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「岡山から四国を巡る旅」・・・後編(ブリッジワールド編)

今年のゴールデンウィークに、四国に行ってきました。今回、訪れたのは香川県と徳島県です。最初に、岡山から「瀬戸大橋」を渡り、高松に入りました。次に、高松から鳴門に行き、「大鳴門橋」と「明石海峡大橋」を渡り、神戸に行ってきました。

今回、初めて、四国を訪れてきました。小生が四国を訪れた大きな目的は下記です。

  • 本州と四国を結ぶ「巨大橋梁」を体感して、
    橋梁設計と橋梁の維持管理について理解を深めること

本州と四国を結ぶルートには次の3つがあります。

  • 神戸・鳴門ルート
    児島・坂出ルート(通称:瀬戸大橋)
    尾道・今治ルート(通称:瀬戸内しまなみ海道)

本州四国連絡橋は、国が策定した国家プロジェクトです。四国4県の人々の人命を守る防災、物流、運輸、観光などの経済効果を目的として橋が架けられました。今回、3つのルートのうち、2つのルートを渡り、橋梁設計と橋梁の維持管理を学ぶことが出来て、大変有意義な旅となりました。

建設コンサルタント業のクライアントが増えたこともあり、その技術の最高峰の一つである四国の橋を今回、勉強しておくことにしたのです。かねてから、四国に架けた橋は資料館を含めて要見学しておきたいと思っていました。

ゼネコンを知らない人はいないと思います。しかし、建設コンサルタントという存在は、世間ではあまり知られていません。建設コンサルタントというのは、「知る人ぞ知る」という存在です。

実は、小生は、建設コンサルタントには色々と縁があります。小生が不動産関連の建築屋だったサラリーマン時代。直属の上司だった部長が、技術者の方で、元・建設コンサルタントだったのです。部長は、建設コンサルタントの中で、河川に関して強みを持った企業にいたそうです。業界の中では、老舗の建設コンサルタント会社の様です。

今でも、小生の仕事の進め方は、部長から学んだことがベースになっています。部長からは、いつも、「やっておけ!」という様な包括的な指示の下。「心構え」だけを教わりました。具体的なことは、一切、教わらずに、自律的に仕事に取り組んでいました。

それでも、人というのは、一緒に仕事をしていると自分が意識をしていなくても、無意識レベルで、色々と影響を受けて、色々なことを自然と常識感覚で、血肉化され身に付けることが出来るようです。小生の制度構築能力と緻密さ。技術屋の部長から受け継いだものです。

部長からは、一緒に仕事をして、たくさんのことを学びました。その中でも、私が、部長から教わったことは下記のことだと思います。

  • 仕事というのは、「自分で自分に指示を出すこと」だということ。
    そして、技術やノウハウは、あるものではなく、つくり出すものだということ。

つまり、『指示待ち』ではなく、自分の頭をフル回転させて、自分で自分に指示を出して、「自発的に動く」ということです。そして、その過程の中でしか、ホンモノの技術やホンモノのノウハウを見出していくことが出来ないということです。

仕事というのは、周囲がいくら教えようとしても、教えることが出来ない領域。自分が自発的に考えて動くことでしか、身につけられないことがあるということです。

潮の流れが速い瀬戸内海に架けた巨大な吊橋を見ながら、建設コンサルタントの猛者たちが挑んだ技術との格闘。何か直観的に理解したような気がしました。

ギネスにも認定されている「明石海峡大橋」には、「ブリッジワールド」というツアーがあります。橋の建設に携わった、JB本四高速のツアーリーダーたちが世界最長の吊橋の建設について、隠された橋の技術や歴史などを分かりやすく説明してくれます。普段立ち入ることが出来ない管理用通路を通り、海面上約300mの主塔に、案内してくれるブリッジツアーです。

ツアーリーダーが、ギャグや冗談を交えながら、楽しく説明してくれます。受付開始の時刻から、約3時間のツアーで費用は3,000円。1日に50人程度しか参加することは出来ません。事前に予約をしておく必要があります。口コミの紹介で人気が広がり、「知る人ぞ知る」エンジニアツアーです。

神戸のシンボルタワーである神戸ポートタワー、東京タワーやスカイツリーなど。日本の観光名称になっているタワーより、「ブリッジワールド」は何倍ものスリルを味わうことができます。なぜ、もっと人気が出ないのか、不思議なくらいです。厳格な人数制限もあるので、予約制度ではなく、抽選制度になっていても、おかしくない様な内容です。まさに、「知る人ぞ知る」という存在なのです。

神戸に遊びに行った際は、是非、舞子まで足を延ばして下さい。「ブリッジワールド」は、お勧めの観光スポットです。最初に橋に入るうえでの注意事項に関して、誓約書を書きます。「橋の科学館」でDVDを鑑賞した後、ヘルメットを着用。ツアーリーダーから、「橋の科学館」で展示資料について解説を受けます。

通常、入ることが出来ない橋の管理用通路に行きます。そこから、淡路島方面に海面上約50メートルの所を格子状の橋桁の上を橋の主塔まで約1キロ歩きます。この1キロの歩行もスリル満点です。主塔についたら、高速エレベーターで、海上約300メートルまで約2分で到着です。海上約300メートルと言えば、ちょうど、東京タワーと同じぐらいの高さなのです。

塔頂からの眺めは360度パノラマの大迫力です。通常、タワーや高層ビルなどは、展望室がガラス張りです。ガラス越しでのフィルターを通して、景色を見て、確認するということになります。しかし、「ブリッジワールド」は、ガラス張りでなく、何ら、フィルターがない景観をそのまま風を感じながら、見て、感じることが出来るのです。まさに、まじまじと体験できるのです。

  • ホンモノに触れた感覚を!

世界最長の吊橋・「明石海峡大橋」。
全長3,911 メートル、中央支間1,991 メートル。
建設費約5,000億円。
建設工期約10年。
橋梁建設に関わった関係者の人数は延べ20万人超。

それだけの人数がかかわったにも関わらず、死亡者は0人。
世界No.1の技術の塊であるだけでなく、安全対策でも世界No.1。

そういえば、橋を設計して、プロジェクト全体の指揮をしたはずの建設コンサルタントの名前や存在。「橋の科学館」での資料やツアーで頂いた資料、ツアーリーダーの解説にも、一つも出てきていませんでした。「大鳴門橋」の資料館の方でも、一つも出てきていません。小生は、いつ名前が出てくるのかをワクワクしながら楽しみにしていたのです。名前が出てこなかったので、ガッカリです。

コンサルタントというのは、表舞台には出てこないで、縁の下の力持ちで、黒子でいるものなのでしょうね。どんな社会でも、「知る人ぞ知る」という存在の人がいるものです。

いつか、本州と四国に架けた3つ目の橋。尾道・今治ルート(通称:瀬戸内しまなみ海道)にも訪れてみたいです。

作成日:2017年5月15日 屋根裏の労務士

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