「生きた制度をつくるためには!」
無事に給与制度の導入が出来たことを見届けることが出来て、小生の方も、しばしの安堵に包まれています。お陰様で、ゴールデンウィークを清々しい気持ちで、過ごすことが出来ました。
昨年のゴールデンウィーク明けの春の時期に、2社とも給与制度を改定したい旨のご相談を頂きました。1社は昨年の6月から、もう1社は昨年の7月から、給与制度の改定のプロジェクトが本格的に開始。
2社とも毎月1回程度の打ち合わせペースで、10回程度の真剣勝負の打ち合わせを積み重ねて、予定通り、4月から新しい給与制度が導入されました。
弊社のクライアントは、1社を除いては、すべて小生が就業規則を本格的に策定し、その後の運用をさせて頂いています。給与制度の改定に関しても、多くのクライアントで、「本格的な給与制度」の策定を対応させて頂いています。小生の給与制度の改定の特徴は下記です。
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労働時間法理を踏まえた成果主義制度
大手の人事コンサルティング会社が手掛ける給与制度。労働基準法に関する労働時間法理に関して、あまり対応されていないことが多い傾向にあります。
労働時間と賃金は、密接に繋がっています。小生が手掛ける給与制度は、コンプライアンスに適合させ、クライアントのビジネスや企業文化を理解して、成果主義の賃金バンドを検討していくのが特徴です。
社労士として机上の労働時間法理を踏まえて、コンサルタントとして現実の賃金と対峙して、新しい給与制度を策定していきます。給与制度の構築を手掛けるためには、大きく下記の2つの能力が必要になります。
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社会保険労務士の法律知識の理解力
労務コンサルタントの制度構築力
給与制度の構築のコンサルティングの場。小生は、社労士として、コンサルタントとして。クライアントは、人事の上席者として、経営者として。すべてのことが試される場でもあります。
給与制度の構築のコンサルティングは、クライアントと小生とが二人三脚となり、お互いの頭をフル回転させて、真剣勝負で打ち合わせに臨む必要があります。
クライアントの現状の課題を、ともに共有して。クライアントが求める新しい組織体を探り、そのために必要な制度を、ともに考えて。己の魂を削りながら、制度に魂を吹き込む「制作活動」なのです。
コンサルティングとは、『法律論の相談』をして『理想論のアドバイス』をしていることではありません。コンサルティングとは過去からなると現在を理解して、未来に向けて、現実的に制度をつくり込んでいく「制作活動」なのです。
給与制度の策定は、数字と法律の辻褄合わせではありません。給与制度の策定で求められる能力とは、従業員のひとりひとりや企業全体の存在を現実世界の実態で捉えると同時に、賃金という数字の世界で抽象化させて捉えることでもあります。
現状の問題や課題を認識して、分析するだけではありません。未来の会社や新しい会社の労務を思い描くことなのです。
また、給与制度の策定は、会社方針や思想を社員に示す、「究極のメッセージ」でもあります。給与とは、そもそも、「究極の労働条件」です。
これまで、小生は、数々の給与制度を策定しました。しかし、給与制度の策定や改定は、どの企業でも一筋縄にはいきません。どこかの講習や研究会の座学で教わった机上の知識やノウハウで、簡単に打ち合せが進み、コンサルティングが終わったこと。実は、これまで、1社も無いのです。
人の顔は、目が2つあり、口が一つ、鼻が一つ。誰もが、基本的なパーツの数は、同じです。しかし、この世に、同じ顔の人はいません。人の顔が皆違うように、企業もそれぞれに特徴があり、この世に、同じ企業はないのです。この世に同じ企業がない以上、同じような形でコンサルティングが終わり、同じ制度が導入させることもないことは、当然のことでもあります。
大手の人事コンサルティング会社に依頼し、高額な費用をかけて制度を策定しても、実際に運用されていなかったり、制度が形骸化して動いていないこと。人事制度の問題点として、珍しいことではありません。むしろ、よく、見かけることです。
何かひな形をそのまま使っているだけで、自分たちの制度として、労を費やして、毎回の打ち合せを真剣勝負の鉄火場として、真面目につくり込んでいないから、自分たちの血肉化した制度になっていないのです。
策定した給与制度に、魂が宿り、生きた制度になるか否か。それは、コンサルタントとクライアントの両者が、制度の策定に向けた真剣勝負の打ち合わせの中で、「己の魂を削った量」によると思うのです。
作成日:2017年5月8日 屋根裏の労務士