「釧路の旅」・・・前編
北海道にはジメジメとした梅雨の季節がありません。気温が高くでも湿度があまりないので、カラッとしていて何とも気持ちが良いのです。7月の3連休の北海道の楽しみは、東京のジメジメとした梅雨の時期や蒸し暑い夏日を、しばしの間、忘れることが出来るところにあります。
また、例年、7月の3連休は台風が来たり、梅雨の時期のため、全国的に天気は崩れがちで、雨模様になります。しかし、北海道は雨が降ることは余り無いのです。今年は、3連休中に北海道の西側の小樽ではゲリラ豪雨に見舞われ、記録的短時間の大雨となっていた様です。
一方、東側の釧路では夕方から夜にかけて天気が崩れながらも、翌日以降も日中については雨になることはありませんでした。何より、連休初日は快晴の北海道を満喫することが出来ました。
今回の旅は、ゴールデンウィーク明けに一連の計画を立て、各種予約や段取りをしていました。今年も夏の北海道の旅行を楽しみにしていたのです。しかし、今回は楽しみにしていた北海道旅行をキャンセルするつもりでいました。
1カ月前の6月中旬に、足の甲の骨を3本骨折してしまったからです。幸いにして、骨折した骨は3本とも骨の位置がずれていませんでした。そのため、ギブスをする必要はありませんでした。骨折してから、2週間ぐらいまでは、腫れと痛みが酷くて、とても遠方にまで旅行ができる状態ではありませんでした。また、そんな旅行をするような気持ちにもなっていませんでした。
ケガをしてからしばらくの間、特に6月の期間中、今回の旅は当然にキャンセルする気持ちでいました。しかし、7月に入ってから、痛みが少なくなりました。
2泊3日程度の短い旅。
今回は歩き回ることがほとんど無い旅。
整形外科の先生からは、安静にしている様に指示をされました。しかし、あまり動き回らずに、景色を眺める程度に留めれば、旅に行くだけではなく、旅を楽しんでくることが出来ると、総合的かつ直感的に判断。何より、楽しみにしていた旅行であったので、強行で北海道に行くことを決めたのです。
今回の旅は、北海道の中で下記の街を訪れてきました。
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釧路
釧路は、北海道東部、太平洋沿岸にある街です。人口は17万3千人程度の都市規模です。街の繁華街地区の散策であれば、骨折をしていても、半日もかかりません。
地方都市の20万人規模の街ではよくある光景ですが、駅前はシャッター街になっていて、商店街を歩いている人の姿を見かけません。誰も歩いていない街に、朝から夕方まで振り込み詐欺などの注意警告の放送や広告放送が終日流れているのです。
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誰も歩いていない静かな街中に、響き渡る広告放送
広告放送が活気を出しているような気もしますが、何だか、返って淋しくなるような気もしてきます。そんな活気がない街に、奇跡の様に美しい風景がありました。自然公園があり、天然湖や広大な湿原がある釧路。そんな美しい自然が溢れる釧路の中で、今回、一番感動した光景が下記です。
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幣舞橋を背にした夕日の姿
幣舞橋を背にした釧路港に沈む夕日の姿。何とも情緒的なのです。蛇行しながら流れる釧路川。河口付近で西側に大きく折れ曲がって太平洋に注きます。太平洋を背景に空全体を紅に染める夕日。夏の薄っすらと白い霧中に浮かぶ橋影と街路灯。何とも幻想的な風景なのです。
そんな霧中に沈みゆく情緒的な夕日を、しばらく何も考えずに眺めていました。釧路川の土手のベンチに座り、何とも気持ちが良い風に揺られながら。
昼間の街の雰囲気はどこか淋しい気持ちになりますが、夜の街の雰囲気は、飲み屋も混んでおり活気がありました。釧路の名物・炉端焼きで新鮮な魚介を食べながら、しばしの時間、すべてのことを忘れることが出来ていました。
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日常を忘れて。
骨折したことを忘れて。
すべてのことを忘れて。
久しぶりのオフ状態になれました。
周囲からは、今回の旅行について、下記のように言われていました。
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『北海道は逃げないから、いつでも行けるよ』
『骨折が完治して元気になったら、
また、計画を立てて行けばいい』
上記のアドバイスは、ごもっともな正論です。しかし、骨折した者の立場になったら、その正論は違うのです。骨折して移動が不自由になってしまったから、どこかに出かけてみたいモチベーションが高まるのです。何より、旅が待ち遠しくなるのです。
骨折をして機動力を失い、活動できる範囲が狭くなってしまったから、どこかに出かけてみたい気持ちが強くなるのです。
現在、まだ、松葉杖をついています。骨折が完治したら、やりたいことがイロイロと沸いてきました。清々しい夏の北海道にも、足が治って機動力が戻った状態で、いつの日か、また、訪れてみたいです。
作成日:2017年7月31日 屋根裏の労務士