コラム Column

「この人、何者ですか!」・・・その1

2月から3月の中旬まで、パソコンのトラブルに陥り、連日、マイクロソフトとパソコンメーカーに問い合わせをしていました。

パソコンの購入の初期不良で、マザーボードの部品を交換して頂いたところ、Windows10のセキュリティーシステムが発動。強固なロックがかかり、簡単には解除できない状態になってしまったのです。

労務コンサルティングの本業で難易度の高いプロジェクトに費やすのと同等のパワーを出しました。自分の本業以外の不慣れな分野であることを踏まえれば、本業以上のパワーを出して、全身全霊で対処する事態に陥っていたことになります。

メインパソコンが調子の悪いときの心持。骨折をして松葉づえで生活していた3カ月間よりも強いストレスに苛まれていました。骨折も辛い体験です。しかし、小生の仕事は、頭で考えて、コミュニケーションを取ることが出来れば本業に支障が起きることはありません。

それに、骨折程度のケガであれば確実に出口が分かっています。専門者の医師がついてくれています。治るまでアドバイスを頂ける状態でいられます。

今回のパソコンのトラブルは専門者がついていてくれる状態ではなく、問い合わせをしても、その窓口の人が分からない状況なのです。今回のパソコンのトラブル体験を通じて、下記の認識に至る気持ちにまでなっていました。

  • メインパソコンは体の一部

メインパソコンはインフラであり商売道具という意識を超えて、自分の体の一部のような気持ちになっていたのです。

当初、パソコンメーカーからは、何度も何度も初期化することを勧められました。何度も何度も下記のことを指摘されました。

  • 『ウインドウズのプログラムを
    何か、いじくったのだと思います。』
    『何か、プログラムに不具合が起きるものを
    ダウンロードしたのだと思います。』

上記のような説明を受けたのは、今回のパソコンメーカーだけではありません。多くのパソコンメーカーやソフトウエア会社の言い訳の常套句なのです。

  • 『適正に対応しているのであれば、
    今回のような事態にはならないはずです。』

自分たちが技術的にわからなくなり、回答に行き詰まると、すぐに上記のようなことを言い出すのです。仕事が出来ない、技術力が低い担当者の常套句です。

重要なデータはバックアップしてあります。それでも初期化すれば失うデータもあります。そもそも、データ復旧サービスを保障に掲げて広告に打ち出して営業しているのに、簡単に初期化の案内をするのは、無責任な対応だと交渉したのです。

こちらの操作ミスで起きた可能性はあるにしても、それを踏まえてサポートして対応するのがメーカーの仕事だと強く交渉したのです。

45万円もする高額なパソコンを販売しておいて、自分たちが技術的に分からなくなったら、初期化して下さいとの案内は、無責任な対応であると反論したのです。

このパソコンメーカーが、他のメーカーとは一線を画して、信頼できるのは下記の回答を迅速にしてくれるところです。

  • 今回の件は、最後まで
    メーカーとして責任をもって
    対処致します。

そして、技術に精通した担当者から連絡を頂き、ビットロッカーの解除に向けて対応が始まるのです。やはり、大切なものは国産の信頼ができるメーカーに限ります。

各種調査をして対応していく中でビットロッカーの解除に際して、マイクロソフトアカウントにサインインする展開になりました。ところが、パソコンの設定会社が設定したくれた際に、厳格に管理していたマイクロソフトアカウントが存在しないと表示されたのです。

このアカウントとパスワードは、パソコン設定後に、2回ほど、使っているので、間違いないと説明しました。しかし、何度対応してもサインインが出来ない状態になってしまっていたのです。

マイクロソフトアカウントの確認と解除について、メーカーでは対応が出来ません。ビットロッカーの解除とマイクロソフトアカウントについて、私の方がマイクロソフトに調査をするので、メーカーの方でもビットロッカーについて調査して頂く方針になりました。

私の方でマイクロソフトへの調査と確認が始まったのです。今回の調査が開始されてから、マイクロソフトの窓口の方と延べ10人ぐらいの方との調査対応に陥るのです。

情報処理の専門用語を使われて説明される度に、その専門用語を理解するために、IT用語辞典を調べます。情報処理の分野は、一つ一つが繋がっています。IT用語辞典の説明の中に、また分からない専門用語が出てくるため、また、その用語について調べることになるのです。

一つの事象を理解するためには、グルグル、グルグルと調べて、その事象について全体を理解できないと断片的な一つの部分も理解ができないのです。問い合わせ窓口をグルグル、グルグルと、たらい回しにされるだけではないのです。

専門者の方に、トラブルの説明を理解して頂き、調査をして頂くためには質問者の方も、基本的な専門用語を理解して、情報処理の基礎的なことを理解して掴んでおく必要があるのです。

  • 専門知識を身につけなくては
    問い合わせをすることも出来ない

質問者の方も、質問をするためにベースの知識を取得する必要があり、IT用語辞典の説明の森の中を、グルグル、グルグルしている状況になるのです。

今回の一連の対応を踏まえて、私の感想は下記です。

  • 相談窓口とは相談するところではなく
    クリアして、突破するところ

マニュアル通りの対応で済む範囲であれば、即答して頂き、それで解決するのかもしれません。しかし、イレギラーな対応や難しい対応になった場合、窓口の方は、相談するところではなく、その窓口の方を論破してクリアするところです。

最初の初期ステージの窓口の人をクリアしないと、技術力がある次の窓口の方に繋いでもらえないからです。更に、今回の一連のトラブルに関して下記のようになったのです。

  • これ以上の相談対応については、
    電話対応の窓口では対応出来かねます。
    ご案内するメールアドレスに対応して
    ご相談してください。

メールでの相談対応は、かなり厳格な対応なのです。様々なことを入力して、認証手続きを経なければ対応して頂けない仕組みなのです。

24時間以内に1回の回答になるため、事実上、起きた事実に関しての質問だけしかできません。
想定があり得るかもしれないという可能性を検討して頂く質問は、事実上出来ない形なのです。

しばらくメールでの対応を続けました。しかし、状況は善処して進みませんでした。自分の中で下記の気持ちになりました。

  • これだけ、全身全霊で頑張っても、
    善処しないのであれば仕方がない。
    ビットロッカーの解除は諦めて、
    初期化することにしようと。

メーカーの方にも調査をして頂き、待たせている状況が続いています。それでも下記のことだけは明確にしておきたかったのです。

  • マイクロソフトアカウントにサインインが出来ないこと

ところが、ビットロッカーのことだけでなく、それに紐づいたマイクロソフトアカウントについても複雑になっており、通常の窓口の方では分からないのです。後から、分かりましたが、下記のような状況なのです。

  • 『自分たちが分かっていないことも分かっていない』

繁忙期の忙殺状態の中、これ以上、本業以外のことに貴重な時間は使えません。納品と説明会の鉄火場が続きます。本業のことだけにすべての意識を集中させる必要があります。パソコンのトラブルに、これ以上意識を奪われることは出来ない状況にあったのです。

睡眠不足と休日返上が1カ月以上続いており、体力的にも精神的にも、限界を超えて疲れ切った状態。それなのに、一向に出口が見えてこない状況。

マイクロソフトアカウント自体を潰して今回の件について、すっきりしたいという結論に至ったのです。しかし、何ということでしょうか。下記の事実が突き付けられるのです。

  • マイクロソフトアカウントを潰して
    Office365を解約しようと思っても
    サインインが出来ない状態では
    解約も出来ないのです。

ストレスとイライラはピークに達していましたが、マイクロソフトの担当者を一人一人論破してクリアしなければ、次の担当者に繋げてもらうことも出来ないのです。

情報処理に関する理解を深めて、一人一人の担当者を論破してクリアしていく中で、マイクロソフト側も緊急事態の異例の対応ということになり、最後にある窓口を案内されたのです。私は、その窓口に問い合わせをしたときに、担当者から下記のことを言われました。

  • 「よく、この窓口まで来ることが出来ましたね。」

  • 「大変だったでしょう。」
    「何が起きたのですか?」
    「ご相談しますので、詳しく経緯や状況を教えて下さい。」

私は、何か、不思議な感覚になっていました。そして、マイクロソフトの担当者の方に、今回の一連の経緯や状況について一つ一つ説明をしました。実は、今回の件は、メルマガで記載した内容だけでなく、事実関係は更に複雑に入り組んだ事態になっていたのです。

担当者の方は、下記のように言って、一度、電話を切りました。

  • 「今回のトラブルは、概ね理解が出来ました。」
    「解決方法に向けて調査をします。」
    「お時間を下さい。」
    「今日中に、一度、ご連絡を致します。」

この技術者の方に相談したときに、気持ちが整うような安心感に包まれたのです。これまでの担当者の方とは、全く、雰囲気が違ったのです。

そもそも、これまでの担当者の方は問い合わせをしても、その場でしばらく確認したり、後方の技術者に確認する程度で、調査をしている雰囲気ではなかったのです。

解決に向けて相談しているのではなく、Q&Aを探すだけのマニュアル対応なのです。Q&Aに無いとなり、自分が分からなければ、追い返すような雰囲気なのです。

マイクロソフトの方から、折り返しのお電話を2時間後に頂きました。ビットロッカーとマイクロソフトアカウントについて、いくつか仮説を立てて、調査してくれたのです。解決に向けて、一番、可能性の高い仮説から検証していく対応方針になったのです。

この技術者の一連の対応。直接、対応して頂き、ビックリしました。この技術者を一言で説明をすれば、下記のような表現になります。

  • 「この人、何者ですか!」

これまで接した窓口の方とレベルが違うなんてものではありません。遠隔操作で、私のパソコンに入り、確認していているわけではないのです。

画面が見えていないのに、まるで、見えているような対応の連続。その判断や指示は、まさに神業。美しい神業の連続のメロディーです。まるで、辻井さんのピアノを聴いているような雰囲気なのです。

画面が進まずに、トラブルが起きても、更に、そのトラブルについて瞬時に判断。トラブル対処に向けた適格な指示の連続。トラブルにトラブルが重なってもこれ以上の対応は、ロックがかかるために危険と判断。第二案、第三案を臨機応変に指示。

様々な仮説を立てて、起きている問題と向き合って、次々と障壁を突破してくれるのです。対応して頂く中で、私は何度も思っていました。

  • 「この人、何者ですか!」

『何かを知っている』というレベルではないのです。今回の問題対応も、初めての対応だったはずです。あれは、ノウハウというレベルではありません。これまでの修羅場を潜り抜けてきた経験と圧倒的な基礎力で、降り掛かってくる新しい問題を次々と現場処理して対応しているのです。

これまで対応していた人は、Q&Aのマニュアルで対応している人です。最後の人は、新たな問題に、少し先を予測しながら、その場で考えて反応が出来る人です。ガンダムで例えるのであれば下記のような人です。

  • 「未来が見えるニュータイプ」

アムロやシャアのようなマイクロソフトのニュータイプのエンジニアに、直接、対応して頂き、今回のトラブルの原因を見つけることが出来ました。何より、今後の対応方針を見出していくことが出来たのです。

結局、パソコンは初期化するしかない対応になります。しかし、今回のエンジニアの一連の対応は未来に向けて、大変意義がある有効的な対応につながるのです。

作成日:2019年3月25日 屋根裏の労務士

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