「富山の旅」
富山から高岡までは、電車で20分足らずです。高岡は、富山県の中で富山に次いで2番目に大きな都市です。人口は、17万6千人程度しかいません。
ちなみに、富山市の人口が約42万人。北陸地方の拠点となる金沢市の人口が約47万人ぐらいです。富山市と金沢市、高岡市の人口を合計して、100万人を超えるぐらいの規模です。
高岡は、加賀藩主前田利長が築いた城下町。高岡城の廃城後は商工業都市として発展。伝統工芸の高岡銅器に代表される鋳物の生産が有名です。豊かな水と電力を背景に、アルミニウム工業も発達しています。
人口が20万人にも満たない小さな街ですが、意外と観光地として見所があります。下記が高岡の観光資源であり、一見の価値があります。
- □
瑞龍寺
- □
高岡大仏
瑞龍寺は、富山県唯一の国宝です。なかなか見応えのある寺です。また、高岡大仏は、総高15メートル85センチ。あの奈良の大仏の高さが約15メートルですから、同じくらいの大きさの大仏です。
高岡だけの観光であれば、主要なスポットを観光してぶらぶらと散策するだけであれば、半日もかかりません。その高岡に2連泊したというのは、高岡を拠点にして、次の二つの観光地に足を運んだからです。
- □
砺波市のチューリップ
- □
白川郷と五箇山の合掌造り集落
私は、日本庭園を鑑賞するのが趣味の一つです。庭園を彩る季節の花を愛でるのが、人生の楽しみの一つ。日本庭園には、チューリップはありません。毎年、桜が散った後、4月の中旬頃には日比谷公園のチューリップを愛でています。都内には、大規模にチューリップが彩る農園などはあまり無いような気がしています。
昨年のゴールデンウィークでは、チューリップを楽しみの一つに思ってオランダの街並みを模したハウステンボスを訪れました。しかし、関東より温暖な九州地方では5月の時期には、チューリップの見頃を終えていたのです。
ゴールデンウィークの時期に、チューリップの見頃を迎える観光地。北陸地方の砺波市なのです。砺波市は、日本のチューリップの生産量第一位です。
砺波は、チューリップ栽培に適した気候です。冬の間は、大地を雪がすっぽりと覆い球根を守ります。冬の厳しい寒さもチューリップ栽培には、必要な環境条件なのです。春の時期の豊富な雪解け水も、球根栽培には好条件。春の時期は、日本有数の日照時間のおかげで水分を十分に吸収して、球根がまるまると大きく太るのです。
砺波は、冬の深い雪と春の晴れが多い天候のおかげでチューリップ栽培に最適な環境になっているのです。
今回の旅で、瑞々しいチューリップを愛でることが出来ました。「となみチューリップフェア」では、650種250万本のチューリップが咲き誇ります。それほど、混雑もしていません。ゆったり、自分のペースで花を愛でることが出来ます。
チューリップは不思議な魅力がある花です。畑として見る景色も美しいですが、1本1本に近寄って見てもまた楽しいのです。チューリップは色や花の形がとにかく多彩。「となみチューリップフェア」では、「これがチューリップなのか!」と思うほど、珍しいチューリップにも出会えます。
砺波のチューリップを愛でた次の日は白川郷と五箇山の合掌造り集落を見てきました。白川郷は、岐阜県です。白川郷のアクセス方法は、大きく下記の二つです。
- □
太平洋側の名古屋側から入る経路
- □
日本海側の富山、高岡、金沢側から入る経路
金沢から入るのが近いようですが、今回、私は、高岡から高速バスで白川郷に入り、五箇山の合掌造り集落を見てきました。白川郷と五箇山の合掌造り集落は、周りを険しい山々に囲まれ、冬には2メートルを超える雪が降ります。
四方を山が囲む地形のため、交通の発達に遅れ、昔ながらの生活が息づいています。都会の様に、資本主義が入り込んでいないのです。その場に足を踏みいれると、資本主義の慌ただしさをふと忘れて、何か、昔話の世界の中に、迷い込んだような気分になれます。
私は、忙しい都会の日常を離れて、知らない街を旅するとき。いつも考えることがあります。
- □
「この街で生まれて育っていたら、どんな自分になったのだろうか」
- □
「この街で生きていたら、どんな自分になっていたのだろうか」
どんな出会いがあり、どんな人と巡りあって、どんな影響を受けて。どんな自分になっていたのかと、考えてしまうのです。どんな街で育ち、どんな人と巡りあっていても、自分は、資本主義が隅々まで入り込んだ、この東京で生きていたとも考えたりもしています。そして、必ず、今の仕事をする形になったと確信しています。
白川郷と五箇山の合掌造り集落を訪れて、懐かしい日本の街にタイムスリップしたような感覚になりました。合掌造り集落にいると、何だか、懐かしい気持ち。ふと、込み上げてくるのです。
自分が住んだこともないので、自分には、懐かしいはずがないですが・・・。
合掌造り集落は、そんな日本の懐かしさを感じさせてくれる場所です。今回の北陸地方の5泊6日の旅。どこの街も見所が多く、楽しかったのですが、何より、食事がおいしかったです。富山湾は、「天然のいけす」と言われるように、魚がとてもおいしいのです。
富山湾が「天然のいけす」といわれるのは、富山湾の特異な地形にあるようです。沿岸から海が急激に深くなっていて、海底には多くの谷が入り組んだ、「藍がめ」といわれる海底谷があり、そこが魚介類の格好の住処になっているのです。
それに加えて、3,000m級の立山連峰から流れる水が豊富な栄養分を運んでくるので、魚が、ふくよかに育つのだそうです。しかも、漁場から港までの距離が近い。まさに、「天然のいけす」から魚をとるように、鮮度の高い魚を食べることが出来るのです。
北陸新幹線が開業して、東京から富山まで2時間程度で行くことが出来るようになりました。富山には、季節を変えて、また、訪れてみたいです。
作成日:2016年5月23日 屋根裏の労務士