コラム Column

「脳力を強化するためには!」

週末に、脳に関するドキュメント番組を見ました。脳は、「人類最後のフロンティア」と言われています。番組では、脳がもたらす不思議な現象や驚きの「脳力」をもった人々を徹底取材。「人類のフシギ」に対して、先端の科学でアプローチ。脳の「フシギ」について解明。脳の無限の可能性と未来のヒントを示す興味深い内容でした。

人類は、脳の謎に関して、ほとんどのことを、まだきちんと分かっていません。そんな神秘的な脳の世界。近年、日本は脳ブームの様です。脳力を鍛えるようなゲームも売られています。大手の新聞紙面でも「脳を鍛える」記事があったり、脳力を鍛えるクイズのようなものが載せています。

書店に行けば、脳関係の書籍コーナーがあります。「脳を鍛えて自分を変える」と称する本が溢れています。自己啓発の類に関する書籍。脳の神秘的な内容について、少なからず、触れられて、取り上げられていることが多いものです。

  • 科学的に解明されていないことが多い脳の力

そんな不思議な脳の力を交えながら、自分の成功体験を含め、ノウハウとして商売にしている怪しい業者も、度々、見かけます。もちろん、痴呆の予防などで、医師の指導の下に適正に行われているケースも数多くあります。

ご存知のとおり、人間の脳は、左右、2つに分かれています。左側が左脳、右側が右脳、その間は脳梁と呼ばれる神経線維でつながれています。左脳と右脳の働きは、大きく次のようになります。

  • 左脳は、言語を読み書きする力、物事を分析する力、
    計算する力、論理的に考える力

  • 右脳は、図形などを読み取る力、音楽などを聞き取る力、
    全体を見渡す力、空間認知力、直感力

左脳は『理屈』、右脳は「感覚」とも、度々、説明がされています。人間が、普段良く使っている言語中枢や計算は『理屈』の左脳であり、左脳に関しては、特別に何か脳力を強化する需要は、あまりなさそうです。そのため、『理屈』の左脳を強化すべきという書籍やビジネスは、あまり目にしないような気がしています。

一方、右脳に関しては「感覚的」なものなので、普段、頻繁に使っているわけではありません。そのため、「感覚」の右脳を強化すべきという書籍やビジネスは、よく見かけるような気がしています。

瞬間的に表示される絵や文字を読み取るトレーニング。脳力を鍛えるようなゲーム。いずれも、「瞬間的」であり「感覚的」な右脳を強化するような内容です。右脳を使う人は、特別な能力をもっている人だとも思われていることが多いような気がします。

私は、左脳と右脳の働きなど、正直、あまり理解が出来ていません。しかし、ビジネスでは、自分の専門分野に関して、一定限のキャリアを積んだ方。誰もが、右脳を使って、「感覚的」に判断している様な気がしています。

私は、前職は不動産系列の建築屋でした。駆け出しの新入社員の頃には出来ませんでしたが、退職をする頃には、土地を見ただけで、どんな建物をつくることができるのかについて、「瞬間的」かつ「感覚的」に、細部までイメージができるようになっていました。

不動産の買取業者も、ベテランのできる営業マンは、最初に、自分の「直感」で物件の査定をして値付けをし、後から、取引事例の相場を確認しているものです。つまり、情報収集の前に、実際の現場を見れば、その現場に対して、自分の「直感」で、概ね取引のイメージが出来て、判断ができているのです。

  • どんな業界でも、この業界で生きていくこと、死ぬことを決めた者が
    日々、研鑽を積んでいけば、『理屈』ではなく「感覚」で、つまり、左脳ではなく右脳で、
    瞬間的に捉えることが出来るようになるのだと思います。

私は、基本的な法律の知識に関しては、常日頃から勉強をしています。質問をいただいて、知らないことがあれば、あれこれ確認調査をします。

一方、私は、正解のない難しい労務のご相談やコンサルティングについて。自分の「直感」で方向性をつけて判断して、後から理屈づけをしていることがほとんどです。規程や条文を書くときも、最初に直感的に条文のイメージが浮かんできて、後から理屈づけして、細部を詰めていることがほとんどなのです。

制度を策定する場合、都度、直感で全体像をイメージしながら、左脳で理屈づけをして細部を詰めていくものです。制度策定とは、打ち合わせの度に、都度、全体像のイメージを直感で捉えながら、ドキュメント化してクライアントと理解を深めていく作業の連続なのです。そもそもの法律条文に関しても、新しい法律が施行される前に、おおよそは直感で原文の内容をイメージすることが出来ています。

  • 自分が生きていくこと、死ぬことを決めた専門分野

そんな自分のフィールドの専門分野であれば、誰もが、細かく検証したり、考えるまでもなく、総合的に「直感」で対応することが出来ているものだと思います。左脳の『理屈』ではなく、右脳の「感覚」で、瞬間的に対応ができるレベルに到達していると思うのです。

どんな業界でも、プロというのは、そういうものではないでしょうか。一方、プロというのは、左脳の『理屈』を使う場面であれば、徹底的に検証したり、突き詰めて考えることができる者です。

左脳を強化したり右脳を強化したり、何か、特別な訓練をしなくても、自分が生きていくこと、死ぬことを決めたビジネスの中に身を置けば、日々、脳力を強化できているような気がしています。

作成日:2016年7月4日 屋根裏の労務士

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