なことの様に思えても、それを実際に、対応していくということになれば、膨大な労力が伴う大変な作業になること。日々の仕事の多くが、少なからず、そのような一面があるような気がしています。
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特に、人事や総務の仕事。
知らない人から見たら、簡単なことの様に思われていたり、自分たちですら、取り掛かる前は、簡単なことだと考えていたりすること。多いものだと思います。実際に、取り掛かってみたら、膨大な作業が発生すること。後から大変だと気が付いたり、後から大変だと分かることの連続だと思います。
マイナンバーは、通知カードの配送だけでも、中々、予定通りには事が進んでいません。今後、マイナンバーを運用していく中で更に、色々と大変なことが起きてくると思います。
マイナンバー導入に伴う事前の準備案内だけでも、現在進行形で、流動的な対応になっている実情があります。マイナンバーを管轄している内閣府の担当者は次の様に説明していました。
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「マイナンバーは、国も初めてのことであり、
日々、走りながらの対応です。」
「走りながらの対応」と言えば、恰好良いですが、要するに、国も、想定外の展開が多く、分からないということなのです。現実的な対応として、マイナンバーの件は、状況に応じて、都度、対応していくしかありません。
当初、マイナンバーを最初に取扱う予定となっていたのが下記です。
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扶養控除等申告書
扶養控除等申告書における本人確認の方法は内閣府の資料だけでなく、厚生労働省の資料にも掲載されています。税金の分野ですので、顧問の税理士の先生から取扱いに関して、ご説明を受けているクライアントも多いと思います。
マイナンバーの通知カードの配送。予定通り進んでいないこともあり、国税は次のようなQ&Aを出してきました。
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Q1-4
平成27年中に扶養控除等申告書に個人番号を記載しても差し支えないとのことですが、
従業員がまだ通知カードを受領していない場合はどうすればよいですか。
(答)
平成27年中に提出する扶養控除等申告書については、
法令上、個人番号の記載義務はありませんので、
提出の時までに従業員に通知カードが届いていない場合には、
個人番号欄は空欄で構いません。
この場合、個人番号の記載のないまま受領することとなりますが、
平成28年分の源泉徴収票(税務署提出用)には、
従業員の個人番号の記載が必要になりますので、
源泉徴収票を作成するまでに、別途従業員から個人番号を取得する必要があります。 - □
Q1-5
平成27年中に扶養控除等申告書の提出を受ける場合、
個人番号欄のない様式を使用してもよいですか。
(答)
平成27年中に扶養控除等申告書の提出を受ける場合は、
個人番号欄のない様式を用いても差し支えありません。
ただし、個人番号欄のない様式を用いて、平成28年1月以後に提出を受ける場合は、
余白等に個人番号を記載した上で提出を受ける必要があります。 - □
Q1-6
平成27年中に個人番号の記載のない扶養控除等申告書を受領した場合、
平成28年中に従業員に補完記入してもらう必要はありますか。
(答)
平成27年中に個人番号の記載のない扶養控除等申告書を受領した場合、
平成28年以降従業員に従業員等の個人番号を補完記入してもらう必要はありません。
さらに、短い期間でしたが、内閣府のトップページで、次の重要な取扱いが取り上げられていました。その後は、国税のFAQに掲載されています。慣れていなければ、該当箇所を見つけるだけでも大変でしょう。
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扶養控除等申告書にマイナンバーの記載を省略できる方法。
扶養控除等申告書には、原則としてマイナンバーを記載する必要があります。つまり、「特定個人情報」となる書類が発生することになります。「特定個人情報」が増えること。企業の安全管理措置の対応が増えることになります。
7年間も保管義務のある扶養控除等申告書。マイナンバーを記載した書類を保管するのは、企業に大変な負担となります。恐らく、マイナンバーの不満として国民の意見として企業側からのクレームもあったのでしょう。次のような運用が認められることになりました。
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Q1-9
扶養控除等申告書の個人番号欄に、
「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨の記載をすることで、
個人番号の記載に代えることはできますか。
(答)
平成28年1月以後に提出する扶養控除等申告書には、
従業員本人、控除対象配偶者及び控除対象扶養親族等の個人番号を
記載する必要がありますので、その記載内容が前年以前と異動がない場合であっても、
原則、その記載を省略することはできません。
しかしながら、給与支払者と従業員との間での合意に基づき、
従業員が扶養控除等申告書の余白に
「個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨を
記載した上で、給与支払者において、
既に提供を受けている従業員等の個人番号を確認し、
確認した旨を扶養控除等申告書に表示するのであれば、
扶養控除等申告書の提出時に従業員等の個人番号の記載を
しなくても差し支えありません。
なお、給与支払者において保有している個人番号と個人番号の記載が
省略された者に係る個人番号については、適切かつ容易に紐付けられるよう
管理しておく必要があります。
この方法をとった場合には、給与支払者において保有している従業員等の個人番号
(従業員等の個人番号に異動があった場合は異動前の個人番号を含む。)については、
扶養控除等申告書の保存期間(7年間)は、廃棄又は削除することはできません。
国税がこのような運用を認めたのは、恐らく、マイナンバーの取扱いに関して、当初の予想以上に、国民が敏感であったこと。あるような気がします。
私は、税務のプロではないので、扶養控除等申告書にマイナンバーを記載させる必要性まで分かりません。税務署に届け出る必要がない扶養控除等申告書。その書類にまで、マイナンバーを記載させること自体、何か、間違いだった様な気がしています。
今後、小生の方も、クライアントの方から、マイナンバーを頂いて、マイナンバーを取扱うことになります。小生の方も、安全管理措置に負担がかからずにかつ、できるだけ特定個人情報を発生させない工夫。あれこれ、色々と考えております。マイナンバーの件は、流動的になっていますので、対応すべき最善の方法を検討して、各種取扱いを今後もご案内させて頂きます。
作成日:2015年12月14日 屋根裏の労務士