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「洞察力」と「コメント力」

先週、漫才コンビの頂点を決める「M-1グランプリ2017」がありました。私は年間にいくつか楽しみにしている「お笑い番組」があります。「M-1グランプリ」は、そのうちの一つです。

私は、ほとんどのテレビは録画で見ています。しかし、毎年、「M-1グランプリ」はライブ放送で見ています。ライブ放送で見ているのは、「M-1グランプリ」には、何とも言えない緊張感があるからです。

漫才は、マイク一本とトーク力だけで勝負する世界。短い時間の中で、様々な情報を凝縮して、相手に伝え、笑いの空間をつくり出し、見るものを幸せな気持ちにさせます。

私は、漫才を楽しみながら、話芸の技を勉強して、自分のプレゼンテーションの参考にもしています。挨拶、自己紹介から始まり、掴み、話の振り方、テンポ、間の取り方、ボケ、つっこみ、落ち、話のまとめ方などなど。漫才は、様々なプレゼン技術が凝縮されています。

特に、「M-1」は、若手芸人たちが自分たちの人生を賭けてガチで挑む、真剣勝負の場。ガチでその大会に臨んでいるということ。その緊張感が視聴者にも伝わってくるのです。

「M-1」の漫才は、1回戦は「2分」、2回戦・3回戦・敗者復活戦は「3分」、準々決勝・準決勝・決勝は「4分」の時間制限があります。

  • 「たった4分間しかない時間の中で、
    己のすべてを賭けて、本気で笑いを取ろうとする」

そんな緊張感がある4分の真剣勝負の話芸の祭典。真剣勝負の「M-1」には、漫才だけでなく、もう一つの楽しみがあります。それが下記です。

  • 漫才を審査する審査員の「点数」と「コメント」

若手芸人が人生を賭けて真剣に取り組んだ漫才に対して、真剣に審査をして点数をつけてコメントをする審査員。真剣勝負の緊張感は、漫才を繰り出す漫才師からだけではありません。審査員からも、真剣勝負で審査している姿が伝わってくるのです。

  • 鋭い切り口の「洞察力」
    何より、漫才の評価を一言でまとめる「コメント力」

毎回、毎回、圧巻の「洞察力」と「コメント力」なのです。特に、今回の大会は、審査員たちの辛口コメント。大会終了後にだいぶ反響を呼んだ様です。

かまいたちが640点の高得点を獲得。審査員の春風亭小朝さんは、90点と比較的高めの得点をつけながらも、下記のコメント。

  • 「僕はかまいたちが大好きなんですけど、
    ここに来る人は勝てるネタを用意してきますが、
    実際には勝ち切るネタが必要なんですよね。
    勝ち切るネタじゃなかったので、若干低めになりました」

マヂカルラブリーの漫才に対して、審査員全員が80点台の607点で最下位。MCの今田耕司さんからコメントを求められた審査員の上沼恵美子さんは、下記のコメント。

  • 「ごめん、聞かないで」
    「好感度を上げようと思えば、審査員も高得点をあげられる」
    「でも、みんな本気で挑んでるんで、私も本気で挑んでます」

厳しい採点をつけた理由を語り、この上沼さんの発言に対し、マヂカルラブリーの2人は「(自分たちも、)本気で挑んでるから!」と反論。しかし、これに上沼さんは激怒して下記のコメント。

  • 「本気でやってるっちゅうてんねん、こっちも!」
    「好みじゃない」
    「よう決勝残ったな、思って」

言葉を選びながら、愛情溢れる、厳しいコメントの数々。司会の今田耕司さんは、「こんな怖い上沼さん、初めてやわ」と場を繋ぐコメント。更に、審査員の松本人志さんは、「僕、録画してきたけど、ここはスキップします」と笑いをとり、場を締め括るコメント。

ライブ中継で公開指導のアドバイスをしたり、思い付きではない、「洞察力」に基づいた真剣勝負の審査がヒシヒシと伝わってくるのです。

真剣に取り組んだことに対して、真剣に評価をして、その評価に対して、自分なりの価値観や基準に基づき、コメントをつけてフィードバックしていくこと。大変、難しいことだと、日々感じています。

企業の人事査定でも、賞与や昇給、昇格の評価をつけても、その評価を本人に対して、フィードバックしていないことなど珍しいことではありません。真剣に取り組んだことに対して真剣に評価して、フィードバックしていくこと。

評価する側も、評価を付けながら、下記の能力を身につけて、高めていかなければいけないと思うのです。

  • 「洞察力」と「コメント力」

真剣に評価して、その評価を言葉にして伝えていくことにより、日々高められていくのだと思います。何より、お互いに真剣にやることにより、取り組んでいく内容や評価のレベルが、日々、高められていくのだと思うのです。

  • 評価していくこと

  • それをフィードバックしていくこと

大切なことだとだと思いながらも難しいことだと日々感じています。「M-1」の審査委員の「洞察力」と「コメント力」。そんな審査員の存在が、「M-1」のレベルを引き上げて、日本の漫才を底上げしているのだと思います。

作成日:2017年12月11日 屋根裏の労務士

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