「この人、何者ですか!」・・・その4
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「お客様は神様ですという日本の強みが
弱みになってしまっている一面は納得です。」 - □
「自分たちの業界もクレーマー化が酷く、
業界で連携して対応していく動きもあります。」 - □
「今回、どのようにして処理班を引き出したのでしょうか?」
今回のメルマガで、このシリーズはファイナルにする予定でした。メーカーの処理班が出て来てくれて下記のスーパープレイを連発するのです。
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「この人、何者ですか!」
処理班のスーパープレイの数々をご紹介する予定だったのですが、処理班を引き出すやりとりについて、メルマガにして頂きたいというご要望を頂きました。そこで、今回は、処理班が出てくるまでの対応をご紹介いたします。
Windows10のトラブルが起こり、その調査や対応を巡り、マイクロソフトと激闘につぐ激闘。何人ものマイクロソフトの担当者を攻略。
マイクロソフト側も緊急事態の異例の対応ということになり、最後に、「Windowsの鬼」のようなエンジニアに出て来て頂き、原因を見つけて頂くことが出来ました。
今回のトラブルの原因は下記なのです。
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パソコンの設定がマイクロソフトアカウントを紐づけた
マイクロソフトの推奨設定になっていなかったためです。
そもそもの入り口の案内である取扱説明書からマイクロソフトの推奨設定ではなかったのです。そのため、ビットロッカーが発動したときに、解除が出来なくなってしまったのです。
Windows10が難しいOSになっていることが骨身に沁みて分かりました。何より、Windows10を分かっている専門者が世の中にほとんどいないことを痛感。今回の一連の件は、メーカーの技術サポートの方だけでなく、マイクロソフトの窓口の方も、分かっていなかったのです。
「Windowsの鬼」のようなエンジニアが呟いた言葉です。
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「分かっていないのでしょうね。」
「あの人達は、分からないのでしょうね。」
「私たちの周知不足です。」
こんなに難しくなってしまったWindowsのOS。Windowsの検定試験のようなものをつくり、世の中に分かっている人を配置してくれていなければ、ユーザーは安心してパソコンを使えません。
上記のことを「Windowsの鬼」に話したら、下記のように言われました。
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「ありますよ。」
そういえば、あったことを思い出しました。IT業界のクライアントの給与規程に資格手当の項目で、Windowsの検定試験の合格者に対して、手当を支給していることを思い出したのです。
止まっている資格試験の机上と動いている実務での対応は別物であることも痛感。
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世の中が動いているスピードは速いこと
市場は難しくなっており、専門者を育てる難しさ
分かったような気がしました。世の中に、きちんと分かっている人は少ないし、そもそも自分が分かっていないことも、多くの人は分かっていません。「自分が分かっていないということも、分かっていないこと」を『自分は分かっていると思っている人』に、分からせるというのは、大変な労力がかかるものです。
パソコンの技術相談の窓口に4回目の問い合わせをしたときです。窓口の方から下記のように言われました。
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「ビットロッカーの件で対応中の佐々木様ですね。」
「トラブルの状況は社内で共有しております。」
「心配しておりました。」
「どのようになりましたでしょうか。」
このメーカーが信頼できるのは下記の件です。
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「自分が分かっていなかったことに
すぐに気が付く理解力があること」
下の者というのは、現場でトラブルが起きた場合、上席者にきちんと報告をあげないものです。下の者というのは、得てして、何か、やらかしているのです。前回のメルマガで、下記を取り上げました。
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『お客様は神様です』という日本の強みが
弱みになってしまっていること
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消費者が完璧な対応と過剰な要求を求めて、
クレーマー化が酷く、アフターサービスが成り立たないこと
確かに、上記も重篤な社会問題になっていますが、問題が起きる場合、ほとんどの原因は、自社の社員のスキルが未熟で精神的に幼いために、現場で、何か、やらかしているケースがほとんどです。
下の者は何とか自分で解決しようと考えて、上席者にバレないように動くため事態を難しくして、泥沼化していくものなのです。
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報告がいらないときに、報告をしてきて
報告をすべきときに、事実を適正に
報告をしてこないのです。
処理班の仕事というのは、まずは、何が起きているのかについて、現場から上がってくる報告だけでなく、対応にあたった方の守秘義務を踏まえながら、真実を的確に掴むことにあるのです。実際は、掴むというより、察することです。
組織で動いており、それぞれに立場があるために、真実というのは、闇の中ということが多いものなのです。
それに、そもそも処理班の存在は現場には周知されていません。そんな部門や人がいることが公になれば、現場でクレームを処理しなくなるからです。何でも処理班対応にしていたら、処理班はパンク状態です。
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子供ではないのですから、自分のケツは自分で拭くのが基本です。
今回、パソコンを初期化させる対応に伴ってメーカーから用意された誓約書を出すと同時に、私の方では下記を作成しました。
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ビットロッカーとマイクロソフトアカウントについての報告書
今回の一連の経緯と現場で私が対応して分かったことや起きた事実について、まだ、お会いしていない処理班の方に動いて頂くにあたり、書面にして報告書を作成したのです。繁忙期に本業でもないのに、何でこんな報告書を書くのだろうとも思っていました。本業なら別途料金が発生するような対応です。
今回、「Windowsの鬼」のようなマイクロソフトのエンジニアに出てきて頂き、調査をして原因を見つけて頂きました。しかし、それは、あくまでもマイクロソフトの意見です。メーカーの方でも、現場での鉄火場での格闘の中で、何か事実を踏まえて対応してきたはずだと思ったからです。
マイクロソフトの「Windowsの鬼」も下記のように説明していました。
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「推奨設定」
設定方法はあくまでも「推奨設定」であり、「完全に確立された正しい方法」ではないということです。Windowsの世界を造ったのはマイクロソフトですが、マイクロソフトが神のように真理を知っており、絶対的に正しいということはないということです。
私の報告書に基づいてメーカー側でも、下記のことを出して頂きたい旨を求めたのです。
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技術が分かっている人に、要検討・検証して頂くこと
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今後の対応に関して、見解と方針を出して頂くこと
今回の件は、下記のことも書面にしておきました。
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過去について責任を追及するつもりはなく
未来に向けて全力で善処して頂きたいと
マイクロソフトアカウントはパスワードを3回間違えるとロックがかかってしまいます。ビットロッカーはSSDのデータが危険にさらされそうになったらロックがかかるように設定されています。
マイクロソフトアカウントやビットロッカーと同様に、組織や人というのは、危険にさらされるようになるとロックがかかり、膠着状態になるようになっているのです。
メーカーには下記のことも伝えました。
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ビットロッカーの対応は
難しい対応であることを理解していること
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メーカーでも調べながらの対応になるはずであり、
解決に向けて、私の方でも協力して
二人三脚の対応で乗り切るつもりでいること
自分は、お客様の素人で何も知らないからプロに頼んだような態度。取るつもりは毛頭ありません。前線で難しい対応をしているときに、そんな子供みたいな態度をとっていたら、命が無くなるような事態になるからです。
当たり前ですが、起きている事実は顧客の方が詳しく分かっているのです。こちらが調査した内容や状況に関して詳しくレビューしなければ、メーカーの方も対処しようがありません。
個別の事象について、私が知っている情報や経験はあっても、今後の対応に関しては、プロの人の力がどうしても必要になるのです。
今回の件は、パソコンの設定したのはメーカーではなく、そもそも下請の会社なのです。ちなみに、業界では大手で有名らしいそうです。
契約関係を持ち出して、設定会社や販売会社の責任にして窓口を分からなくして、逃げてしまうような無責任なメーカーもあります。ある外資系のメーカーは、難しい技術的な対応になったら契約関係を盾にして、売りっぱなしで対応してくれません。
マイクロソフトでも苦慮している対応について、設定会社や販売会社を相手にするつもりは、最初からありません。
私がこのメーカーから45万円もした高額なパソコンを購入したのはクレームを入れるためではありません。今回のような事態に陥った場合、未来に向けて善処して頂くためです。そのことを上手く伝えながら、処理班に出て来て対処して頂いたのです。
マイクロソフト側では、「Windowsの鬼」に出て来て頂きました。メーカー側では、「パソコンの鬼」に出て来て頂きました。そして、「パソコンの鬼」がスーパープレイを連発するのです。
更に、最終的に設定した方法は、マイクロソフトの推奨設定とは異なる設定方法を見出して設定してくれるのです。
Windowsの世界を造ったマイクロソフトが絶対的に正しいということはないということです。次回のメルマガでは、「パソコンの鬼」のスーパープレイをご紹介致します。
作成日:2019年7月1日 屋根裏の労務士