コロナの対応 その17 「雇用調整助成金 その6」
STAY HOMEの対応に伴い二次的な問題も色々と取り上げられて話題になっています。しかし、経営者の方々は、労働者と同じ立ち位置でそんな二次的な問題を現実逃避のように考えている余裕はありません。
まずは、現実を直視して、全集中で、目の前のことについて凌いでいく展開になっています。目の前のことについて凌いでいくことは、具体的には下記の2つのことです。
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雇用調整助成金を検討していく場合
申請の準備として、ガイドブックとQ&Aを
読み込んでおくこと
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減速させた経済活動の対応について
コロナとの共存を図りながら、
いかにして今後の経済活動を
減速モードから加速させていくのか。
これまでも、何度も説明してきましたが雇用調整助成金を検討していく場合、事務員や業者に丸投げをしてはいけせん。申請担当にあたる人について、経営者が適正に人選をして、任命していく必要があります。
4月30日時点での雇用調整助成金の問い合わせは下記のようになっていると報じられています。
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全国で問い合わせ20万超
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申請に必要な休業計画の提出は
今月24日までに2万件を超え、
うち2541件が申請され、
282件の支給が決まった。
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窓口はパンク状態で
3時間待ちから4時間待ち
小生も都内のある管轄に問い合わせをしましたが、後日、連絡という対応で連絡がきたのは、問い合わせから1週間後でした。地方のあるハローワークでは問い合わせから1週間が経過しても、梨の礫です。恐らく、今後も連絡は来ないと思います。
それに問い合わせが来たときには、既に確認したいことが新しいステージになっている状態です。更に、自粛要請業種では5月の上旬に更なる緩和措置の特例が出る見込みです。いずれにしても、この助成金は個別的な取り扱いをして、複雑に繋がった制度の理解が必要となる難易度が高い方の助成金です。
今後、更なる緩和が出てくる展開はあっても、基本的な取り扱いのベースは変わらないのですから申請担当者に任命された方は、下記の対応準備に入って下さい。
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ゴールデンウィーク中に
雇用調整助成金のガイドブック
とQ&Aを読み込んでおく対応準備
繰り返しになりますが、この助成金は、下記のことが必要になります。
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助成金の制度の理解
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自社の制度の理解
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自社の会社方針の理解
上記のことを理解が出来るのは下記のような人選になるはずです。
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頭が良くて、仕事が出来る、
大人の判断が出来る人
通常では、上記の要件のほかに下記の要件が加わるのです。
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時間がある、暇な人
そして、多くの企業ではそんな仕事が出来る人は助成金の申請をしている暇や時間はないのです。そのため、騙しの業者に手付金を支払う展開になりやすいのです。安定している中小企業では経営者が申請していることも珍しくありません。
この助成金は、理解と判断を要するわけですので、騙されないように便利な抜け道は無いと考えて、腹を決めて対応にあたることです。攻略方法は下記になります。
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雇用調整助成金について、
部分的に分からなくても
最後まで、ガイドブックやQ&Aを読み込み
全体像を掴んでから、一つ一つの申請書を
作成することが攻略のポイントです。
全体像が見えてから、部分的な内容の理解ができるようになっています。分からないことが多い中で前に進んで行くこと。大変、辛いことです。最後の最後の段階で、全体像を掴めることができるようになっています。
色々なことが繋がっています。そのため、理解をしていきながら、全体の繋がりを捉える対応になります。ガイドガイドブックを読み込みQ&Aでベースを掴むのです。理解が半分ぐらい出来れば、分からないことがたくさんあっても事務員に作業指示をしたりして申請書の作成に取り掛かって下さい。
部分的に分からなくても、立ち止まらずに、進めていくのです。色々なことが繋がっています。途中で分からなくても、取り進めていく中で、後から理解が出来てくるのです。
法改正が多く、複雑化した近年の労務の傾向です。企業ごとに対応が異なり、社会保険の事務手続きのように正解は用意されていません。
それでも、リーマンショックのとき弊社のクライアントは、中小企業でも、自社対応で申請をして、無事に給付がされていました。リーマンショックのときよりも制度自体は、緩和されています。添付書類が少ないということは助成金に必要な「論理的かつ精密なストーリー」を作成していきやすいのです。
しかし、あのときと状況が違うのは下記の2つです。
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三密回避のため、直接の問い合わせが難しいこと
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コロナの対応で、本業で対応していくことが多く
時間的に制限されていること
4月30日の現時点では、人事総務の年次業務である労働保険料と算定基礎届の対応も延期や猶予になっていません。社労士会からも、再三再四、国にお願いをしていますが、現行の厚生労働省の回答状況は、応じないのと同義です。
現在の状況を普通に考えれば、特例を出してくれないのであれば、雇用調整助成金の対応について時間的にも追い込まれてタイムアップをしてしまうことは目に見えています。そのために、雇用調整助成金について企業活動が止まっているゴールデンウィーク中に対応準備に入る必要があります。
西村さんが、下記のように説明していました。
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『熊本の震災では、延べ人数になりますが
4000人が受給をしています。』
熊本市だけでも約75万人の都市規模です。延べ人数ということは、一つの企業で長期の期間での複数カウントです。緊急事態での対応に追われる中でほとんどの企業が、事実上、絵に描いた餅で、利用しないのではなく、利用できない状況に陥っていたはずです。
厚生労働省を雇用調整助成金のURLを追いかけて下さい。今後も、変更が出てくるはずです。政府の立場であれば、生活保護の状態になるのが、一番、困るわけです。何とかして生活保護になる前で食い止めたいはずです。雇用調整助成金は、更なる緩和がなされる可能性が高いはずです。政府は、今回については出すモードに設定を切り替えたはずです。全集中で、対応にあたって下さい。
作成日:2020年4月30日 屋根裏の労務士